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しおりを挟む暖かい5月の蒼天。もうすぐ、夏がやってくる。
「八百妖堂」の前は学校に登校する学生らや、豆乳パックやスマホを片手に通勤する社会人らが頻繁に通っていた。
朝の8時、その登校ラッシュ、通勤ラッシュが収まってきたころ、私、山村 智香は「close」の木の看板をひっくり返して「open」に変える。
そこから、私と「八百妖堂」の1日が始まります。
「あぁ、ミケ!」
私が「ミケ」と呼ぶのは三毛猫の野良猫である。木の看板を乗せたイスの上にひっそりと座る。一見、普通の野良猫だと思うが、彼の尻尾は2つに別れている。そう、彼も立派なあやかしなのである。
あやかしは、普通の人間には見えない。霊感とか、そういうオカルト系の能力が強い人は、見えるらしい。そして、私も何の違和感も無くあやかしを見ることが出来るため、何らかの能力が秀でているのであろう。
お店に入り、簡単な清掃をする。道具には拘っていて、形から入りたいので掃除機なんて使わないでホウキやちりとり、雑巾なんかで掃除をする。
「ふぅ。」
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