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第11話 首を傾げる姉 ニナ視点(1)
しおりを挟む((お父様もお母様も、ローラも。どうしてしまったのかしら……?))
メソメソをやめてから、10日後。私は今日も、自分の部屋で首を傾げていた。
『ニナっ、有名店のエッグタルトを買ってきたぞっ。食事のあとで一緒に食べようじゃないか!』
『使用人、なにをやっているのっ? ニナにも同じものを持って来て頂戴っ。それと、ステーキは一番肉質のよいものを頼むわ!』
『こないだお姉ちゃんから借りてたネックレス、返すねっ。よく考えてみたら一番似合うのはお姉ちゃんで、あたしが持ってるとネックレスが可哀想だからっっ』
9日前――朝から外出して帰ってきた日はこんな調子で、
『そういえば長年、家族4人で出かけたことはなかったな。次の休みはみんなでどこかに行こうか!』
『いいわねあなたっ。ニナ、どこに行きたいっ?』
『今回は、お姉ちゃんが主役だよ~っ。パパとママもそう言ってるし、なんでもリクエストしちゃってよっ』
『ニナ、明後日はパーティーよね。時間的にオーダーメードはできないけれど、社交界で輝けるようにドレスを買ってあげるわ』
『え……? 私に、ですか……?』
『そうよ。ドレスを買ってあげ――あらごめんなさいっ。買ってあげるなんて上から目線よねっ! 不愉快だったわよねっ?』
『い、いえ。そうは、感じていませんよ』
『ぁっ!? ニナお姉ちゃんごめんなさいっ!! お姉ちゃんぶつかったのはワザとじゃないのっ!! 考え事をしてて見えなかったのっ!! ホントなのっ!! 嘘じゃないよっ!!』
『う、うん、分かってるよ。今までとはぶつかり方が違うから、分かってるよ』
その日から今夜までは、こんな様子だった。
((3人とも、まるで私に怯えているみたい。どうなっているの……?))
メソメソをやめたことによって、様々な良い変化が起きるとは思っていた。でもこれは、変わりすぎている。
時々、まるで化け物を見るような目をしているし。9日前に、何があったのかしら……?
「お嬢様。ようやく、把握できましたよ」
いつものように夜空を眺めながら考えていたら、ノックがあってエステスがやって来た。
彼女も疑問を抱いていて、ずっと3人の様子を探ってくれていたのよね。
「ありがとう、助かるわ。ローラ達があんな風になっている理由は、なんなのかしら?」
「180度の変化を超える、激変の理由。それは、こちらでございます」
エステスが差し出してきたのは、ハードカバーの本。小説だった。
??? この本が、理由……?
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