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第13話 裏切り 俯瞰視点(1)
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「卿……!! なぜなのですか……!?」
「隣国から面倒な人間が来る、その手紙をくれただろう? その時はまだ、君の味方だったのだ」
イサックと対峙する形になったルーザンは、右隣を――ルウゴを一瞥しました。
「だがそのあと、1日後だったな。卿から素晴らしいお手紙が届き、立ち位置を変えることになるのだよ」
「素晴らしい、お手紙……? 何が書かれていたのですか……?」
「協定に関する内容と、ミーアについて書かれていたのさ」
子爵家同士、手を組みませんか? サートラック家の商会を手元に置いておくより、良い未来が生まれるはずですよ――。現在サートラック家にはミーアという美女がおり、両家が協力すればサートラック家を完全に屈服させられる。ミーアの支配権を手にすることができ、美しい顔と肢体を持つ女を好きにできますよ――。
その文にはそういったものが記されており、それらはルーザンにとって非常に魅力的なものでした。
「確かに他国の貴族とのパイプは魅力的だし、先日のパーティーで目にした女性はとにかく魅力的だった。それらと、サートラック家。天秤にかけるまでもなかったよ」
「……下衆が……!」
「くははははっ。表情が入れ替わったな! 良い顔をしているぞ、イサック・サートラックっ!」
渋面と満面の笑み。彼我の顔を上機嫌で交互に指差し、ルウゴは大きく5回手を叩きました。
「最高だ! この上ない最高の逆転劇が決まった!」
「うふ、そうね。まんまと引っかかった」
「移動中に練習した甲斐がありましたわねぇ」
「イサック・サートラックさん、わたし達による『劇』はいかがでしたかぁ? 楽しんでいただけましたかぁ?」
相手は自分達を散々怒らせた、ただ圧倒するだけではつまらない。上げてから落として精神に大きなダメージを与えるためだけに、4人はお芝居をしていたのでした。
「く……!」
「……………………待ってみたものの、それ以上の反応はなさそうだな。なら次のステップへと進もう」
次。屈服とミーアに関する話題へと移りました。
「もし逆らうなら、拷問を含め一家全員が生き地獄を味わうこととなるだろう。それでもよいなら抵抗しても構わんが、どうする?」
「……………………。分かった……。従う……」
「くく、さすがのナイト様もここまでだな。では、命令をする。まずは――ええ、分かっておりますとも。卿が所望されている。ミーアを直ちに連れてくるのだ」
「…………………………」
「おい、早くしろ。さっさとミーアを――? 貴様、なにをしている……?」
突然のことでした。歯がみをして俯いていたイサックは、左手を高々と挙げました。
「…………………………」
「おいっ、なにをしていると聞いているだろうが! 速やかに答え――なんだ!?」
無言のイサックに歩み寄ろうとしていた、その時でした。ルウゴの右手側から豪華な馬車が現れ、その車は彼らの間近で停車したのでした。
「隣国から面倒な人間が来る、その手紙をくれただろう? その時はまだ、君の味方だったのだ」
イサックと対峙する形になったルーザンは、右隣を――ルウゴを一瞥しました。
「だがそのあと、1日後だったな。卿から素晴らしいお手紙が届き、立ち位置を変えることになるのだよ」
「素晴らしい、お手紙……? 何が書かれていたのですか……?」
「協定に関する内容と、ミーアについて書かれていたのさ」
子爵家同士、手を組みませんか? サートラック家の商会を手元に置いておくより、良い未来が生まれるはずですよ――。現在サートラック家にはミーアという美女がおり、両家が協力すればサートラック家を完全に屈服させられる。ミーアの支配権を手にすることができ、美しい顔と肢体を持つ女を好きにできますよ――。
その文にはそういったものが記されており、それらはルーザンにとって非常に魅力的なものでした。
「確かに他国の貴族とのパイプは魅力的だし、先日のパーティーで目にした女性はとにかく魅力的だった。それらと、サートラック家。天秤にかけるまでもなかったよ」
「……下衆が……!」
「くははははっ。表情が入れ替わったな! 良い顔をしているぞ、イサック・サートラックっ!」
渋面と満面の笑み。彼我の顔を上機嫌で交互に指差し、ルウゴは大きく5回手を叩きました。
「最高だ! この上ない最高の逆転劇が決まった!」
「うふ、そうね。まんまと引っかかった」
「移動中に練習した甲斐がありましたわねぇ」
「イサック・サートラックさん、わたし達による『劇』はいかがでしたかぁ? 楽しんでいただけましたかぁ?」
相手は自分達を散々怒らせた、ただ圧倒するだけではつまらない。上げてから落として精神に大きなダメージを与えるためだけに、4人はお芝居をしていたのでした。
「く……!」
「……………………待ってみたものの、それ以上の反応はなさそうだな。なら次のステップへと進もう」
次。屈服とミーアに関する話題へと移りました。
「もし逆らうなら、拷問を含め一家全員が生き地獄を味わうこととなるだろう。それでもよいなら抵抗しても構わんが、どうする?」
「……………………。分かった……。従う……」
「くく、さすがのナイト様もここまでだな。では、命令をする。まずは――ええ、分かっておりますとも。卿が所望されている。ミーアを直ちに連れてくるのだ」
「…………………………」
「おい、早くしろ。さっさとミーアを――? 貴様、なにをしている……?」
突然のことでした。歯がみをして俯いていたイサックは、左手を高々と挙げました。
「…………………………」
「おいっ、なにをしていると聞いているだろうが! 速やかに答え――なんだ!?」
無言のイサックに歩み寄ろうとしていた、その時でした。ルウゴの右手側から豪華な馬車が現れ、その車は彼らの間近で停車したのでした。
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