今日は、苦しめてきた者達が苦しむ日

柚木ゆず

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第9話 1人目の末路 ルイーザ視点

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「……………………………………」
「駄目、ですね……。何をやっても反応がありません」

 急に動きを止め、目を開けたまま仰向けになったマリー様。先生が覗き込んで『声をかける』『触れる』など様々な形で刺激を与えましたが、その全てにリアクションがありませんでした。

「せ、先生。マリー様はどうなってしまったのしょうか……?」
「生きて、いらっしゃる、のですよね……? だ、大丈夫、なのですよね……?」

 傍で様子を見守っていたアンル様とエルア様が怖々確認をすると、先生のお顔が苦々しく歪みました。

「呼吸も脈拍も体温も正常で、間違いなく生きてはいるのですが……。意識があるはずなのにないという、極めて珍しい――過去に例がない状態になっているんです。大丈夫、大丈夫ではない、どちらも言えません」

 そもそもその前に訴えていた激痛が発生する理由もなく、原因不明だらけ。判断のしようがないそうです。

「一か月間検査をした際には間違いなく異常はなかった、そう連絡がありました。語弊が生じるでしょうが、あの時も今も『仮病としか思えない』状況なのですよ」
「「………………」」
「ですが反応を見るに、演技はあり得ない。否定と否定がぶつかりあっていて、お手上げなのです。どこを探しても、原因を突き止められる者はいないでしょうね……」

 できることは、静観。見守る、しかできないそうです。

「先生……。回復の見込みは、どのくらい、でしょうか……?」
「正直に、教えてください……! お願いします……!」
「………………ノーコメントでお願いします」

 言えない。
 つまりは、そういうこと、なのでしょうね……。

「「そんな……」」
「…………奇跡。奇跡が起きることを願いましょう」

 先生は小さな声でそう呟くと、搬送の手配。医療スタッフの方々によってマリー様は担架に乗せられ、どこかへと――恐らくはこの国でもっとも有名な医療機関へと、運ばれていったのでした。

「ま、まりーさまぁああああああああああああああ!! 待っております!!」
「ご帰還を待っております!! 信じております!!」

 お二人は泣きながらそう叫びましたが、一週間経っても二週間っても、吉報は届きませんでした。それどころか、一か月後――。
 ご実家、ボハルイア伯爵家で何かしらの結論が出たのでしょう。


「皆さんにお知らせがあります。マリー・ボハルイアさんが、学院を去ることとなりました」


 マリー様は自主退学となり、ダコラッタール学院からそのお名前が消えることになったのでした。


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