もしかすると私は、最愛の婚約者に騙されているのかもしれない

柚木ゆず

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第2話(3)

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「え? エリオット君とベイズナさんを、追いかけた理由? 自分がやっていたことなのに、覚えていないの?」
「は、はい、そうなのですよ。恐らく、その際のショックが原因なのだと思います。あの時の事は、色々とおぼろげになってしまっていまして……。教えて欲しいんです」
「そういうものは、思い出さなくていいと思うんだけど………………分かったわ。あの夜のルシィは、ええとね……。会場を出る直前に、『実はお昼にエリオット君とケンカをしてしまっていて、アリーさんが仲裁をしてくださったんです。ですので多分改めてそのお礼をするつもりで、私も行ってきますね』と言っていたわよ?」

 中身とは真逆の少しキツメな目とウェーブヘアが印象的な、1歳年上の友人ローラ・フヤルさん。彼女の自室に案内されたあと問いかけると、予想外の答えが返ってきました。
 私とエリオットさんが、ケンカ……!? そっ、そんなはずはありませんっ! だってその日は――

((ぁ、いえ。そうでした。私達は、ケンカをしていました))

 その日はお昼から夕方まで、私の部屋で2人で過ごしていました。その際にちょっとした事が切っ掛けで口論になって、丁度その時に父親の付き添いとしてお仕事のお話でいらっしゃられていて……。騒ぎを聞きつけたアリーさんが間に入ってくださって、その時は丸く収まったのでした。

((…………私は、ド忘れをしてしまっていたようです。だから、そのご恩の意味も込めていて……。アリーさんに迷惑がかからないように、心変わりではなくケンカ別れとしたんですよね))

 一つ思い出したら、次々と思い出してきました。
 婚約中に違う相手を選んだ。この事実が知れるとアリーさんの誘惑など、根も葉もない話が出てくる可能性がありました。あの件に関してアリーさんに非はありませんから、『お幸せに』と心からの祝福の言葉を贈り、私はそういう風にしたのでした――

((いっ、いえ違います! そうではありません!!))

 ――私はまた、何を言っていたのでしょうか……。
 それは、違います。大違いです!

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