お姉様を泣かせましたね?

柚木ゆず

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第7話 対応その1 アントワーヌ視点(2)

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「馬鹿者!!」

 屋敷に戻った俺を待っていたのは……。父上の怒声だった……。

「大勢の前で、よりもよってあのヴァサホア家の御令嬢に暴言を吐くとは……! とんでもないことをしてくれたな……!!」
「しっ、仕方がないんです!! 俺だってそんなつもりはなかったんですよ!!」

 あんな真似をすればどうなるか、知らないはずがない。すべての元凶は膨大なストレスのせいで、俺はストレスから身を守るために自動的に発散してしまったんだ。
 しどろもどろになりながらも、どうにか事実であろうことを告げた。

「散々ストレスが溜まっていて、その状態でアレに直面してしまった。きっとあの場で我慢をしていたら心が壊れていたんですよ! そうに決まってる! そうでないとっ、あんなことはしませんよ!!」
「………………」
「繰り返しますがっ、意図的なものではありません! いわば俺も被害者のようなものなのです!! どうかっ、どうか寛大な御判断を!!」

 格上の人間に、それもあんな場であんなことを言ってしまった。このままでは『家』と『家』の問題に発展しかねなくて、その前にあちらの溜飲を下げるような対処をしなければならない。
 幸いにも、あちらの当主様は常識人。今回の場合は医者に金を積んで精神的な病気だという診断書を作らせたうえで謹慎とすれば、どうにか丸く収まるだろう。少しでも良い環境の中で謹慎期間を過ごせるように、父上の前で両膝をついた。

「父上も、フィウナ様の評判はよくご存じでしょう……!? なにとぞ、寛大な御判断を……!!」
「………………」
「今後決してこのような問題を起こさないよう、しっかりと精神を鍛えると誓います。謹慎中はお家のために影ながら粉骨砕身で働きます! どうか、どうかっ、どうかっ! 寛大な御判断を……!」
「……そうだな。お前の言う通り評判はよく知っており、相手をさせていたお前がストレスを受けていたのはよく理解できる」

 !!

「よってこの件に関しては、お前が想像している処置を行うとしよう」
「ありがとうございます! ではただちに謹慎の準備をいたしま――」
「待て。この件に関しては、と言っただろう? まだ対応しなければならなん問題は残っている」
「え……? な、なんでしょう、か……?」

 他に? そんなものないぞ?
 一体何があるんだ……?


「…………私の耳にも入っているぞ。お前とリリナ嬢は、よからぬことを企んでいたそうだな?」




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