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第10話 実は当たっていた予測と、156年間による尾ひれ ローラ視点(3)

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「移動中わたしなりに、回避できる可能性を考えてみたのだよ……。的外れかもしれないが……。聞いてみる――」
「聞くわっ!」「聞くよっ! 聞くに決まってる!! 教えてパパ!!」

 あたしとママは、同時に何度も何度も頷いた。
 このままだったら全滅が確定なんだん! なんだって聞くし試してみる!

「回避できるかもしれない方法って!? なにっ!?」
「……ニナの中に溜まっている、負の感情をなくす。これが、思い付いた案だ」

 負の……。なくす……。

「小説によると――当時の関係者である作者の分析によると、憑依の原因は体内にある負の感情となっていた。故にそれがなくなれば、霊は居づらくなったり憑依を続けられなくなったりして、助かるのではないか? そう思ったのだよ。2人は、どう思う……?」
「…………そうね。そうだわ……っ!」
「うんっ、あたしもそう思う……っ! きっとそうだよパパ……っ!!」

 そういう存在なら、正反対の感情は大嫌いなはず! そんなトコにいつまでも居るはずないからっ、そうなるはずっ!

「あなたっ、それは正解よっ! さすがわたくしの夫だわっ!」
「そうか……っ、お前達もそう思うのか……! では……っ」
「やろうっ! お姉ちゃんの中にある負の感情を0にして、乗っ取ろうとしている霊を追い出してっ、全員生き残ろっ!」

 大丈夫っ! あたし達はギリギリセーフっ。頑張れば、助かるっ!

「負の感情が溜まった原因は、わたしく達があれこれしてきたから。だったら、その逆を行えばいいのよねっ」
「うむ……っ。これまで行っていたことを全て止め、最高の待遇にする。そうすれば次第に負は減ってゆき……っ」
「解決っ。全滅回避、だね……っ」

 お姉ちゃんに親切にしたり持ち上げたりするのはすごく嫌だけど、死んじゃうよりはマシだもん。そうやって助かるのなら、何だってやる……っ。

「ならば、こうしていられないな。ここでの食事は中止にするとしよう!」

 いつも3人でコース料理を食べてきたって自慢してて、今日もレストランに行ってるって分かってるはず。この状況でそんなコトをしちゃうと、大変だもんね。否定するためにディナーはなしで、あたし達はキャンセル料を払って店を出た。

「帰ったらすぐ、4人で夕食にしよう。……それと、土産も買っていくか」
「そうね、あなた。この辺りで評判がいいのは……」
「この間のお茶会で出た、『ルナ』ってトコのエッグタルトが美味しかった。これを買って帰ろっ」

 そうしてあたし達はお姉ちゃんのためにエッグタルトを手に入れ、すぐ帰宅。その後は全力でお姉ちゃんを持ち上げたり一番質の良いフィレステーキを出したりして、全滅回避作戦がスタートしたのでしたっ。

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