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1 出会い
しおりを挟む俺は驚きが隠せなかった。いきなり許嫁かと思いきや、まさか、その許嫁がこんな正体だったなんて……
▪️
遡ること前日、お父様からこんなことを告げられた。
「ミドラー、お前は明日、お前の許嫁と会うことになる。無礼の無いようにな。」
「ふぅん。分かった。」
…………?…いや、待てよ……
「ちょ、ちょっと!お父様!許嫁ってなんだよ!?ふざけてるのか!?」
「あ、あぁ、そうか。お前には言っていなかったか。忘れていた。ついこないだ決まったものでな。お前の許嫁。どうせ、冴えないお前のことだ、自分で相手を見つけることなんぞ不可能。だから、お父様がお前のためを思って、用意したのだよ。」
「ちょ、な、なんていうか、勝手すぎないか!?ま、まぁ冴えないのは認めるよ。けど、これは…」
「だが、もう断ることは出来まい。話は整っているのだから。」
「ついこないだって、いつ?」
「今から一年前くらいか。」
全く、本当にあきれる。
お父様はやはりおかしい。いや、それは知っていたが、この話から、さらにお父様への不信感は増した。
▪️
「あーー!!寝られねぇ!よりによって、なんで明日なんだよ!心の準備もくそもねぇ!」
ドッキリであれ!と何度願ったことであろうか。
とはいえドッキリではない。こんなくだらないドッキリをお父様は突然するであろうか。
確かに、ヤバイやつなのは知ってるが、俺に嘘はついたことがない。
そして、仮にこれを嘘だとすれば、こんな嘘をついて、何になるのであろうか。
「いや…待てよ……」
これがドッキリ、ハッタリであるという根拠はないと思ってはいたが……もしかしたら、お父様が、結婚願望が全く無い俺に対し、警告を意味してこのドッキリを仕掛けた可能性はある!
それに、いくらヤバイやつとはいえ、こんなことをいわれた、計画されたのは今までにない!
そうだ!これはドッキリである!紛れもない嘘なのだ!
「そうだ!そうだ!考えすぎだ!お父様は結婚を急かしたいだけなのだ!」
そう考えると、急に胸がスッと楽になった。
そしていつの間にか眠りについた。
▪️
「え?本当にガチなの?」
今、俺はその噂の許嫁の前に座っている。
「お互い固くなりすぎじゃないか?結婚するというのに。はっはっは。」
全く笑えない。もしや、これはドッキリでもハッタリでもなく、ガチであるのかもしれない。
(そ、それにしても……)
驚きなのが、その許嫁の可愛いこと。
俺にはもったいないくらいの美しく、可愛い女子である。
万が一、これが本当だとするのならば、それはそれで悪くはないかもしれない。許嫁ガチャは成功である!
▪️
そして、何故か許嫁と二人っきりにさせられた。
き、気まずい!さすがに男として、何か話しかけないと!
と、思った矢先に、彼女が話をし始めた。
「ミドラーさん。改めて、これからよろしくお願いします。」
「う、うん!よろしく!というか、こんな冴えない俺でごめんな!!ハハッ!!」
「とんでもないです。むしろ、私の方が、あなたをガッカリさせてしまうでしょう。」
な、何をいっているんだ!そんな容姿をしながら!
「な、何を言っているんだよ!俺は君みたいな可愛い女の子と結婚できるだなんて、夢でも思わなかったよ!」
「はい。まさに、その女の子という点で、ひとつ申し上げたいことがあります。」
「は?」
すると、彼女は急にスカートをめくった。
「な、何を!」
「よくご覧になってください。」
恐る恐るそのスカートの内側を見ると…
「は、はぁ!?!?」
そこには布に包まれた突起物が。もしや…これって…
「そう。私…女の子ではなく、男の子なのです。」
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