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第14話 やがてローズは、真実を知る ローズ視点(1)
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「シスターローズ。到着いたしました」
「どうもありがとうございます。運転、お疲れ様でした」
あれから2年後の、平日の夕方。あたしは修道院が手配してくれた馬車から下車し、ヴァイナー邸の敷地に降り立った。
今日は楽しい楽しい、姉さんを確認する日。晴れて恋愛サイコパスと結婚して、そんな男と暮らしているサーラ姉さん。どんな顔になってるのかなぁ?
((パパとママの手紙じゃ、様子がよく分からなかったんだよね~。どのくらい弱ってるんだろ?))
たぶん、修道院にいるあたしを不安にしたくないんだと思う。手紙にあるのは、『元気だよ』や『2人で仲良くやっているよ』だけ。
あの男はあたしというポッカリ空いた心の隙間を埋めるため、2年もあれば絶対に浮気をしてる。浮気をしているなら帰宅時間や行動に不自然さが出るようにあって、確実に察する。
元気でいたり、2人で仲良くやってたりするはずないがないよね~。
((ストレスで肌はガザガザ。もしかすると離婚を検討中で、夜は満足に眠れてないかもしれない。両目の下には、クマがくっきり浮かんでたりしてっ))
すっかりボロボロになってて、別人みたいになっちゃってるかも。使用人のオバサンと間違えたりしちゃったりするかもっ。
「ようこそ、シスターローズ。奥様がお待ちでございます」
「ええ。案内を、よろしくお願いします」
一応は聖職者なので、普段みたいに修道院モードのキャラを作って、使用人にお上品にご挨拶。彼女の先導で敷地を進んで、玄関の扉の前にやって来た。
このドアの向こう側で、姉さんが待っているみたい。何も知らずに恋愛サイコパスの奥さんになっちゃった、サーラ・ヴァイナーさん。2年で、どんな変化をされたのかなぁ?
「いらっしゃいローズっ。久しぶりだねっ。会えて嬉しいよっ!」
開いた扉の先に居たのは、やけにキラキラした女性。
髪の毛に枝毛が一つもなく、肌もスベスベ。茶色の瞳には希望が満ち満ちていて、その下にはクマなんて一切ない。むしろ以前よりもハリがあって、一目で姉さんは幸せな毎日を過ごせているんだって分かった。
…………………………………………。
ドウイウコト?
「どうもありがとうございます。運転、お疲れ様でした」
あれから2年後の、平日の夕方。あたしは修道院が手配してくれた馬車から下車し、ヴァイナー邸の敷地に降り立った。
今日は楽しい楽しい、姉さんを確認する日。晴れて恋愛サイコパスと結婚して、そんな男と暮らしているサーラ姉さん。どんな顔になってるのかなぁ?
((パパとママの手紙じゃ、様子がよく分からなかったんだよね~。どのくらい弱ってるんだろ?))
たぶん、修道院にいるあたしを不安にしたくないんだと思う。手紙にあるのは、『元気だよ』や『2人で仲良くやっているよ』だけ。
あの男はあたしというポッカリ空いた心の隙間を埋めるため、2年もあれば絶対に浮気をしてる。浮気をしているなら帰宅時間や行動に不自然さが出るようにあって、確実に察する。
元気でいたり、2人で仲良くやってたりするはずないがないよね~。
((ストレスで肌はガザガザ。もしかすると離婚を検討中で、夜は満足に眠れてないかもしれない。両目の下には、クマがくっきり浮かんでたりしてっ))
すっかりボロボロになってて、別人みたいになっちゃってるかも。使用人のオバサンと間違えたりしちゃったりするかもっ。
「ようこそ、シスターローズ。奥様がお待ちでございます」
「ええ。案内を、よろしくお願いします」
一応は聖職者なので、普段みたいに修道院モードのキャラを作って、使用人にお上品にご挨拶。彼女の先導で敷地を進んで、玄関の扉の前にやって来た。
このドアの向こう側で、姉さんが待っているみたい。何も知らずに恋愛サイコパスの奥さんになっちゃった、サーラ・ヴァイナーさん。2年で、どんな変化をされたのかなぁ?
「いらっしゃいローズっ。久しぶりだねっ。会えて嬉しいよっ!」
開いた扉の先に居たのは、やけにキラキラした女性。
髪の毛に枝毛が一つもなく、肌もスベスベ。茶色の瞳には希望が満ち満ちていて、その下にはクマなんて一切ない。むしろ以前よりもハリがあって、一目で姉さんは幸せな毎日を過ごせているんだって分かった。
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ドウイウコト?
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