最後のチャンス~殿下、その選択でよろしいのですね?~

柚木ゆず

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第3話 2つの予想外 ナタン視点(1)

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「え……? なんですって……!?」

 この城の中で、最も荘厳な雰囲気を放つ場所。王の間。そこへと足を踏み入れた俺は、おもわず何度も目を瞬かせていた。
 扉をくぐる前とあとで、こんなにも様子が変わってしまった理由。それは――

「ナタン。こたびの件に関する婚約破棄の宣言は、時期を未定とする」

 ――父上が、このように仰られたからだ。

「未定っ? なぜ、そんなことになるのですか……!?」

 王太子殿下――次期国王様に関する問題なのだから、ある程度時間がかかるのは理解していた。だが、これはいくらなんでも長すぎる!
 どうしてこんなにも時間がかかるんだ……!?

「この件は国内は勿論のこと、国外にも影響がのある問題。故にわたしも当初は、可及的速やかに処理をするつもりだったのだよ」
「……でしたら……。なぜ……?」
「…………昨日(さくじつ)とある予想外が、発生したのでな。そちらを考慮し、そうすると決めたのだよ」

 予想外? それは、まさかっ!

「ルーラが何かしら言い訳を始めたのですか!? 認められないと、何らかの形で激しく抵抗を――抗議を始めっ、父上たちは信じ始めてしまったのですか!?」
「いいや、そうではない。彼女からもミラファンス家からも、そういった声は上がっておらんよ」

 どうやら、俺が懸念したものではないらしい。諸事情によって内容は明かせないみたいだが、そういった問題は起きていないようだ。

「とにかく時期は未定で、『日程が決まり次第伝えるゆえ待機しているように』。これが今日お前をここへ呼んだ、一つ目の理由だ」
「ひとつめ、ですか? 父上、他には何があるのでしょうか……?」

 少々困惑していた俺は、さらに困惑することとなった。
 他に話をするような問題は、なかったはず。思い当たる節がまったくないんだが、父上は何を仰ろうとしているんだ……?

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