お姉様を泣かせましたね?

柚木ゆず

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第10話 その再会は アントワーヌ視点

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「そうかっ! リリナも同じだったんだね!!」

 俺達は協力して水面下で計画を進めていて、あちらからも証拠が出たと言っていた。
 一緒に進めていたということは、ロマイーン家に喧嘩を売ったということ。ロマイーン家の怒りを鎮めるために、同じように追放されてしまったんだ。

「………………」
「リリナ! 会いたかったよっ!!」
「………………」

 可哀そうに。ショックが大きすぎて声を出せなくなっているんだ。
 慰めて、氷のようになってしまった心を温めてあげないと。

「わざわざ俺達を一か所に集めた。ということは、一緒にいても構わないんだな?」
「貴方はもうザロットス家とは一切関係がありません。好きにするといい」

 更に苦しみを与えるために、会わせておいてすぐ引き離す――。そんな可能性が過ぎったが、考えすぎだったようだ。

「少しは気が利くじゃないか。こんなにも目が沢山あると、落ち着かない。もう用事は済んだろう? 去ってくれ」
「言われなくてもそうしますよ。こちらは、旦那様から最後の贈り物です」

 袋を――金や衣類が入ったものを渡し、物分かりの悪かった奴らは帰っていった。

((この役立たずどもめが。帰りに事故を起こして全員惨たらしく死んでしまえ……!!))

 ふざけた男達に怒りをぶつけていると、リリナにも似たようなサイズの袋が渡されていた。
 俺とリリナの父親は、10代の頃からの旧友。気が合うだけあって、同じことを考えていたようだ。

((金は、10万ルルージか。恐らくリリナの方も同額だから、会わせて20万ルルージ。これならやっていけるな))

 新たな拠点を探しや、家具などの購入。額が額だけに質が悪くなってしまうだろうが、必要なものはすべて揃えられるだろう。

((……やりたくはないが……。仕事も、なんとかなるはずだ))

 俺もリリナも頭の回転が早く要領がいい。生まれ持った才能を使えば充分にやっていけるだろう。

((………………よし、完成だ))

 今後の計画がすべて出来上がった。
 リリナを安心させられるようになったので、改めて声をかけ――るより先に、抱き締めてあげよう。

「……………………」
「可哀想なリリナ。俺が今、その心も身体も温めてあげるよ」

 今なお言葉を発せずにいる最愛の人に歩み寄り、そっと優しく強く抱き締め――

「近づくな! この役立たず!!」

 ――ようとした瞬間、だった……。
 リリナの右手があがり、俺の右頬を思い切り叩いたのだった。


「り、りな……!? な、なにを……!?」


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