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第16話 4日後。対面の時 ニナ視点(1)
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レオナード・ナルテン様との、対面。それは、とても不思議な始まりとなった。
あの日から4日後の、正午過ぎ。大勢の護衛の方々と共にナルテン様はいらっしゃられ、ウチは使用人さんも含め全員でお出迎えをさせていただいた。
まずは当主であるお父様が一礼をして、そのあと私がご挨拶を行った。そうしたら――
「……………………」
――ナルテン様は、私を見つめたまま固まった。
それまでは落ち着いた雰囲気を纏ってお父様と言葉を交わされていたのに、私の番になるとご様子が一変。左右の瞳が僅かに大きくなり、動きが止まってしまった。
((もしかして……。何かしらの粗相があったのかしら……?))
すぐ自分自身の行動を振り返ってみて、でも、それは違う。私は笑顔でご挨拶をしただけで、無作法となる行為は一切取っていない。
「あ、あの。ナルテン様。どう、されたのでしょうか……?」
「…………え? い、いえ、なんでもありません。失礼致しました。ニナ様、歓迎のお言葉ありがとうございます。こうして機会を与えてくださり、感謝いたします」
思い当たる節がないので恐る恐る伺うと、先程までの雰囲気が戻られ、紳士然とした振る舞いを返してくださった。
緊張気味に挨拶を行ったローラと言葉を交わしている時も、再びお父様とお話をされている時も、不可思議な様子はない。あれは、なんだったのかしら……?
「アルフォンズ卿。それでは」
「は、はい……っ。こっ、こちらへどうぞ……っ」
心の中で首を傾げている間にお父様とのお話が終わって、お父様の先導で私とナルテン様は応接室へと向かう。そうして中に入ると、すでに高級な紅茶とお茶菓子――フィナンシェやブッセが用意されていて、案内を終えたお父様は、
「では、わたしは失礼いたします。ナルテン様、御入用がございましたら遠慮なくお申し付けくださいませ……!」
これまで見たことがないくらいの低姿勢で愛想笑いを浮かべ、自ら紅茶を淹れてお菓子が載ったお皿を私達の前に置き、そそくさとその場を去った。
そのため、室内にいるのはナルテン様と私のみ。無関係な人は誰もいないので、私はずっとお伝えしたかったお言葉を伝えることにした。
あの日から4日後の、正午過ぎ。大勢の護衛の方々と共にナルテン様はいらっしゃられ、ウチは使用人さんも含め全員でお出迎えをさせていただいた。
まずは当主であるお父様が一礼をして、そのあと私がご挨拶を行った。そうしたら――
「……………………」
――ナルテン様は、私を見つめたまま固まった。
それまでは落ち着いた雰囲気を纏ってお父様と言葉を交わされていたのに、私の番になるとご様子が一変。左右の瞳が僅かに大きくなり、動きが止まってしまった。
((もしかして……。何かしらの粗相があったのかしら……?))
すぐ自分自身の行動を振り返ってみて、でも、それは違う。私は笑顔でご挨拶をしただけで、無作法となる行為は一切取っていない。
「あ、あの。ナルテン様。どう、されたのでしょうか……?」
「…………え? い、いえ、なんでもありません。失礼致しました。ニナ様、歓迎のお言葉ありがとうございます。こうして機会を与えてくださり、感謝いたします」
思い当たる節がないので恐る恐る伺うと、先程までの雰囲気が戻られ、紳士然とした振る舞いを返してくださった。
緊張気味に挨拶を行ったローラと言葉を交わしている時も、再びお父様とお話をされている時も、不可思議な様子はない。あれは、なんだったのかしら……?
「アルフォンズ卿。それでは」
「は、はい……っ。こっ、こちらへどうぞ……っ」
心の中で首を傾げている間にお父様とのお話が終わって、お父様の先導で私とナルテン様は応接室へと向かう。そうして中に入ると、すでに高級な紅茶とお茶菓子――フィナンシェやブッセが用意されていて、案内を終えたお父様は、
「では、わたしは失礼いたします。ナルテン様、御入用がございましたら遠慮なくお申し付けくださいませ……!」
これまで見たことがないくらいの低姿勢で愛想笑いを浮かべ、自ら紅茶を淹れてお菓子が載ったお皿を私達の前に置き、そそくさとその場を去った。
そのため、室内にいるのはナルテン様と私のみ。無関係な人は誰もいないので、私はずっとお伝えしたかったお言葉を伝えることにした。
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