最後のチャンス~殿下、その選択でよろしいのですね?~

柚木ゆず

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第5話 何度めだかの予想外 ナタン視点(1)

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「僕は幼少期のとある出来事により、ルーラに恋をしていました」

 信じられないことを言い出したカインは、更に予想外なことを言い出した。
 コイツが……。ルーラを愛していただと……!?

「ばかな……。そんな素振りは、一切なかったじゃないか……!」
「ルーラ様は兄上の婚約者です。叶わぬもの、表に出すと多方向に迷惑がかかってしまうものでしたので、ずっと心に蓋をしていたのです」

 だが今回ルーラがあのように判断したことで、その関係はなくなった。そこでタイミング的な迷いがあったものの、想いを告げたらしい……。
 俺の知らないところで2・5か月間、理解を深め合って……。昨日ルーラが、カインを受け入れたらしい……。

「私が貴方様の婚約者となったのが、9年前。カイン様のお姿を、お傍で9年間目にしておりました――カイン様の優しさや温かさを、存じ上げていました。ですので『これまで』と『今』が合わさり、私はお手を取らせていただいたのです」
「わたしとしては可及的速やかに破棄の件を進めたかったのだが、父としても王としても、この件は見守っていたかった。故に決行を無期限とし、結果が出来るまで待っていたのだよ」

 17年の人生で初めて口にした、次男の我が儘であること――。ルーラは頭も心も王太子妃に相応しく、王家に名連ねて欲しかったこと――。このタイミングで王太子妃の座が空席となるのは、好ましくなかったこと――。
 そんな公私の理由によって、俺は長期間待たされていたのだった……。

「っっ! 父上! 母上! ルーラっ、カイン!! よくも騙しやがったな!!」
「……兄上。貴方が優しさを踏みにじるような真似をしなければ、こういったことは起きていません。すべては、貴方の責任なのですよ」
「ふざけるな!! いいか!? 優しさってのはなあっ、分かるように伝えないと意味がないんだよ!! あんなやり方で気付くはずがないだろうが!!」

 俺は何も悪くない!! そうなるのは当然だ!!

「もしもルーラがちゃんと分かるように伝えていたらっ、諭し方が上手ければ俺の心は変わっていたんだ!! 王太子殿下を正しい方向へと導けないようなヤツに王太子妃を名乗る資格なんてない!!」

 なぜなら王太子妃は、王太子を補佐する存在! 王太子に尽くすための存在なんだからな!!
 俺が廃太子されるなら、コイツもその座から降ろされるべきだ!! 責務を全う出来ていないのだから――

「やはり本性を曝け出した状態の兄上とは、まとまな会話はできませんね。……仕方がありません。もう終わりにしましょう」

 ――目を剥いているとカインは嘆息し、っっ! ヤツと父上の合図で控えていた衛兵が動きだし、俺は拘束されてしまった!?

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