愛の力があれば何でもできる、11年前にそう言っていましたよね?

柚木ゆず

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第2話 突然の来訪 ロゼーヌ視点(1)

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「……目的は? 2人はなんて言ってるんだい?」「……目的は……? 2人はなんて言っているのですか……?」

 わたしとレジスさんの声が、重なりました。
 両家の算段を滅茶苦茶にしながら姿を消して、今日まで11年間も一切連絡をしなかったのに、現れるだなんて。理由が分からず、わたし達は揃って眉を寄せました。

「それが……。くだんの持ち出しの謝罪以外については、旦那様と奥様にしか話せないようでして……。関係者全員へのお詫びを口にして以降は、『レジスと合わせて欲しい』『お姉様と会わせて欲しい』と繰り返しておられます」

 くだんの持ち出し――。

『2人は水面下で・・・・駆け落ちの準備をしていて、あまりにも自分勝手な言い分を並べて姿を消してしまったのです』

 ヴェロニクもテランスさんも『全てを失った』と書き置きにありましたが、それは真っ赤な嘘。2人は万全の状態で第二の人生を送っていけるように、貴金属や現金などを持ち出させるだけ持ち出していたのです。

「僕達にしか、話せない……。となると、僕達以外に聞かれると門前払いを受けてしまうお願い事、があるのかな?」
「ですね。わたしもそう考えていました」

 ヴェロニクもテランスさんも、今は完全なる部外者。戸籍上は赤の他人となっていて、きちんと説明をしなければ会える確率が大きく下がってしまいます。
 にもかかわらず、伏せている。加えて、これまで謝罪の手紙を送らなかったのに今更謝罪をした――少しでも自分達の心証をよくしようとしている。
 十中八九、そうなのでしょう。

「旦那様、奥様。いかがなさいますか?」
「…………追い払いたい、と言いたいところだけれど――。立場を考えず自分勝手に生きた男であっても、兄だ。程度によっては、手を差し伸べてあげてもいいと思っている自分がいるよ」
「わたしも、同意見です」

 ため息をつきながらやって来た視線に、同じくため息をつきながら頷きを返しました。
 貴族の幸せを享受してきたのに、貴族としての責務を受け入れようとしなかった。そちらも含め許されることではありませんが、それでもただひとりの妹です。
 家の力を借りず、個人でどうにかなるものであれば助けてもいい。そんな思いがあります。

「そっか、じゃあ決まりだね。入念にボディーチェックを行ったあと、応接室に通して欲しい」
「承知いたしました」

 あり得ないとは思いますが、敵対貴族などに買収されて危害を加えようとしている危険性もあります。リスクを0にするために厳重なチェックが行われ、およそ20分ほどが経った頃でしょうか。レジスさんと応接室で待っていると、静かに扉が開き――


「ロゼーヌお姉様っ!」
「レジスっ!」


 わたしよりも1歳下の28歳なのに、1回りくらいわたしより老けてみえる女性。レジスさんより2歳年上の31歳のはずなのに、レジスさんより1回りくらい老けてみせる男性。
 ヴェロニクとテランスさんが姿を現し、わたし達を見るや床に両膝をついたのでした。

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