お姉様を泣かせましたね?

柚木ゆず

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第3話 向かった先は レアン視点

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「おや? レアンお嬢様?」
「何かお忘れ物でしょうか?」

 月明かりに照らされながら進むこと、31分と52秒。馬と御者に頑張ってもらって目的地に着くと、守衛のふたりが目を丸くした。
 つい一時間半前に発った人間が戻ってきた。そう思うのも無理はありませんね。

「急用が発生して、必要なものができたんですよ。明日――翌日の午前6時ごろまで滞在します」

 ふたりに説明をして門を開けてもらい、中で馬車を降り、二階建ての大きな建物へと入る。
 ここは、『ラボ』。わたしのとある目的のために薬――風邪薬や傷薬の研究および開発をしていて、普段は・・・この施設の1階と2階を使って作業を行っているのです。

「まずは消毒や洗浄を行って……………………………………さ、行きましょうか」

 入り口から伸びている廊下を真っすぐ進み、突き当りを右折。更に真っすぐ進んで今度は左に曲がり、その先にある部屋に入り、その奥にある扉を開けると――帯剣した屈強な男性2人が護る、大きな階段が現れた。

「「レアン博士、異常はございません」」

 この先にある部屋こと『裏ラボ』では、『ラボ』とは違い公表するべきではないものの研究や開発をしている。『ラボ』以上に大事かつ秘密性の高いものを扱っているため、より厳重な守りが必要なのです。
 そこで治安機関・・・・から派遣された方々が、しっかりと出入口を固めているのです。

「いつも警備をありがとうございます」
「「有難きお言葉」」

 お二人に礼を告げて9段ある階段を降りると分厚い扉が広がっていて、鍵を差し込み開ける。そうしてわたしは、お姉様や使用人たちも知らない、秘密の目的地へと足を踏み入れたのでした。

「さあ、製造を始めましょう」

 棚から14種類の薬草などを取り出し作業用の台の上に並べ、頭の中にあるレシピを思い出しながらアレコレ行う。
 今回は従来のものだと失敗に終わってしまうため、作るのはノーマルタイプではなくタイプD。権利を渡してから製造はあちらに一任しており最後に作ったのは少々前でしたが特に問題なく全工程が終わり、予定していた午前5時52分に完成したのでした。

「これで、一番大事なものは手に入りました。あとは、いつ使うのか? ですね」

 せっかくですから、一番効果があるタイミングで使用しましょう。
 いつどこで使うのが、ベストなのか。最適な機会を調べるべく、わたしは朝陽を浴びながら昨夜通った道を引き返したのでした。



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