最愛の人と弟だけが味方でした

柚木ゆず

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第7話 掌を返され始める妹 サーシャ視点(1)

(お、お父様っ、お母様っっ! どういうこと!?)

 満面の笑みを浮かべて即答した2人の顔を、大急ぎで交互に見つめるっ。
 あたしがずっと、認めないでって頼んでたのに! 分かったって言ってたのに! どうして認めてるの!?

「おや? 妹君が、やけにそわそわされていますね? どうされたのでしょう?」
「さあ、どうしたのでしょうな? もしかすると慕っている姉がおめでたいことになって、興奮しているのやもしれませんな」
「サーシャ、そうなのかしら? …………ええ、ええ。ユリス様、そのようですわ。嬉しくって仕方がないようです」

 お父様はあたしを一瞥して呑気に笑って、お母様はあたしとコソコソ話をしているフリをして顔を綻ばせた!
 なんなのこれ!? ねえ!? なんで質問に答えないの!?

(お父様っ、お母様! あたしの声っ、ちゃんと聞こえてる!? どうしてなのって、ずっと聞いてるんだけど――)
「アリシア様。俺は明後日から、とある事情で当分の間多忙となってしまうのですよ。その影響でこちらを訪れる時間が長期間取れなくなるため、もしよければなのですが――。今日は……時間的に厳しいか。明日か明後日から、ウチで一緒に暮らしてはくれませんか?」
「っ、よろしいのですか? 是非お願いします……っ。マリス様と一緒にいられるなんて、夢みたいで――」
「ああいやっ、お待ちくだされユリス殿っ! 大変申し訳ないのですが、そちらはせめて一週間後にさせてはいただけませんかなっ?」

 あたしが小声で抗議をしているとユリス様達が勝手に話を進めだして、お父様がそこに割って入った。あたしを無視して……っ!

「実を言いますと我々は、あまり良い親ではなかったのですよ。幼少期のとある出来事により、一種の嫉妬心を抱いておりました」
「そのため、妹サーシャこの子に比べてきつく当たることが多く……。嫌な思いを多くさせたと思います」
「……先ほど告白をしてくださった時の、娘の輝くような表情。あれを見て、我々は反省を致しました。『こんな笑顔は何年ぶりだろう』と感じ、ようやく、自分達の過ちに気付いたのです」
「そのため、1週間をかけて謝罪を――お詫びをじっくりと行い、嫁ぐ前に親子の思い出を作りたいのです。……ユリス様、アリシア。わたくし達の我が儘を受け入れ、チャンスをください」

 は!? 過ちに気付いた!?
 しかも……。姉様に、深々と頭を下げた!?

「なるほど、そうだったですね。俺は、彼女の意思を尊重します。アリシア様、貴方はどうしたいと考えていますか?」
「……色々ありましたが、そう仰られるのなら、分かりました。一週間、延期します」
「「っ! ありがとう、アリシア……!!」」

 今度は、2人で姉様を抱き締めた……。
 お父様とお母様がこんなことをして、あんなことを急に言い出すだなんて……。さっき何があったの……!?

(ねっ、ねえ! ねえっっ!! ちゃんと事情を説明してよっ!! 何を考えてるのか分からないから――)
「ではまずは、恋の成就を祈ってパーティーを致しましょうっ! 使用人ミーフェス、今宵のマリス様はお時間があるようだ。宴の準備をしてくれっ!」

 また、あたしを無視……!
 結局そのあとも、何を言っても無駄で……。仕方がないから、あたしは……っ。我慢をしてパーティーに参加して、ユリス様が帰ったあと……っ! 目を吊り上げて、お父様とお母様の寝室に乗り込んだのだった……!!

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