もしかすると私は、最愛の婚約者に騙されているのかもしれない

柚木ゆず

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第8話 牢屋に天使が舞い降りた日 俯瞰視点(1)

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((くそ……っ。くそぉ……っっ。この僕が、あんな事をしなければならないなんて……!))

 先日フィッティングルームの前で、醜態をさらして無様に捕らえられたレオン。疲労困憊となった囚人服姿の彼は、新しい家――牢屋に戻ると、胡坐をかいてベッドに拳を振り下ろしました。
 罰の一つである強制労働は、投獄の翌日から今日からスタート。人生で初となる過酷な肉体労働と監視官の厳しい『しごき』を体験し、疲労と怒りが心身を満たしていたのです。

((ここにいるのは、元宰相候補生……っ。優秀な頭脳と優れた判断力を持つ優等生・・・なんだぞ……!! こんな場所でああいった行動をしていていい人間じゃないんだぞ……っっ!!))

 ついやってしまった・・・・・・・・・事はどれもが、未遂。結果的に、ルシィ達には大した悪影響はなかった。
 なのに、コレだ。重すぎる!! 理不尽だ!! きっと! エリオットが大きな手柄をあげたから王族が配慮したんだっ!! この国の司法は腐っている!!
 などなど。やはりレオンは微塵も反省しておらず、事ある毎にそれこそ理不尽に悪態をついていたのです。

((あの時の第2王子バシルの態度が、それを物語っている……! 王族はどんな状況でも、平等公平に振る舞わなければならないのに……っ。ふざけやがって……!!))

 強制労働を伴う終身刑!? とんでもない!! この程度なら、数年の懲役が適切だ! なのにアイツらは滅茶苦茶な内容を宣告してきやがって――

((ん……?))

 今一度床を殴っていたレオンは、不意に首を傾げます。

((そういえば……。バシルはその際に、他にも何か言っていなかったか……?))

 罪人の烙印を捺される、強制労働と終身刑。あの場で聞いた内容は、以上だったはずだが……。もう一つ、その2つの間に、あったような気がする……。
 レオンは首を傾げ、考えます。ですがどうやっても思い出せず、

((…………僕は、記憶力も非常に優れた人間だ。思い当たるものがないのであれば、気がするのは気のせいだったか))

 やがてこう結論付け、再び悪態を――つこうとしていた、その時でした。

「罪人レオン。バシル殿下からプレゼントだそうだ」

 看守を務める屈強な男がやってきて、担いでいたマネキンを牢の中に放り込みました。

「牢内に余計な物を持ち込めるのは、お前だけだ。よかったな」
「き、貴様はっ、バシルはっ、何を考えている……!? こんなもの、どうしろと言うんだ……!?」

 そこにあるのは、何の変哲もない身長150センチほどの人形。あまりの光景にレオンは目を白黒させ、ですが――。その直後、その様子は一変する事になるのでした。

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