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第2話 婚約破棄について ナタン視点(2)
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「ルーラ嬢は、彼女は本当に、そういった発言をしたのだな?」「ルーラちゃんは、確かにそのようなことを口にした――していたのよね?」
父上と母上が、俺を止めた理由。それを、再確認を行うためだった。
「彼女は民を愛し感謝をする、この上ない人格者。先ほどああは言ったものの、どうにも受け入れられんのだよ」
「今まで幾度となく接して来たけれど、そんな感情があると感じたことは一度もなかったわ。納得、できないのよね……」
「父上母上がそう思われるのは、無理もありません。ルーラの擬態は、それほどまでに完璧だったのですから」
こういった場合最も有用なのは、『印象』。ルーラは非常に高い評価を得ているが、こっちも同等の評価を受けている。それになにより、ヤツの何倍もの時間を一緒に過ごしているんだからな。
必然的に俺が上回り、ああやってルーラの前では頻繁に鬱憤を晴らしていても、俺の言葉に真実味があるようになるんだよなぁ。
「俺はふとした会話で、それを知りまして。最初に聞いた時は、しばらく言葉がでませんでしたよ」
「……………………」「……………………」
「人は、見た目だけじゃ分からない。実際にじっくり関わってみないと本質は掴めない。そう、痛感しましたよ」
「……………………」「……………………」
「そして……。そういった人間は、なにをやっても無駄。とも、痛感しました……」
「……………………そうか」「……………………そうなのね」
だからこんな風になり、俺は一切疑われることなく確認は終わった。
(せめて、迷いでもあればよかったのだがな……)(これでは…………仕方がないわね)
「父上? 母上? なにか仰りましたか?」
よく聞こえなかった。今、なんて言ったんだ?
「……独り言だ。引き留めて悪かったな」
「わたくしも、独り言を零しただけよ。なんでもないわ」
「そう、ですか? では失礼致します」
そうして俺は今一度礼を行ったあと『王の間』を去り、そのあとは変装をして市井でたっぷりと庶民の文化に触れる。
ソレらは本来王太子殿下には相応しくない低俗なものだが、たまに触れるとそこそこ楽しめるものだからな。いい感じでストレス発散ができ、俺はすっきりとして城に戻ったのだった。
そして、その翌々日の夜。
恐らくは、婚約破棄に関することが決まったんだろう。俺は、王の間に呼びだされたのだった――。
父上と母上が、俺を止めた理由。それを、再確認を行うためだった。
「彼女は民を愛し感謝をする、この上ない人格者。先ほどああは言ったものの、どうにも受け入れられんのだよ」
「今まで幾度となく接して来たけれど、そんな感情があると感じたことは一度もなかったわ。納得、できないのよね……」
「父上母上がそう思われるのは、無理もありません。ルーラの擬態は、それほどまでに完璧だったのですから」
こういった場合最も有用なのは、『印象』。ルーラは非常に高い評価を得ているが、こっちも同等の評価を受けている。それになにより、ヤツの何倍もの時間を一緒に過ごしているんだからな。
必然的に俺が上回り、ああやってルーラの前では頻繁に鬱憤を晴らしていても、俺の言葉に真実味があるようになるんだよなぁ。
「俺はふとした会話で、それを知りまして。最初に聞いた時は、しばらく言葉がでませんでしたよ」
「……………………」「……………………」
「人は、見た目だけじゃ分からない。実際にじっくり関わってみないと本質は掴めない。そう、痛感しましたよ」
「……………………」「……………………」
「そして……。そういった人間は、なにをやっても無駄。とも、痛感しました……」
「……………………そうか」「……………………そうなのね」
だからこんな風になり、俺は一切疑われることなく確認は終わった。
(せめて、迷いでもあればよかったのだがな……)(これでは…………仕方がないわね)
「父上? 母上? なにか仰りましたか?」
よく聞こえなかった。今、なんて言ったんだ?
「……独り言だ。引き留めて悪かったな」
「わたくしも、独り言を零しただけよ。なんでもないわ」
「そう、ですか? では失礼致します」
そうして俺は今一度礼を行ったあと『王の間』を去り、そのあとは変装をして市井でたっぷりと庶民の文化に触れる。
ソレらは本来王太子殿下には相応しくない低俗なものだが、たまに触れるとそこそこ楽しめるものだからな。いい感じでストレス発散ができ、俺はすっきりとして城に戻ったのだった。
そして、その翌々日の夜。
恐らくは、婚約破棄に関することが決まったんだろう。俺は、王の間に呼びだされたのだった――。
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