婚約者にも家族にも裏切られたので、小さな村でモフモフカフェを開くことにしました

柚木ゆず

文字の大きさ
31 / 39

第11話 ニオズとリンナ 特別な場所で(4)

「ぐ!? ぐああああああああああああああああああああ!!」
「あぁ!? ぁあああああああああああああああああああ!!」

 悲鳴をあげ、更には地面を転げ回る。
 二人の様子が突然おかしくなった原因は、激痛。突如として全身に激痛が走るようになったため、このようになってしまっていたのです。

「痛い!! 痛い!! 痛いっ!! しぬうううううううううううううう!!」
「内側が!! 内側が裂ける!! 穴があく!? ぎぃいいいいいいいいい!!」

 まるで身体の中に、大量の針が入ったかのよう。内から外に向けての激しい痛みがあちこちで発生し、二人は鼻水と涙をまき散らします。

「なぜぇ!? どうしてぇ!?」
「なにもなかった、のにぃ!? なんでぇぇぇ!?」
「オレの問いに、嘘を吐いたからだ。……貴様らが育てたものはトマトだが、いささか特別なトマトなのだ」

 体内にある状態で嘘を吐くと、激しい痛みを発生させる。今二人が食べたものは、そんな効果を持っていたのです。

「貴様らの言葉は口先、本心はまるで違っている。思っていた通り一か月間のアレは、助かるための方便だったというワケだ」
「ちぃっ、ちがいますぅぅぅぅ! ほんとぉにいぃぃぃぃぃぃぃ!! ほんとぉぉぉなんですぅぅぅぅぅぅぅぅぅうう!!」
「はんせいもぉっ! こうかいもぉっ、してっ、ますううううう!! 信じてぇえええええええええええええええ!!」
「トマトが反応しているのだから、信じられるはずがないだろう。貴様らに対する審判は、認めない、だ」

 元の世界に戻れはしない。
 そう宣告されてしまいました――が、それどころではありません。今なお激痛に襲われている二人は、転げ回りながら監視者を見上げました。

「たすけ! たすけぇぇぇ!! たすけてぇえええ!!」
「とめて! いたみをっ、とめて!! おねがいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」
「ふ、その痛みは誰にも止められん。一日経つまではこのままだ」
「「一日ぃ!?」」

 嫌だ! 嫌だ!!
 嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌嫌。

 ふたりの頭の中を『嫌』が埋め尽くしますが、どんなにそう思っても痛みが止まることはありません。

「ぎゃあああああああああああああああああああああああああああああ!!」
「うぎいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

 しっかり24時間、ニオズとリンナは激痛を味わう羽目になり――

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ……。や、やっと……。痛みが、消え、た――ぁ、ぁああああああ……!!」
「はぁ、はあ、はぁ、はぁ、はあ……。おわ、った……。やっと、痛みがなくな――ぁぁぁ……!!」

 ようやく苦しみから解放された二人でしたが、安堵していた顔はすぐに青ざめてしまいました。
 なぜならば――
感想 17

あなたにおすすめの小説

『病弱な幼馴染を優先してください』と言った妻が消えた翌日、夫は領地の会計書類が全て白紙になっていることに気づいた

歩人
ファンタジー
侯爵家に嫁いで五年。ルチアは夫エミルの領地会計・社交・使用人管理を全て一人で担ってきた。だがエミルはいつも幼馴染のアリーチェを優先する。「アリーチェは体が弱いんだ、お前とは違う」——その言葉を百回聞いた日、ルチアは微笑んで離縁届に署名した。「ええ、私は丈夫ですから。どうぞ幼馴染様をお大事に」。翌朝、エミルが目にしたのは——税務報告の締切、領民からの陳情の山、そして紅茶の淹れ方すら知らない自分。三ヶ月後、かつて「地味な妻」と呼ばれたルチアは、辺境伯の財務顧問として辣腕を振るっていた。

王太子に「戦友としか思えない」と言われたので、婚約を解消しました

明衣令央
恋愛
婚約者である王太子ヘンリーから「君のことは戦友としか思えない」と告げられた、公爵令嬢アリスティア。 十年以上の王妃教育を積んできた彼女は、静かに婚約解消を受け入れる。 一年後、幸せな結婚を迎えた彼女にとって、ヘンリーのその後は――もうどうでもいいことだった。

貧乏人とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の英雄と結婚しました

ゆっこ
恋愛
 ――あの日、私は確かに笑われた。 「貧乏人とでも結婚すれば? 君にはそれくらいがお似合いだ」  王太子であるエドワード殿下の冷たい言葉が、まるで氷の刃のように胸に突き刺さった。  その場には取り巻きの貴族令嬢たちがいて、皆そろって私を見下ろし、くすくすと笑っていた。  ――婚約破棄。

愛を知った私は、もう二度と跪きません

阿里
恋愛
泥だらけのドレス、冷え切った食事、終わりのない書類仕事。 家族のために尽くしてきたエカテリーナに返されたのは、あまりにも残酷な追放宣告だった。 「呪われた男にでも喰われてこい」 そう笑って送り出した彼らは知らなかった。辺境伯ゼノスが、誰よりも強く、美しく、そして執着心が強い男だということを。 彼の手によって「価値ある女」へと生まれ変わったエカテリーナ。 その輝きに目が眩み、後悔して這いつくばる元家族たち。 「エカテリーナ様、どうかお助けを!」 かつて私を虐げた人たちの悲鳴を聞きながら、私は最愛の夫の腕の中で、静かに微笑む。

殿下は婚約破棄した私を“横領犯”として追放しましたが、私が“王国の財布”だとご存じなかったのですか?

なかすあき
恋愛
王太子の婚約者であるレティシアは、愛ではなく“王国の財布”に選ばれた内政官だった。 干ばつ救済基金を管理し、徴税と支出の流れを整え、国が崩れないように回してきたはずなのに。 舞踏会の夜。 聖女セシルの涙と王太子の言葉が、レティシアを一瞬で“横領犯”に仕立て上げる。 反論しても届かない。空気が判決を下す場所で、レティシアは追放された。 落とされた先は、干ばつに喘ぐ辺境。 水のない井戸、荒れた配給所、怒りの列。 レティシアは泣く代わりに、配給と水路と記録を整えた。奇跡ではなく、段取りで。 やがて王都は、レティシアがいなくなった穴から静かに壊れ始める。 支払いは止まり、責任は溶け、聖女の“物語”だけが空回りする。 呼び戻しの使者が来ても、レティシアは従わない。戻る条件はひとつ。 ――公開監査。 記録水晶が映し出すのは、涙では隠せない日付と署名、そして“誰が何を決めたか”という事実。 この逃げ場のない復讐劇の先に残るのは、王都の再起ではなく、辺境の明日だった。 これは、道具として捨てられた内政官が、二度と道具に戻らず、“責任を固定する”ことで国を救い、自分の居場所を選び直す物語。

『お前のためを思って言っている』が千回記された日記帳が、社交界に流出した件

歩人
ファンタジー
「お前のためを思って言っている」「普通はこうだろう?」「お前が悪いから怒るんだ」——ディートリヒ侯爵子息は、婚約者のカティアにそう言い続けた。3年間、毎日。カティアは日記をつけていた。恨みではない。「何が普通なのか」を確かめるために。日記には日付と、彼が言った言葉だけが記されている。感想も解釈もない。ただ事実だけ。婚約破棄の場で、カティアは日記を読み上げなかった。ただ、茶会で親しい令嬢に見せただけだ。令嬢たちは青ざめた。「これ、全部言われたの?」日記は写本され、社交界に広がった。ディートリヒ本人は「何がおかしいのかわからない」と主張した。——それが一番怖いのだと、誰もが理解した。

「お前の看病は必要ない」と追放された令嬢——3日後、王子の熱が40度を超えても、誰も下げ方を知らなかった

歩人
ファンタジー
「お前の看病などいらない。薬師がいれば十分だ」 王太子カールにそう告げられ、侯爵令嬢リーゼは静かに宮廷を去った。 誰も知らなかった。夜ごとの見回り、薬の飲み合わせの管理、感染症の予防措置——宮廷の健康を守っていたのは薬師ではなくリーゼだったことを。 前世で救急看護師だった記憶を持つ彼女は、辺境の診療所で第二の人生を始める。 一方、リーゼが去った宮廷では原因不明の発熱が蔓延し、王太子自身も倒れる。 迎えに来た使者にリーゼは告げる——「お薬は出せます。でも、看護は致しません」

旦那様、本当によろしいのですか?【完結】

翔千
恋愛
ロロビア王国、アークライド公爵家の娘ロザリア・ミラ・アークライドは夫のファーガスと結婚し、順風満帆の結婚生活・・・・・とは言い難い生活を送って来た。 なかなか子供を授かれず、夫はいつしかロザリアにに無関心なり、義母には子供が授からないことを責められていた。 そんな毎日をロザリアは笑顔で受け流していた。そんな、ある日、 「今日から愛しのサンドラがこの屋敷に住むから、お前は出て行け」 突然夫にそう告げられた。 夫の隣には豊満ボディの美人さんと嘲るように笑う義母。 理由も理不尽。だが、ロザリアは、 「旦那様、本当によろしいのですか?」 そういつもの微笑みを浮かべていた。