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プロローグ
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「「「「「英雄マティアス様っ、万歳っ!! 英雄マティアス様っ、万歳っ!!」」」」」
「「「「「マティアス様っ、ありがとうございます……! 貴方様のおかげでこの世界は平和になりました……!!」」」」」
王都の中心にある、かつてこの国『ヴィンス』の建国が宣言された場所・ヴィンス中央広場。そこには現在、国内外から大勢の人々が集まり――貴族も平民も老若男女問わず集まり、英雄様の凱旋帰国を歓迎していました。
今からおよそ、100年前。この世界に突如として、魔王・ワオズが出現しました。
ワオズは自らの魔力を糧として大量の魔物を生み出し、その周辺にあった国々は一夜にして陥落。彼はそこを拠点とし、人間界を支配するべく動き始めたのです。
もちろん、人間側も黙ってはいませんでした。
この世界で最も力のある国、ヴィンス――私達の国の国王陛下が中心となって、全国から選りすぐりの戦士を集めて討伐部隊を結成。その名の通り、魔王ワオズを討伐するべく旅立たれました。
しかし――。魔王と魔物による『魔王軍』は邪悪かつ強力で、討伐隊は程なく全滅。
これまで計25回結成されて挑戦が行われましたが、帰還者は0。何百人もの優秀な戦士の方々が、命を落としてしまいました。
ですが、4日前。突如として、誰も予想だにしていなかった吉報が入ります。
17歳の少年マティアスが、魔王ワオズを討伐した。
なんと討伐隊にも騎士団にも所属していない、しかも私と同い年の男の子が、たった一人で倒してしまったのです。
魔王ワオズの消滅によって、彼から生まれた魔物も消滅。魔の者は全滅となり、世界は平和になったのでした。
「「「「「英雄マティアス様っ、万歳っ!! 英雄マティアス様っ、万歳っ!!」」」」」
「「「「「マティアス様っ、ありがとうございます……! 貴方様のおかげで世界は平和になりました……!!」」」」」
そのため全世界は歓声と希望に溢れており、ヴィンス中央広場はこの熱気。子爵家であるウチは勿論のこと侯爵家も公爵家も、全国の貴族が集っていて、かつてない量の歓喜で漲っています。
「「「「「英雄マティアス様っ、万歳っ! 英雄マティアス様っ、万歳っ!」」」」」
「「「「「英雄マティアス様っ、万歳っ! 英雄マティアス様っ、ばんざ――おおっ! いよいよこっちにいらっしゃるぞ!!」」」」」
現在マティアス様は馬車に乗って観衆に手を振られており、もうすぐ私達がいる場所にやってこられます。
この方のおかげで世界は平和になりましたし、なにより。魔物が増えて立ち入り禁止になっていた、『ランドラの森』――今は亡きフィルお母様とよく遊んだ場所に、行けるようになりました。ですので、その感謝の気持ちも込めて――
「お姉ちゃん、邪魔。マティアス様が見えないから場所変わって」
「イリス、そこにいたらアナイスの視界を遮るでしょう。いますぐ下がりなさい」
頭を下げる準備をしていたら……。異母妹に足を踏まれ、継母に強引に服を引っ張られました。
日差しがきついからと、私を日よけにしていたはずなのに……。どうして、急に前に……?
不思議に思っていたら、その理由が分かりました。容姿に自信があるアナイスはマティアス様に自分の顔を見せ、英雄様との交際を狙っているようです。
「英雄の奥さんになれたら、みんなに羨ましがられるもんね……っ。絶対に、落としてみせるんだからっ!」
「アナイス、頑張って。ママも応援しているわよ――まぁっっ!! マティス様がこっちをご覧になられているわっ!!」
少しだけ毛先に癖のある、肩まで伸びた金髪の髪。ややツリ目なブルーの瞳と、まるで造形品のような鼻。180超えのスラッとした体型、などなど。王子様然としたマティアス様の視線が止まり、更には馬車から降りてこちらへと歩いてきています。
(すごいわアナイスっ! マティアス様が興味を持ってくださったみたいよっっ!!)
(やったぁ、さすが英雄様っ。力だけじゃなくって、ひとを見る目も超一流なんだね~!)
周囲がざわつく中、ゆっくりと近づいてくるマティアス様。英雄様は、密かに興奮している2人へと近づいて――
「イリス、だよね。お待たせ。君のために、世界を救ってきたよ」
――えっ……?
英雄様はそう仰りながら、私へと優しく微笑んでくださったのでした。
「「「「「マティアス様っ、ありがとうございます……! 貴方様のおかげでこの世界は平和になりました……!!」」」」」
王都の中心にある、かつてこの国『ヴィンス』の建国が宣言された場所・ヴィンス中央広場。そこには現在、国内外から大勢の人々が集まり――貴族も平民も老若男女問わず集まり、英雄様の凱旋帰国を歓迎していました。
今からおよそ、100年前。この世界に突如として、魔王・ワオズが出現しました。
ワオズは自らの魔力を糧として大量の魔物を生み出し、その周辺にあった国々は一夜にして陥落。彼はそこを拠点とし、人間界を支配するべく動き始めたのです。
もちろん、人間側も黙ってはいませんでした。
この世界で最も力のある国、ヴィンス――私達の国の国王陛下が中心となって、全国から選りすぐりの戦士を集めて討伐部隊を結成。その名の通り、魔王ワオズを討伐するべく旅立たれました。
しかし――。魔王と魔物による『魔王軍』は邪悪かつ強力で、討伐隊は程なく全滅。
これまで計25回結成されて挑戦が行われましたが、帰還者は0。何百人もの優秀な戦士の方々が、命を落としてしまいました。
ですが、4日前。突如として、誰も予想だにしていなかった吉報が入ります。
17歳の少年マティアスが、魔王ワオズを討伐した。
なんと討伐隊にも騎士団にも所属していない、しかも私と同い年の男の子が、たった一人で倒してしまったのです。
魔王ワオズの消滅によって、彼から生まれた魔物も消滅。魔の者は全滅となり、世界は平和になったのでした。
「「「「「英雄マティアス様っ、万歳っ!! 英雄マティアス様っ、万歳っ!!」」」」」
「「「「「マティアス様っ、ありがとうございます……! 貴方様のおかげで世界は平和になりました……!!」」」」」
そのため全世界は歓声と希望に溢れており、ヴィンス中央広場はこの熱気。子爵家であるウチは勿論のこと侯爵家も公爵家も、全国の貴族が集っていて、かつてない量の歓喜で漲っています。
「「「「「英雄マティアス様っ、万歳っ! 英雄マティアス様っ、万歳っ!」」」」」
「「「「「英雄マティアス様っ、万歳っ! 英雄マティアス様っ、ばんざ――おおっ! いよいよこっちにいらっしゃるぞ!!」」」」」
現在マティアス様は馬車に乗って観衆に手を振られており、もうすぐ私達がいる場所にやってこられます。
この方のおかげで世界は平和になりましたし、なにより。魔物が増えて立ち入り禁止になっていた、『ランドラの森』――今は亡きフィルお母様とよく遊んだ場所に、行けるようになりました。ですので、その感謝の気持ちも込めて――
「お姉ちゃん、邪魔。マティアス様が見えないから場所変わって」
「イリス、そこにいたらアナイスの視界を遮るでしょう。いますぐ下がりなさい」
頭を下げる準備をしていたら……。異母妹に足を踏まれ、継母に強引に服を引っ張られました。
日差しがきついからと、私を日よけにしていたはずなのに……。どうして、急に前に……?
不思議に思っていたら、その理由が分かりました。容姿に自信があるアナイスはマティアス様に自分の顔を見せ、英雄様との交際を狙っているようです。
「英雄の奥さんになれたら、みんなに羨ましがられるもんね……っ。絶対に、落としてみせるんだからっ!」
「アナイス、頑張って。ママも応援しているわよ――まぁっっ!! マティス様がこっちをご覧になられているわっ!!」
少しだけ毛先に癖のある、肩まで伸びた金髪の髪。ややツリ目なブルーの瞳と、まるで造形品のような鼻。180超えのスラッとした体型、などなど。王子様然としたマティアス様の視線が止まり、更には馬車から降りてこちらへと歩いてきています。
(すごいわアナイスっ! マティアス様が興味を持ってくださったみたいよっっ!!)
(やったぁ、さすが英雄様っ。力だけじゃなくって、ひとを見る目も超一流なんだね~!)
周囲がざわつく中、ゆっくりと近づいてくるマティアス様。英雄様は、密かに興奮している2人へと近づいて――
「イリス、だよね。お待たせ。君のために、世界を救ってきたよ」
――えっ……?
英雄様はそう仰りながら、私へと優しく微笑んでくださったのでした。
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