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エピローグ 特別営業
「「「「「「「「にゃぁ~っ」」」」」」」」
「お待たせいたしました。特製スフレパンケーキとオリジナルブレンドでございます」
大きな出来事があった次の日の、午後6時半過ぎ。閉店後のカフェ『ラング・ド・シャ』の店内では、カーチスさんをお迎えして特別営業が行われていました。
この方のおかげで殿下やミントの罪が露見して、たった一日で何かもが元通りになった。
お母様の不名誉な噂がなくなったのも、お店にお客様が戻ってきてくれたのも。全て、この方が動いてくれたから。
あたしにできるのは安らぎの場を提供することくらいなので、自慢の料理で恩返しをするようにしたのです。
「「「「「「「「にゃぁ~っ。にゃぁっ!」」」」」」」」
「どうぞ。お召し上がりください」
「うむ。いただくとしよう」
いつものようにシロ達を肩や膝に載せたカーチスさんは、静かに頷いてぱくり。心を込めて作ったパンケーキを満足そうに食べてくださり、お皿とカップが空っぽになったのを確認してから、あたしは改めて深く頭を下げた。
「貴方がいてくださらなければ、今こうしていられませんでした。カーチスさん、昨日は本当にありがとうございました」
街で気付かせてくれて、ありがとうございました。
お城で殿下達にああしてくれて、ありがとうございました。
実家でミント達を懲らしめてくれて、ありがとうございました。
こうやって引き続きお店を開けるのは、みんなともっともっと分かり合えたのは、カーチスさんのおかげです。
「「「「「「「「にゃっ! うにゃぁ~っ」」」」」」」」
「以前にも口にしただろう? こちらは、私利で動いただけだ。貴様らが礼を言う必要はない」
ミケ、サバ、チャ、キジ、グレ、サビ、シロ、クロ、みんなをゆっくりと撫でて、あたしに視線が向く。
「俺という存在がこの店『ラング・ド・シャ』とサーラのファンになり、あやつらが目障りだっただけのこと。魅力された客が、好き勝手に動いただけだ」
「…………そう、ですか。そうなんですね」
「うむ、そうだ。繰り返すが、故にそんなものは不要。どうしても感謝をしたいというのであれば、末永い営業、という形で返してくれ」
カーチスさんはお店全体、空になったお皿とカップ、みんな、あたしを順に見回し、自分の胸に軽く触れる。
「この場所はほんに、ココに安らぎを与えてくれるのだ。これからもお前達は、我が日常であり続けてくれればいい。よろしく頼むぞ、ミケ、サバ、チャ、キジ、グレ、サビ、シロ、クロ。サーラ」
「「「「「「「「にゃ~っっ!」」」」」」」」
「はいっ! お任せくださいっ! こちらこそ、これからも末永くよろしくお願い致しますっ!」
あたし達は揃って頭を下げ、1、2、3。初めて来てくださった日と、同じタイミングで揃って顔を上げると――。今日は、その先では穏やかな微笑みが待っていました。
「今宵は、実に気分が良い。もう一品オーダーさせてもらおうか」
「喜んでっ。何に致しましょうっ?」
「母直伝の次は、娘のオリジナルを味わいたくなった。苺のパンケーキサンドを頼む」
「畏まりましたっ。少々お待ちくださいっ」
笑顔で返事をしたあたしはキッチンスペースに入り、
「「「「「「「「にゃぁ~っ!」」」」」」」」
みんなはカーチスさんの傍で明るく鳴いていて、
「む? 全員、顎を撫でて欲しいのか? お前達はほんに、甘え上手だな」
カーチスさんは幸せそうに笑っていて、そんな姿を見ながら心を込めて調理を行う。
お母様。
第2の人生は大変な時もありますが、新しい家族と常連さんのおかげでとっても楽しいです。
これからはきっと、ううん、絶対に。もっともっと笑顔溢れる毎日になりますので、安心して見守っていてくださいね。
サーラ・ソリテールは今、すっごく幸せです……っ。
◇◇◇
「お待たせいたしました。苺のパンケーキサンドでございますっ」
「うむ。………………む?」(この温かさは……)
「「「「「「「「にゃ~?」」」」」」」」
「カーチスさん? どうかなさいましたか?」
「否、些末事だ」(ふっ。どうやら、本人も知る由がないようだが――。この感情は一体、どちらなのだろうな?)
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