20 / 27
第11話 現世での末路は~アルチュールの場合~ 俯瞰視点(1)
しおりを挟む
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。も、もうげんかい、だ……」
「おいっ! 誰が休んでいいと言った! とっとと働け!!」
「ま、まってくれ……! これ以上は――ぎゃあ!? わ、分かった!! 分かったからっ! 働くから鞭で打たないでくれぇ!!」
ミレーユことヴィルジニーによって連れ去られてから、一週間後。ブリュノことアルチュールの姿はとある炭鉱にあり、強制的に労働をさせられていました。
「ここは……炭鉱……? なぜ俺を、こんなところに連れて来たんだ……」
「アンタを持ち上げて落とす計画の一環として、何回も金を渡した。ウチは、何千万リーバルを失ってしまった。それをこれから、返してもらうのよ。ここで働いてね」
365日、毎日朝から晩まで20時間。返済できるまで恐ろしいスケジュールを課せられることとなり、即日強制的な労働がスタートしていたのです。
「はぁ、はぁ、はぁ……。はあ、はあ、はあ、はあ……。手が……腕が……足が……。身体が……。重い……」
アルチュールは子爵家に生まれた貴族。肉体労働をした経験はまるでなく、おまけに日頃から最低限の運動しか行っていませんでした。
それによって作業を再開させるも、再びすぐにバテてしまい――
「た、頼む。すこしでいい。ほんの少し、5分でいい。休憩させてく――」
「さっき言った言葉を理解できなかったのか? 誰が、休んでいいと言った!!」
「ぎゃああ!! 分かった!! もう言わないからっ!! 鞭はやめてくれえええええええええ!!」
――懇願するも即座に暴力と共に却下されてしまい、これ以上は無理なもののやるしかない。アルチュールは歯を食いしばって身体を動かします。
((はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。じ、地獄…………地獄だ……! こんな場所に居たくない……! 早く、ここから出たい……! いつになったら俺はぁっ、ここから出られるんだぁ……!?))
その答えは、3年後。
春夏秋冬が3回巡った頃、ようやくアルチュールは解放されることとなりました。
「や、やった……。やったぞ……。やっと自由に、なれるんだ……」
強制的な労働により筋肉はついたものの、肉体的であり精神的な疲労により2周り以上老けたように見えるアルチュール。そんな彼は顔を綻ばせながら拳を突き上げ――ましたが、その笑顔はあっという間に消えることとなりました。
「あらあら、まあまあ。しばらく見ない間に別人みたいになったわねぇ」
「……ミレーユ……。なにをしに、きたんだ……!」
「なにって、決まっているでしょう。前世の罰を与えにきたのよ」
「ば、罰だって!? 罰はもう受けたじゃないか!!」
「これは、渡したお金を返してもらっていただけですわよ? ……くふふ。『終わり』なんて大間違い。やっと、これから『始まる』のですわぁ……!!」
そうしてアルチュールは、あの日のように再び拘束されてしまい――
「おいっ! 誰が休んでいいと言った! とっとと働け!!」
「ま、まってくれ……! これ以上は――ぎゃあ!? わ、分かった!! 分かったからっ! 働くから鞭で打たないでくれぇ!!」
ミレーユことヴィルジニーによって連れ去られてから、一週間後。ブリュノことアルチュールの姿はとある炭鉱にあり、強制的に労働をさせられていました。
「ここは……炭鉱……? なぜ俺を、こんなところに連れて来たんだ……」
「アンタを持ち上げて落とす計画の一環として、何回も金を渡した。ウチは、何千万リーバルを失ってしまった。それをこれから、返してもらうのよ。ここで働いてね」
365日、毎日朝から晩まで20時間。返済できるまで恐ろしいスケジュールを課せられることとなり、即日強制的な労働がスタートしていたのです。
「はぁ、はぁ、はぁ……。はあ、はあ、はあ、はあ……。手が……腕が……足が……。身体が……。重い……」
アルチュールは子爵家に生まれた貴族。肉体労働をした経験はまるでなく、おまけに日頃から最低限の運動しか行っていませんでした。
それによって作業を再開させるも、再びすぐにバテてしまい――
「た、頼む。すこしでいい。ほんの少し、5分でいい。休憩させてく――」
「さっき言った言葉を理解できなかったのか? 誰が、休んでいいと言った!!」
「ぎゃああ!! 分かった!! もう言わないからっ!! 鞭はやめてくれえええええええええ!!」
――懇願するも即座に暴力と共に却下されてしまい、これ以上は無理なもののやるしかない。アルチュールは歯を食いしばって身体を動かします。
((はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。じ、地獄…………地獄だ……! こんな場所に居たくない……! 早く、ここから出たい……! いつになったら俺はぁっ、ここから出られるんだぁ……!?))
その答えは、3年後。
春夏秋冬が3回巡った頃、ようやくアルチュールは解放されることとなりました。
「や、やった……。やったぞ……。やっと自由に、なれるんだ……」
強制的な労働により筋肉はついたものの、肉体的であり精神的な疲労により2周り以上老けたように見えるアルチュール。そんな彼は顔を綻ばせながら拳を突き上げ――ましたが、その笑顔はあっという間に消えることとなりました。
「あらあら、まあまあ。しばらく見ない間に別人みたいになったわねぇ」
「……ミレーユ……。なにをしに、きたんだ……!」
「なにって、決まっているでしょう。前世の罰を与えにきたのよ」
「ば、罰だって!? 罰はもう受けたじゃないか!!」
「これは、渡したお金を返してもらっていただけですわよ? ……くふふ。『終わり』なんて大間違い。やっと、これから『始まる』のですわぁ……!!」
そうしてアルチュールは、あの日のように再び拘束されてしまい――
112
あなたにおすすめの小説
あなたが「消えてくれたらいいのに」と言ったから
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
「消えてくれたらいいのに」
結婚式を終えたばかりの新郎の呟きに妻となった王女は……
短いお話です。
新郎→のち王女に視点を変えての数話予定。
4/16 一話目訂正しました。『一人娘』→『第一王女』
【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る
金峯蓮華
恋愛
侯爵令嬢のベルティーユは婚約者に懸想した王女に嫌がらせをされたあげく殺された。
ちょっと待ってよ。なんで私が殺されなきゃならないの?
お父様、ジェフリー様、私は死にたくないから婚約を解消してって言ったよね。
ジェフリー様、必ず守るから少し待ってほしいって言ったよね。
少し待っている間に殺されちゃったじゃないの。
どうしてくれるのよ。
ちょっと神様! やり直させなさいよ! 何で私が殺されなきゃならないのよ!
腹立つわ〜。
舞台は独自の世界です。
ご都合主義です。
緩いお話なので気楽にお読みいただけると嬉しいです。
失踪していた姉が財産目当てで戻ってきました。それなら私は家を出ます
天宮有
恋愛
水を聖水に変える魔法道具を、お父様は人々の為に作ろうとしていた。
それには水魔法に長けた私達姉妹の協力が必要なのに、無理だと考えた姉エイダは失踪してしまう。
私サフィラはお父様の夢が叶って欲しいと力になって、魔法道具は完成した。
それから数年後――お父様は亡くなり、私がウォルク家の領主に決まる。
家の繁栄を知ったエイダが婚約者を連れて戻り、家を乗っ取ろうとしていた。
お父様はこうなることを予想し、生前に手続きを済ませている。
私は全てを持ち出すことができて、家を出ることにしていた。
お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます
菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。
嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。
「居なくていいなら、出ていこう」
この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし
失った真実の愛を息子にバカにされて口車に乗せられた
しゃーりん
恋愛
20数年前、婚約者ではない令嬢を愛し、結婚した現国王。
すぐに産まれた王太子は2年前に結婚したが、まだ子供がいなかった。
早く後継者を望まれる王族として、王太子に側妃を娶る案が出る。
この案に王太子の返事は?
王太子である息子が国王である父を口車に乗せて側妃を娶らせるお話です。
平民の方が好きと言われた私は、あなたを愛することをやめました
天宮有
恋愛
公爵令嬢の私ルーナは、婚約者ラドン王子に「お前より平民の方が好きだ」と言われてしまう。
平民を新しい婚約者にするため、ラドン王子は私から婚約破棄を言い渡して欲しいようだ。
家族もラドン王子の酷さから納得して、言うとおり私の方から婚約を破棄した。
愛することをやめた結果、ラドン王子は後悔することとなる。
地味令嬢を見下した元婚約者へ──あなたの国、今日滅びますわよ
タマ マコト
ファンタジー
王都の片隅にある古びた礼拝堂で、静かに祈りと針仕事を続ける地味な令嬢イザベラ・レーン。
灰色の瞳、色褪せたドレス、目立たない声――誰もが彼女を“無害な聖女気取り”と笑った。
だが彼女の指先は、ただ布を縫っていたのではない。祈りの糸に、前世の記憶と古代詠唱を縫い込んでいた。
ある夜、王都の大広間で開かれた舞踏会。
婚約者アルトゥールは、人々の前で冷たく告げる――「君には何の価値もない」。
嘲笑の中で、イザベラはただ微笑んでいた。
その瞳の奥で、何かが静かに目覚めたことを、誰も気づかないまま。
翌朝、追放の命が下る。
砂埃舞う道を進みながら、彼女は古びた巻物の一節を指でなぞる。
――“真実を映す者、偽りを滅ぼす”
彼女は祈る。けれど、その祈りはもう神へのものではなかった。
地味令嬢と呼ばれた女が、国そのものに裁きを下す最初の一歩を踏み出す。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる