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再会の章
溺愛者の知らぬ間に
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真静の兄、巧が帰国してから、真静は久々に要真と会わずに二週間を過ごした。事前に聞いていたことだが、あの日以降画家の仕事が忙しいらしい。
少し寂しい気もするが、そもそも彼は会えるはずのない存在、そう思えば悲しくはない。それに、会わずとも真静の元には、会えない代わりと言わんばかりに長文のメールが送られてくるため、いつもの幸福感と思ったよりも変わらない。
「……そう、なんだ」
いつもの教室での始業前、まだ人がまばらな中で真静の話に耳を傾けていた彩愛は、なんとも言えない顔だった。
「二週間会わないのが普通じゃないって真静……あんたと倉瀬要真、ほんとはできてるでしょ?」
「できてるって?」
至極真面目に首を傾げる真静に向ける彩愛の目が、軽蔑でも含んでいそうなものになる。
「付き合ってるでしょってこと」
「そ、そんなこと、あるはずないじゃない!」
付き合っているとは即ち恋人関係ということで、要真とそんな関係になった覚えはない。断じてない。そもそも恐れ多い。
「く、倉瀬さんはただ憧れの存在というだけよ。それにあの方は優しいから、まとわりつく私を可愛がってくださっているだけなの」
「まとわりついてんのは、どっちかと言えばあいつじゃない?」
彩愛が苛立ち混じりなのには理由がある。ここ最近、真静が倉瀬に取られっぱなしで妬いているのだ。
そうとは知らぬ真静は全力で彩愛の台詞を否定し、いかに要真が優しい人かを語り出した。
別にそんなことを聞きたいわけではない。そう返したかったものの、あまりに晴れやかな真静の表情を見ているとそれもできず、彩愛はムスッとしたまま話の終わりを待った。倉瀬要真への恨み言を心で唱えながらだが。
*****
「ねえねえ、真静。今日は3限終わりだし、久し振りに二人でケーキでも食べに行こうよ!」
始業前の苦行に耐え続け、ようやくチャイムと共に担任が姿を見せたタイミングで、彩愛は口早に提案した。
今日こそは倉瀬よりも早く予約してやる! との彩愛の意気込みはかなりのものだ。
そんな彼女の心を知る由もないが、真静は頭の中で予定を確認し、満面の笑みを浮かべた。
「そうね、行こう! 彩愛とケーキを食べるのは久しぶり」
「ずっとあいつに取られてたからね」
「……」
以前から思っていたが、彩愛が要真に向ける敵意はどこから来るのだろう。
「じゃ、放課後ね!」
そう念押しして自分の席に駆け戻った彩愛は、後ろから見ても一日中上機嫌だった。
*****
最寄駅が隣同士ということもあり、二人は彩愛の最寄駅でカフェに入った。以前から通う馴染みの店舗で、シフォンケーキに定評がある。
「シフォンケーキ二つと、アイスカフェラテと、アイスココアください!」
彩愛はメニューを開くことなく、席につくと同時に注文をした。このカフェでは限定メニューがある時以外、いつも同じものを頼むのだ。
対応したウェイターは馴染みの人で、にこやかに「いつものですね」と注文を受けてくれた。
「ほんっと、あのウェイターさん、カッコいいよねえ」
テーブルから去って行く彼の後ろ姿を見送り、彩愛がうっとりと声を漏らす。以前から彩愛は彼に夢中らしい。
「あの人、まだ恋人いないかな? いけるかな!」
「ええと、それは……」
そんなことを訊かれても答えようがない。恋は応援してあげたいが、相手は二十代半ば、そして彩愛にまったく気がないのだ。
どうしたものかと視線を彷徨わせると、視界に見覚えのある顔を捉えた。
この喫茶店に入ろうか悩んでいる様子で中の様子を伺う、灰色の着物姿の青年。彼は真静と目が合った途端、独特の色気を宿すその目を細めて笑った。
「っ!」
おそらく真静を見つけたからだろう。彼の足が迷いなく喫茶店の扉へと向かう。そして、出迎えたウェイターに軽く挨拶しながら真静達の席に直行した。
「こんにちは。お久しぶりです」
テーブルの前で足を止めて真静に微笑む見知らぬ青年を見る彩愛の目には、当然ながら困惑の色が浮かんでいる。
「ええと、あなたは?」
彩愛の勇気ある問いかけに、彼は貴族の如き笑みを向けた。
「こちらの天女に一目惚れした男です」
そう言って手で指し示したのは、他でもない真静だ。
へっ? と目を丸くして驚く真静だが、別に一目惚れされたからではない。いや、もちろんそれには驚いたし恥ずかしいのだが、それよりも何よりも、彼の台詞があまりに聞きなれないものだったのだ。
「あ、あの、今なんと?」
「一目惚れした男、ですが」
「その前です!」
「天女、かな?」
「て、てん……」
初めて顔を合わせた女子に対して、天女。一体何を考えているのか、そんなことを平然と言う人は他にいない、などと思ったものの、どこか聞きなれた感がある気もする。
はて、としばし考え、思い出すと同時に顔が朱に染まった。
いた。最近ずっとそばにいた彼だ。あの人は以前、照れた風もなく真静を「天使」と呼んだことがある。
「……」
恥ずかしさやときめきのせいで脳がフリーズし、ピクリとも動けないでいる真静の前で、彩愛は果敢に見知らぬ男に立ち向かっていた。
「天女ってあんた、何言ってんの⁉︎ 言っておくけど、真静をこの場で口説こうったってそうはいかないからね! 真静に近づこうとする男は、あたしが全力で排除するんだから!」
「へえ、面白いことを言いますね。ですが、こればかりは譲れません。彼女は私が落としてみせる」
「へっ?」
流石にその台詞にはフリーズしていられず声が出た。本気なのかと耳を疑う。
彼は真静を色っぽく見つめ、ふと何かを思い出した顔になった。
「まだ名乗っていませんでしたね。告白はそれからにすべきでした」
青年が真静としっかり向き合い、浅く礼をする。
「伊澄悠貴といいます。よろしく、麗しの天女様」
「っ⁉︎ え、ええと、佐成真静、と申します……」
名乗ったはいいが、顔の赤さが尋常ではない自覚がある。ただでさえ言われなれていない言葉に、その気もなく振りまかれる色気、それが揃っては平静ではいられない。今まで自覚はなかったが、自分は面食いなのだろうか……。
「佐成、真静さん、か。期待を裏切らない美しい名前だ」
「ど、どうも……」
彼、伊澄悠貴は、要真以上にキザな発言が多いらしい。
「君の名前は?」
伊澄に目を向けられた彩愛は面白くなさそうに目を据わらせ、尖った口調で言い放った。
「灯崎彩愛」
「彩愛さん……うん、見た目通り可愛らしい名前」
「はあっ?」
彩愛から出た頓狂な声に、危うく真静は吹き出しかけた。今の彼女の声、自分が男性なら可愛いねとでも言っていただろう。
親友の考えなど知る由もなく、彩愛は顔を真っ赤にして悠貴を睨みつけている。さながら喧嘩を売らんとする子猫のようだ。
「そ、そ、そんなこと言えば、誰でも落ちると思ったら大間違いなんだから!」
「……」
いや、それは彩愛の言えたことではない気がする。そう突っ込むのをギリギリで堪える。
それからしばし元気よく、そして周囲の目を気にすることなく騒いだ彩愛のもとに、常連でない男の存在を明らかに警戒しているウェイターがケーキを持って現れた。顔は完璧な笑顔だが、目が鋭く光っている。
「お待たせしました、シフォンケーキとココア、カフェラテでございます」
彩愛と真静に微笑み、二人の前に運んできたものを丁寧に並べた後で、彼の目は悠貴に向いた。
「失礼ながら、お客様は、こちらの方々のお連れ様でしょうか?」
「ただの知り合いです。この席には声をかけに来ただけなので、別の席で食事をしようと思っていたのですが……いつのまにか埋まってしまいましたね」
平然とした面持ちの悠貴が店内を見回し、作った苦笑を浮かべる。
「今度出直しますよ。……佐成真静さん」
「はっはい」
フルネームで呼びかけられ、真静はビクッと肩を跳ねさせた。艶のある声で呼ばれると無性に恥ずかしくなるからやめてほしい。
「今度、お茶にお誘いします。倉瀬には内緒で、ね」
楽しみにしていますよ、と悠貴は真静の耳元で囁き、恭しく一礼して去っていった。
嵐というか、なんというか。とにかく場を引っ掻き回すだけ引っ掻き回して帰った彼を見送り、真静と彩愛は顔を見合わせた。ついでケーキに目を移し、再び目を合わせる。
「……食べよっか」
「そうね」
二人揃って、まだ近くにいたウェイターに「いただきます」と声かけをした後でフォークをケーキにさし入れる。
いつもと同じはずの今日のケーキは、いつもよりも甘い気がした。
少し寂しい気もするが、そもそも彼は会えるはずのない存在、そう思えば悲しくはない。それに、会わずとも真静の元には、会えない代わりと言わんばかりに長文のメールが送られてくるため、いつもの幸福感と思ったよりも変わらない。
「……そう、なんだ」
いつもの教室での始業前、まだ人がまばらな中で真静の話に耳を傾けていた彩愛は、なんとも言えない顔だった。
「二週間会わないのが普通じゃないって真静……あんたと倉瀬要真、ほんとはできてるでしょ?」
「できてるって?」
至極真面目に首を傾げる真静に向ける彩愛の目が、軽蔑でも含んでいそうなものになる。
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付き合っているとは即ち恋人関係ということで、要真とそんな関係になった覚えはない。断じてない。そもそも恐れ多い。
「く、倉瀬さんはただ憧れの存在というだけよ。それにあの方は優しいから、まとわりつく私を可愛がってくださっているだけなの」
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彩愛が苛立ち混じりなのには理由がある。ここ最近、真静が倉瀬に取られっぱなしで妬いているのだ。
そうとは知らぬ真静は全力で彩愛の台詞を否定し、いかに要真が優しい人かを語り出した。
別にそんなことを聞きたいわけではない。そう返したかったものの、あまりに晴れやかな真静の表情を見ているとそれもできず、彩愛はムスッとしたまま話の終わりを待った。倉瀬要真への恨み言を心で唱えながらだが。
*****
「ねえねえ、真静。今日は3限終わりだし、久し振りに二人でケーキでも食べに行こうよ!」
始業前の苦行に耐え続け、ようやくチャイムと共に担任が姿を見せたタイミングで、彩愛は口早に提案した。
今日こそは倉瀬よりも早く予約してやる! との彩愛の意気込みはかなりのものだ。
そんな彼女の心を知る由もないが、真静は頭の中で予定を確認し、満面の笑みを浮かべた。
「そうね、行こう! 彩愛とケーキを食べるのは久しぶり」
「ずっとあいつに取られてたからね」
「……」
以前から思っていたが、彩愛が要真に向ける敵意はどこから来るのだろう。
「じゃ、放課後ね!」
そう念押しして自分の席に駆け戻った彩愛は、後ろから見ても一日中上機嫌だった。
*****
最寄駅が隣同士ということもあり、二人は彩愛の最寄駅でカフェに入った。以前から通う馴染みの店舗で、シフォンケーキに定評がある。
「シフォンケーキ二つと、アイスカフェラテと、アイスココアください!」
彩愛はメニューを開くことなく、席につくと同時に注文をした。このカフェでは限定メニューがある時以外、いつも同じものを頼むのだ。
対応したウェイターは馴染みの人で、にこやかに「いつものですね」と注文を受けてくれた。
「ほんっと、あのウェイターさん、カッコいいよねえ」
テーブルから去って行く彼の後ろ姿を見送り、彩愛がうっとりと声を漏らす。以前から彩愛は彼に夢中らしい。
「あの人、まだ恋人いないかな? いけるかな!」
「ええと、それは……」
そんなことを訊かれても答えようがない。恋は応援してあげたいが、相手は二十代半ば、そして彩愛にまったく気がないのだ。
どうしたものかと視線を彷徨わせると、視界に見覚えのある顔を捉えた。
この喫茶店に入ろうか悩んでいる様子で中の様子を伺う、灰色の着物姿の青年。彼は真静と目が合った途端、独特の色気を宿すその目を細めて笑った。
「っ!」
おそらく真静を見つけたからだろう。彼の足が迷いなく喫茶店の扉へと向かう。そして、出迎えたウェイターに軽く挨拶しながら真静達の席に直行した。
「こんにちは。お久しぶりです」
テーブルの前で足を止めて真静に微笑む見知らぬ青年を見る彩愛の目には、当然ながら困惑の色が浮かんでいる。
「ええと、あなたは?」
彩愛の勇気ある問いかけに、彼は貴族の如き笑みを向けた。
「こちらの天女に一目惚れした男です」
そう言って手で指し示したのは、他でもない真静だ。
へっ? と目を丸くして驚く真静だが、別に一目惚れされたからではない。いや、もちろんそれには驚いたし恥ずかしいのだが、それよりも何よりも、彼の台詞があまりに聞きなれないものだったのだ。
「あ、あの、今なんと?」
「一目惚れした男、ですが」
「その前です!」
「天女、かな?」
「て、てん……」
初めて顔を合わせた女子に対して、天女。一体何を考えているのか、そんなことを平然と言う人は他にいない、などと思ったものの、どこか聞きなれた感がある気もする。
はて、としばし考え、思い出すと同時に顔が朱に染まった。
いた。最近ずっとそばにいた彼だ。あの人は以前、照れた風もなく真静を「天使」と呼んだことがある。
「……」
恥ずかしさやときめきのせいで脳がフリーズし、ピクリとも動けないでいる真静の前で、彩愛は果敢に見知らぬ男に立ち向かっていた。
「天女ってあんた、何言ってんの⁉︎ 言っておくけど、真静をこの場で口説こうったってそうはいかないからね! 真静に近づこうとする男は、あたしが全力で排除するんだから!」
「へえ、面白いことを言いますね。ですが、こればかりは譲れません。彼女は私が落としてみせる」
「へっ?」
流石にその台詞にはフリーズしていられず声が出た。本気なのかと耳を疑う。
彼は真静を色っぽく見つめ、ふと何かを思い出した顔になった。
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青年が真静としっかり向き合い、浅く礼をする。
「伊澄悠貴といいます。よろしく、麗しの天女様」
「っ⁉︎ え、ええと、佐成真静、と申します……」
名乗ったはいいが、顔の赤さが尋常ではない自覚がある。ただでさえ言われなれていない言葉に、その気もなく振りまかれる色気、それが揃っては平静ではいられない。今まで自覚はなかったが、自分は面食いなのだろうか……。
「佐成、真静さん、か。期待を裏切らない美しい名前だ」
「ど、どうも……」
彼、伊澄悠貴は、要真以上にキザな発言が多いらしい。
「君の名前は?」
伊澄に目を向けられた彩愛は面白くなさそうに目を据わらせ、尖った口調で言い放った。
「灯崎彩愛」
「彩愛さん……うん、見た目通り可愛らしい名前」
「はあっ?」
彩愛から出た頓狂な声に、危うく真静は吹き出しかけた。今の彼女の声、自分が男性なら可愛いねとでも言っていただろう。
親友の考えなど知る由もなく、彩愛は顔を真っ赤にして悠貴を睨みつけている。さながら喧嘩を売らんとする子猫のようだ。
「そ、そ、そんなこと言えば、誰でも落ちると思ったら大間違いなんだから!」
「……」
いや、それは彩愛の言えたことではない気がする。そう突っ込むのをギリギリで堪える。
それからしばし元気よく、そして周囲の目を気にすることなく騒いだ彩愛のもとに、常連でない男の存在を明らかに警戒しているウェイターがケーキを持って現れた。顔は完璧な笑顔だが、目が鋭く光っている。
「お待たせしました、シフォンケーキとココア、カフェラテでございます」
彩愛と真静に微笑み、二人の前に運んできたものを丁寧に並べた後で、彼の目は悠貴に向いた。
「失礼ながら、お客様は、こちらの方々のお連れ様でしょうか?」
「ただの知り合いです。この席には声をかけに来ただけなので、別の席で食事をしようと思っていたのですが……いつのまにか埋まってしまいましたね」
平然とした面持ちの悠貴が店内を見回し、作った苦笑を浮かべる。
「今度出直しますよ。……佐成真静さん」
「はっはい」
フルネームで呼びかけられ、真静はビクッと肩を跳ねさせた。艶のある声で呼ばれると無性に恥ずかしくなるからやめてほしい。
「今度、お茶にお誘いします。倉瀬には内緒で、ね」
楽しみにしていますよ、と悠貴は真静の耳元で囁き、恭しく一礼して去っていった。
嵐というか、なんというか。とにかく場を引っ掻き回すだけ引っ掻き回して帰った彼を見送り、真静と彩愛は顔を見合わせた。ついでケーキに目を移し、再び目を合わせる。
「……食べよっか」
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