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第9話 いざ断罪へ ~とある告白を添えて~(2)
「デモン商会の商会長は、アルド様の仮のお姿。本職は魔王様であり、我々51億の魔を統べる御方なのでございます」
突然。空中に羽の生えた目玉が現れて、なんかカーチスさんの紹介を始めた。
…………。あたし、初めて知ったよ。未曽有のビックリが連続すると、逆に少しも驚かなくなっちゃうんだね。
「おっと、御挨拶が遅れました。わたくしめはアルド様の使い魔、レイと申します」
「こやつは俺の命を受け、情報の収集を行っていたのだ。実行犯の速やかな特定と捕縛が叶ったのは、こやつの働きあっての事だ」
「そ、そうだったんですね……。お世話になりました」
「「「「「「「「にゃ、にゃあ」」」」」」」」
「これはこれはご丁寧に。身に余る光栄でございます」
目玉ことレイさんは黒い羽根をパタパタと動かし、「ここからはわたくしめが、皆様の疑問を解消いたします」と、10センチくらいの全身を大きく使って会釈をしてくれた。
「実を言いますと。この世には『人が住む世界』と『魔族が住む世界』の2つが存在しており、ある日――今から450年前に、異なる空間にあった2つの世界が偶然繋がったのでございます。ちょうど皆様がお住まいの、ドゥタス村。あそこに、2つの世界を行き来できる『歪み』が誕生したのでございます」
「「「「「「「「にゃぁ……」」」」」」」」
「そ、そうなんですね……。じゃあもしかして、あの立ち入り禁止の山が……」
「はい、歪みのあるポイントでございます。これは、余談となりますが――。2つの世界を繋ぐ場所という意味を込め、あの村は『2』を含んだドゥタスと名付けられました」
あんな近くに、そんあものがあったんだね……。普段の精神状態だったら、腰が抜けてるよ。
「繋がりを把握した人間と魔族はお互いの世界に乗り込み、やがては互いの地にしか存在しない物の存在を知り、互いを支配下におくべく大きな争いが幕を開けます。その戦は各世界に甚大な被害をもたらし、多くの命が散りました」
「……そんな話、初耳です。本でも、読んだ記憶がありません」
「341年前に当代魔王のアルド様と、当時の勇者殿が――魔族と人のトップがのちに『ペイオ』となる地で意味通りの和平を結び、2つの種族が共生の道を選択したからでございます。先代の魔王様や勇者殿とは違い、両種族の支え合いを選ばれましたので。互いの関係も少しずつ改善して良きパートナーとなり、互いに自然と『負の歴史』が風化していったのでございます」
魔族側は、魔族の土地でしか採れない『魔石』を提供。それによって人間の文明は、飛躍的な進歩を遂げた。
人間側は、人間の土地でしか採れない『野菜』を提供。それによって魔族は新たな栄養源を手に入れ、飢えの心配がなくなった。
いつしか大切なパートナーであり友となったため、敢えて過去を語り継がなかったみたい。
「とはいえ魔にとって人は、人にとって魔は、異質な存在でございます。事実を知って恐怖する者、敵視する者、再びよからぬ企みをする者などなど。互いの存在の認知は、再度悲劇をもたらす可能性がございました。そのため両陣営の提案で『互いの存在の記憶を消去』する魔術が発動され、極一部の者のみ知り得る存在となったのでございます」
「魔族界では、魔王とその直属の部下。人間界では、王と王族が対象だな。ただし王が不適合だと判断すれば、その家族にも秘匿される。今代では、王妃以外の者――王太子、第2王子、第3王子、第4王子は除外されているそうだな」
レイオン殿下もその下の人達も、悪用しそうだもんなぁ。国王陛下の目に、狂いはないね。
「ちなみに今代のように子孫全員が不適合だった場合は、アルド様が選定した者が次期国王を務めることとなります。『アルドさん。この国が困った時は、力を貸してね』――。こちらは和平時の勇者殿の遺言でして、そのため厳密には、アルド様が人間界の真なる長なのでございます」
「他所の世話など面倒極まりないが、友との約束だ。この命尽きるまで、ヤツが愛した土地の面倒を見てやるさ」
カーチスさんは窓の外をチラッと眺めて目を細め、そのあとクククっと喉を鳴らしました。
「国の有事以外は干渉はしないつもりだったが、偶には私情で動いてもよいだろう。レイよ、王には伝えてあるな?」
「下手人を引き渡す際に、抜かりなくお伝えしております。首魁の一部である王太子ニオズとリンナ・チュエズはすでに呼び出されておりまして、魔王様が到着される5分前には王の間に揃うものと思われます」
「そうか。……出来が至極悪いとはいえ、友の子孫との久々の再会だ。胸が躍るな」
あたし達を乗せた馬車はその後も夜道を走りつつげ、およそ2時間半後に到着。事前の連絡があったため顔パスで門を通り抜け、あたし達は――あたし、ミケ、サバ、チャ、キジ、グレ、サビ、シロ、クロは、カーチスさんに続いて王の間に足を踏み入れたのでした。
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