最後のチャンス~殿下、その選択でよろしいのですね?~

柚木ゆず

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第4話 婚約破棄 ナタン視点(1)

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 もしも婚約破棄が発生してしまった場合――。その儀式は、少々特殊な形式で執り行われることとなる。

「「「「「……………………」」」」」
「「「「「……………………」」」」」

 歴代国王の肖像画が四方を囲む、王族に関する重要な儀式を行うためだけ存在する場所・儀礼の間。まずはそこに国王、王妃、第二王子、王家の血を引く者達親族たち、宰相、大臣が集まり、永遠の別れという花言葉がある花スイトピーを持った状態で待機する。
 そしてその後、まずは『問題が起こされた方』が入場。空間の中心部に設けられている祭壇の前まで移動し、立ち止まる。

「……皆様。ご迷惑をおかけいたします」

 今回それに該当するのは、ここにいるナタン王太子殿下だ。そのため祭壇の前で俺は立ち止まり、周囲に向けて粛々と礼を行った。
 そして、くくく。その次は――

「失礼致します」

 煌めく金髪を腰まで伸ばした、白磁の如き肌を持つ人形のように美しい女。見た目だけは優秀な、ルーラ・ミラファンスが現れた。

((そう。コレを、ずっと楽しみにしてたんだよ))

 この国では婚約によって『強い糸』で魂と魂が結ばれると信じられていて、しっかり絶たないと縁は解消できないと信じられている。そこで『問題を起こした方』も参加することになっていて、つまりは――。

 大勢の前で恥をかかせ、全てを剥奪する。

 こんな最高なことを、目の前で行えるのだ。
 これが先日言及していた『プラスα』で、心の中でほくそ笑んでいる間にルーラが隣――俺から10メートルほど右方向に離れた場所へと、隣へとやって来た。こんな立ち位置となっているのは、もしものトラブルへの対策。万が一暴れ出したら、取り押さえられるようになっているのだ。

「…………全員、揃ったようだな。では始めるとしよう」

 この場を取り仕切るのは、現国王である父上。そのため室内を確認したあと祭壇に立ち、

「さあ。宣言を行ってくれたまえ」

 粛々と俺達を順に見つめた。なので『起こされた側』である俺は静かに頷き、一度息を吸って吐いて――


「本日この時を以て、私ルーラ・ミラファンスはナタン・ベルフレイクとの婚約を破棄いたします」


 息を吸って吐いていたら、ルーラが突然おかしなことを言い出したのだった。
 は? は……?

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