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 「あれ?私のお菓子は?」

 これは、私が8歳の頃。おやつのお菓子は一人一人の皿に均等に盛られるのだが、私のお皿にはお菓子がひとつたりとも盛られてなかった。

 「しーらない!不細工ぶすだからじゃないの?」

 一番上の姉、フィルミールがそう言うと、他の姉、妹らはクスクスと笑った。

 「そうだよ!この甘いマカロンも、お姉さんみたいな不細工ぶすな子には食べられたくないって言ってるわ。」

 そして、私以外の四人の姉、妹は私の分を含んだお菓子を全て平らげてしまった。私は、笑ってることしか出来なかった。

 また、これは9歳の頃。本を読んでいたら、上から大量の水が降ってきた。服や本はびしょびしょになり、上を見ると姉、妹らがニヤニヤと笑っていた。

 「どうしたの!」

 水浸しの私に気付いた母が私に近付いてくると、フィルミールが

 「大変!エリナンテが近くの湖に落ちてしまったんですわ!」

 と、嘘をつく。すると、他の姉や妹もコクンと頷く。

 母は、ハァとため息をついて、私にタオルを投げつける。

 「早く拭きなさい。床が汚れるわ。」
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