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令嬢は領地を持たない中間管理職の伯爵家の娘
しおりを挟む麗らか日差しの中で、王都にあるこじんまりとした邸宅の一角の中庭で家族団欒なお茶会を開催していた。
美しく咲いた花を眺めながら、軽食とお菓子を楽しむ一時だった。
春風がさわさわと心地よい音をたてて花々を揺らす。
「はい?」
私は言われた言葉に、耳が拒否したのだと一瞬思った。だって、本当に突拍子もない事だったからだ。
飲もうとしていた紅茶に口を付ける前で良かったと思う。ぴたり、と止まった手を褒めてあげたい。
だって絶対に、ゴホゴホと咽ていたと思うからだ。
「あの、お父様、もう一度言って下さい」
「王太子妃の選出にお前が選ばれたと、言ったんだ」
同じ色の髪と瞳の色である、茶色……もしくは栗色の瞳が至って真面目に私を見ていた。
平々凡々の色なのに実の父親は、ロマンスグレー的なダンディな容貌である。
それに比べて、私は平凡ですって感じの容姿である。ただ、顔のパーツの一つ一つを父と母のとを検証すると確かにこの二人のを貰っているのだと分かるのだ。
「王太子妃って言いますけど、まだ、王太子様も決まってはいないの思うのだけど?」
困ったような顔をする両親を私は見詰めた。
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