婚約者にも家族にも裏切られたので、小さな村でモフモフカフェを開くことにしました

柚木ゆず

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第11話 ニオズとリンナ 特別な場所で(1)

「…………ここは……?」「…………ここは、どこ……?」

 王太子ニオズと、侯爵令嬢リンナ。二人は気が付くと、見知らぬ場所――爽やかな青空の下にある、広々とした畑のど真ん中に立っていました。

「…………そもそろ僕は、なにをしていたんだ……? 思い出せない……。頭の中に、もやがかかっているような――思い出したぞ!! カーチス!! 魔王!! アイツに何かをされたんだ!!」

 今まで魔石の商人だと思っていた男は、別世界の王・魔王アルドだったこと。人外の力で白状させられ、罰を与えると言われたこと。アルドが指を鳴らすと意識が途絶えたこと。
 王宮で起きた出来事を思い出し、ニオズは――リンナも一緒になって、周りを急いで見回しました。

「アイツはっ、アイツらはどこに行った!? あの指鳴らしはなんだったんだ!? なんのために僕達をここに連れて来たんだ!?」
「そちらの質問には、オレが答えてやろう。ここは貴様らしか存在しない、特別な世界。ほんに反省をしているかを審判する場だ」

 不意に二人の前に、身長2メートル以上はある異形――漆黒の角と翼を生やした大男が現れました。

「「しん、ぱん……?」」
「喜べ、魔王様はチャンスをくださったのだ。この世界の管理者であるオレが『ニオズとリンナは心より反省している』と認めたら、貴様らは元の世界に戻ることができる。しかも、全ての罪を水に流す――王太子と侯爵令嬢の地位を維持できるというおまけつきでな」
「っ! 本当ですか!?」「っっ! 本当なのですか!?」
「すべて、本当だ。その言葉に嘘はない」
「ありがとうございます!! どっ、どうすればいいのでしょうか!? どうすれば認めていただけるのでしょうか!?」
「痛み入ります!! なっ、なにか行えばよろしいのでしょうか!?」

 あまりに嬉しすぎる提案によって、二人の顔は瞬く間に一変。どちらも満面の笑みを咲かせ、前のめりになって尋ねました。

「この畑にこの種を植え、『トマト』を育てろ。種植えから収穫までの一か月間の貴様らの姿をオレが監視し、最終日に判断する」
「トマトを、育てる……? それで、正しく判断できる――ああいえっ、判断していただけるのでしょうか……?」
「可能だから採用している。そんなことも分からないのか?」
「しっ、失礼致しました!! おっ、行わせていただきます!!」

 内心は『それが王太子殿下への態度か!!』と苛立っていますが、本音を出したら台無しになってしまいます。ニオズはすぐさま下手に出て種が入った袋を両手で受け取り、そうして二人はトマトを育て始めたのでした。
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