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プロローグ
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「あら? あの人って」
お茶会の延期によって急遽予定が空き、買い物をするべく隣街まで足を伸ばしていた時のことだった。侍女兼護衛のジュリアとともに散策していると、街の中央部にある噴水の前で意外な人を発見した。
「??? お嬢様、どうされましたか?」
「こんな偶然、あるのね。あそこを見て」
帽子を深めに被って眼鏡をかけた、シンプルなシャツと長ズボン――かなりラフな格好をしている、背がやや高めの男性。普段とは雰囲気も様子も随分違うけれど、私は一目で気付いた。
そこに居る人は、私クララ・テリアの婚約者。ウチと同じ伯爵家の嫡男である、ユリウス・ラーゼンだった。
「こんな場所であんな格好をして……。ユリウスったら、何をしてるのかしら?」
彼の周囲にいるのは、男性2人だけ――最低限の護衛のみを連れて、変装をしている。その意図が分からず首を傾げていると、まもなくユリウスの目的が分かることになった。
「ユリウス様っ、ごきげんよう……っ。晴れてよかったですわ……っ」
北方向――私がいる反対の方角から金髪の美少女がやって来て、品を伴った満面の笑みを浮かべた。
彼女とはほぼ接点はないけれど、名前と身分は知っている。
程よいツリ目と漂う気品が印象的な人は、マーガレット・リルファ。17歳で父親は子爵の爵位を持つ、時々夜会などで同席する機会のある女性だ。
「ああ、おはよう。晴れるのは良いことだ」
「ですわよね……っ。では、参りましょうっ。ユリウス様……っ」
2人は挨拶を済ませると――(お嬢様見ましたかアレを!? 手ぇっ、手を繋いでますよ!?)――……。ジュリア。ちゃんと見えているから、耳元で叫ばないで。
(お嬢様に内緒で他の女性と会ってっ! 変装してっ! 手を繋ぐっ! 言いたくありませんがコレは浮気なのでは!? それ以外に見えますか!?)
(ジュリア……。耳が痛いわ。落ち着いて)
(もっ、申し訳ございませんっ!! でっ、ですがっ、戸惑わずにいられましょうかっ。アレですよアレ!!)
ジュリアは2人の背中をビシィッと指さす。
普段の彼女はマナーなどが完璧な、とても頼れる一つ上のお姉さん。なのだけれど……。私を想ってくれる気持ちが強すぎて、暴走しがちなのが玉にきずなのよね……。
(お嬢様はなぜそんなにも冷静なのですか!? 浮気確定の状況ですよ!? なぜなのですかっっ!?)
(確かにあれは、浮気が確定的な場所よね。でも、そうは思えないのよ)
それは今から、3か月前のこと。その年の春まで学院で3年間クラスメイトとして過ごした私とユリウスは、夜会でのプロポーズによって婚約者となった。
そのため多くの時間を友人として過ごし、3か月間を恋人として過ごしているので、彼の人となりは理解している。ユリウス・ラーゼンという人は、二言はない人。
『俺はもう、君しか見えないんだ。……クララ、貴方を一生愛し続けると誓います。これからの人生を、共に歩んでください』
だからそう言ってくれた以上、裏切るとは思えないのよね。
(今まであの人が、約束や誓いを違えたことはない。それが、そう思えない理由よ)
(そちらのお話は、わたくしも何度も聞いております!! ですがっ! 決してお嬢様の言い分を否定するつもりはありませんよっ!? されど、アレですよアレ!! ガールフレンドとボーイフレンドに見えますか!?)
変装をして内緒で出かけて、手を繋ぐ。友人には、見えないわね。
(う~ん。何かと矛盾しているわね)
(ええっ、矛盾しております!! ですのでっ! ハッキリさせる為に、これから尾行して調査を致しましょうっ! わたくしの酷い勘違いなら良いのですが、浮気が事実なら一大事ですのでっ!!)
(……それも、そうね。不自然な部分は、気になるわ。追いかけてみましょうか)
そうして、今日の予定は変更。私達のスケジュールは買い物から尾行となり、2人のあとをつけ始めたのだった。
お茶会の延期によって急遽予定が空き、買い物をするべく隣街まで足を伸ばしていた時のことだった。侍女兼護衛のジュリアとともに散策していると、街の中央部にある噴水の前で意外な人を発見した。
「??? お嬢様、どうされましたか?」
「こんな偶然、あるのね。あそこを見て」
帽子を深めに被って眼鏡をかけた、シンプルなシャツと長ズボン――かなりラフな格好をしている、背がやや高めの男性。普段とは雰囲気も様子も随分違うけれど、私は一目で気付いた。
そこに居る人は、私クララ・テリアの婚約者。ウチと同じ伯爵家の嫡男である、ユリウス・ラーゼンだった。
「こんな場所であんな格好をして……。ユリウスったら、何をしてるのかしら?」
彼の周囲にいるのは、男性2人だけ――最低限の護衛のみを連れて、変装をしている。その意図が分からず首を傾げていると、まもなくユリウスの目的が分かることになった。
「ユリウス様っ、ごきげんよう……っ。晴れてよかったですわ……っ」
北方向――私がいる反対の方角から金髪の美少女がやって来て、品を伴った満面の笑みを浮かべた。
彼女とはほぼ接点はないけれど、名前と身分は知っている。
程よいツリ目と漂う気品が印象的な人は、マーガレット・リルファ。17歳で父親は子爵の爵位を持つ、時々夜会などで同席する機会のある女性だ。
「ああ、おはよう。晴れるのは良いことだ」
「ですわよね……っ。では、参りましょうっ。ユリウス様……っ」
2人は挨拶を済ませると――(お嬢様見ましたかアレを!? 手ぇっ、手を繋いでますよ!?)――……。ジュリア。ちゃんと見えているから、耳元で叫ばないで。
(お嬢様に内緒で他の女性と会ってっ! 変装してっ! 手を繋ぐっ! 言いたくありませんがコレは浮気なのでは!? それ以外に見えますか!?)
(ジュリア……。耳が痛いわ。落ち着いて)
(もっ、申し訳ございませんっ!! でっ、ですがっ、戸惑わずにいられましょうかっ。アレですよアレ!!)
ジュリアは2人の背中をビシィッと指さす。
普段の彼女はマナーなどが完璧な、とても頼れる一つ上のお姉さん。なのだけれど……。私を想ってくれる気持ちが強すぎて、暴走しがちなのが玉にきずなのよね……。
(お嬢様はなぜそんなにも冷静なのですか!? 浮気確定の状況ですよ!? なぜなのですかっっ!?)
(確かにあれは、浮気が確定的な場所よね。でも、そうは思えないのよ)
それは今から、3か月前のこと。その年の春まで学院で3年間クラスメイトとして過ごした私とユリウスは、夜会でのプロポーズによって婚約者となった。
そのため多くの時間を友人として過ごし、3か月間を恋人として過ごしているので、彼の人となりは理解している。ユリウス・ラーゼンという人は、二言はない人。
『俺はもう、君しか見えないんだ。……クララ、貴方を一生愛し続けると誓います。これからの人生を、共に歩んでください』
だからそう言ってくれた以上、裏切るとは思えないのよね。
(今まであの人が、約束や誓いを違えたことはない。それが、そう思えない理由よ)
(そちらのお話は、わたくしも何度も聞いております!! ですがっ! 決してお嬢様の言い分を否定するつもりはありませんよっ!? されど、アレですよアレ!! ガールフレンドとボーイフレンドに見えますか!?)
変装をして内緒で出かけて、手を繋ぐ。友人には、見えないわね。
(う~ん。何かと矛盾しているわね)
(ええっ、矛盾しております!! ですのでっ! ハッキリさせる為に、これから尾行して調査を致しましょうっ! わたくしの酷い勘違いなら良いのですが、浮気が事実なら一大事ですのでっ!!)
(……それも、そうね。不自然な部分は、気になるわ。追いかけてみましょうか)
そうして、今日の予定は変更。私達のスケジュールは買い物から尾行となり、2人のあとをつけ始めたのだった。
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