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第3話 2つの予想外 ナタン視点(2)
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「今日より婚約破棄が宣言されるその日まで、王太子ナタンは王の命を受け外遊を行っていると告げることと決めた」
父上が今日この場へ呼んだ、もう一つの理由。それは、予想外――ではなく、極々当たり前のことだった。
「理由は――」
「理解しております。公の場に出ると不自然が発生してしまうため、出なくていいようにされているのですよね?」
この国では婚約している場合、15歳以降は公務に婚約者を同行させるという伝統が存在している。
ところが今は、ルーラのせいによってこんな状況となってしまった。目を瞑って当分の間同行させることはできるはずがないし、公表もまだできない状態となっている。そのためそういったやり方で、時間を稼ぐんだ。
「今後を自然とするためなのですから仕方がありませんし、そもそも――。ここまで問題が大きくなってしまったのは、俺の甘さにありました」
「……………………」
「ですので、色々と制限が生まれてしまうのは自業自得。喜んで頷かせていただきますよ」
というのは、嘘だ。
民共の前に姿を現して羨望の眼差しを浴びたり、高位貴族にごまをすられたり。そういった愉悦に浸れないのは腹立たしく、激しく苛立っている。
だが本性を晒してしまえば台無しになってしまうため、それらを呑み込み我慢しておく。
「変装をすれば外出などはできますし、幸いにも城内には書庫など暇を潰せる場所がありますので、お気になさらないでください」
「……………………そうか。では、頼んだぞ」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
そうして俺は踵を返して王の間を去り、退屈な日々が幕を開けた。
各所への視察もパーティーへの出席もない、俺にとっては無味乾燥な時間。
それが続くようになってしまったが、まあ、その終着点には『ルーラが王太子妃ではなくなる』という最高のイベントと『プラスα』があった。なのでそいつを楽しみにしながら時を過ごし、
((くそっ! 来年はこの分も上乗せして、過去最大規模で開催させてやるからな……!))
状況が状況なので身内のみの地味な生誕祭が行われ、それから更に1・5か月が経過した頃――あの日から、合わせて2・5か月が経った頃だった。
「ナタン。明日の正午、婚約破棄に関する儀を執り行う」
ついに、その時がやって来た。
なので俺は嬉々としながら準備を行い、翌日の午前11時55分。俺は含み笑いながら自室を後にして、その儀式が実行される『儀礼の間』を目指したのだった――。
父上が今日この場へ呼んだ、もう一つの理由。それは、予想外――ではなく、極々当たり前のことだった。
「理由は――」
「理解しております。公の場に出ると不自然が発生してしまうため、出なくていいようにされているのですよね?」
この国では婚約している場合、15歳以降は公務に婚約者を同行させるという伝統が存在している。
ところが今は、ルーラのせいによってこんな状況となってしまった。目を瞑って当分の間同行させることはできるはずがないし、公表もまだできない状態となっている。そのためそういったやり方で、時間を稼ぐんだ。
「今後を自然とするためなのですから仕方がありませんし、そもそも――。ここまで問題が大きくなってしまったのは、俺の甘さにありました」
「……………………」
「ですので、色々と制限が生まれてしまうのは自業自得。喜んで頷かせていただきますよ」
というのは、嘘だ。
民共の前に姿を現して羨望の眼差しを浴びたり、高位貴族にごまをすられたり。そういった愉悦に浸れないのは腹立たしく、激しく苛立っている。
だが本性を晒してしまえば台無しになってしまうため、それらを呑み込み我慢しておく。
「変装をすれば外出などはできますし、幸いにも城内には書庫など暇を潰せる場所がありますので、お気になさらないでください」
「……………………そうか。では、頼んだぞ」
「はい。こちらこそ、よろしくお願いいたします」
そうして俺は踵を返して王の間を去り、退屈な日々が幕を開けた。
各所への視察もパーティーへの出席もない、俺にとっては無味乾燥な時間。
それが続くようになってしまったが、まあ、その終着点には『ルーラが王太子妃ではなくなる』という最高のイベントと『プラスα』があった。なのでそいつを楽しみにしながら時を過ごし、
((くそっ! 来年はこの分も上乗せして、過去最大規模で開催させてやるからな……!))
状況が状況なので身内のみの地味な生誕祭が行われ、それから更に1・5か月が経過した頃――あの日から、合わせて2・5か月が経った頃だった。
「ナタン。明日の正午、婚約破棄に関する儀を執り行う」
ついに、その時がやって来た。
なので俺は嬉々としながら準備を行い、翌日の午前11時55分。俺は含み笑いながら自室を後にして、その儀式が実行される『儀礼の間』を目指したのだった――。
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