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愛と悲しみと願いの先へ4

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 ふかふかのベッドに上がってロイが率直に思ったのは、4人居ても余裕なほどに大きい事だった。ロイはセレナから見て、右側に膝立ちで座る。逆の左側にはアークレッドが陣取っている。
 ロイがアークレッドに目配せをすると、こくりと頷いて応じて来る。心なしか不本意そうに眉根がちょっとだけ寄っている気がしたが、突っ込まずロイは頷いて返事をする。
 セレナの頬を優しく撫でて、感触を確かめる。温かさを感じてロイは、ホッと息をつく。自分の眼に映った最後の光景が、セレナの絶望した表情であった。そして懸命に伸ばした指先に感じたのは、呪いが絡みつく冷たさだったからである。

「………セレナ、セレナ、セレナ起きて」
 何度も何度も頬を無意識で撫でながら、ロイはその名を呼ぶ。

「う……ぅん?」
 苦しそうな寝顔に、ギリギリとロイの胸が軋む。目蓋の縁にある涙の跡が余計に拍車をかけていた。
「ごめんね、セレナ。僕にもっと力があれば、ちゃんと守れたのに……次は必ず守るよ」
 ロイは屈み込んで、そっと顔を寄せると、啄む様に、目蓋に、頬に、唇に口付けを降らせた。
 何度目かの口付けで、セレナが目を覚まして目を丸くして驚いた表情を見せた。
「……ん……ぇ?」
「セレナ?」
「ロイな、の?」
「そうだよ、セレナ」
 沸き上がる想いと共に、ロイは笑顔でセレナを迎える。
「ロイ!」
 緩慢な動作でセレナは、ロイに手を伸ばし抱き付く。怯える様にセレナの身体は震えている。理由は痛いほど解っているので、宥める様に、優しく、抱き締めながら時折、背中を撫でる。

「ロイ会いたかった!」
 抱き付くセレナの声には、歓喜と安堵が混じっていた。
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