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追想
しおりを挟むあれから、3ヶ月の月日が流れた。今日は学校は休みだけど、誰かと遊んだり、街へ出たりとする気は起きない。いつものルーティーンの、縁側でぼーっとしたまま空を眺めている。
私は祖父の死から立ち直る事が出来ていない。見かねた母が私に言った。
「辛気くさいわよ! 紗奈、これあげるから蔵に行きなさい!」
私の掌に叩き付けるように、渡したそれは見た事の無い小さなカギと、大きな古い鍵は倉の鍵だった。
私は母の顔を見上げた。小さなカギは、精緻な彫金が施されている。つまみ上げて私は質問する。
「これは?」
「お父さんの物よ」
「えっ?」
私は目を見開いて、母の顔を凝視した。母は苦笑いをして肩を竦めて口を開いた。
「あのね、お父さんがね、もしも紗奈がずっと落ち込んでいたら渡して欲しいって言って、預かっていたのよ。本当にお父さんは紗奈を心配してたのねぇ……ちょっと妬けちゃうわ」
「お母さん……」
「ほら、行ってきなさい。倉の中に置いてある、チェストの上にあるわ」
「うん! お母さん、ありがと! 心配かけてごめんね」
私は急いで立ち上がって、縁側から玄関へと走る。玄関で靴を履き、ドアを勢い良く開けて飛び出した。
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