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アン=マリー女学院からの依頼編
episode552
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イリニア王女は涙をこぼし、メルヴィンを切なく見上げた。そのあまりにも素早い行動に、どうしていいか判らず、キュッリッキは2人のそばで喚きまくった。
「なによアンタ! 泣きつくんだったら女好きのルーさんかベルトルドさんにしてよ!!」
両手で拳を作り、キュッリッキは怒鳴った。後ろの方で「マテこら」とルーファスとベルトルドがぼそりとツッコミを入れていた。
「王女」
「わたくしのことは、イリニアと呼び捨ててくださいませ」
スルーされた挙句その言葉に、更にキュッリッキがカチンとなる。
「一体ナンナノ!? メルヴィンはアタシの恋人なんだからね! 厚かましいわよ離れて!」
メルヴィンに抱きつきながら、イリニア王女はジロリとキュッリッキを睨みつけた。
「デリカシーの欠片も無い方ね。あなたみたいな人はメルヴィン様にふさわしくないわ」
女好きにされてしまった――事実だが――ルーファスとベルトルドは、2人の美少女を眺めながら、ちょっと面白そうな展開、などと思っていた。
キュッリッキはこれでもかと頬を膨らませると、ワナワナ身体を震わせ、ついにポロポロと涙をこぼし始めた。そして大きくしゃくりあげると、両手を広げてスタンバイしているベルトルドに泣きついた。
「うわ~~~ん、ナンナノあの女あああ」
「お~よしよし、俺がいるじゃないか。泣かない泣かない、ヨシヨシ」
キュッリッキに泣きつかれて、ベルトルドは大喜びで慰めた。股間の疼きに耐えながら、全身から優しさのオーラを滲み出しまくってキュッリッキを抱きしめる。
慰める一方で、今夜にはキュッリッキの処女をもらえる。それが頭の中で木霊しまくり、理性を総動員して大変なのだ。
すっかり置いてけぼり状態のメルヴィンは、どうしていいか判らず途方にくれながら固まってしまっていた。
大泣きしているキュッリッキと、これみよがしにベタベタ慰めているベルトルドが激しく気になりつつも、命を狙われ酷い事実に不安に陥っているイリニア王女を、邪険に振り払うのも気が引ける。数日一緒に旅をしてきて、多少情が移ってしまっていた。さてどうしたものかと考えるが、頭がグルグルして考えがまとまらず固まったままだ。
乱暴に扱われ、地面に転がされたままほっとかれ状態のシェシュティン院長は、縛られたままギリギリと歯ぎしりをしてタルコットを睨みつけた。
「ババアの割に、なんだかえらく闘志がわいてるんじゃない? もしかして戦闘スキル〈才能〉持ちか」
淡々とシェシュティン院長を見下ろし、タルコットは首をかしげた。
学院で見たときは、楚々としてたおやかな老婦人だったが、今地面に転がっている姿は手負いの獣のような雰囲気を滲み出している。
「ああそいつ、不意打ちの一撃を飛ばしてきて吃驚したぞ。俺じゃなきゃマトモに顔面にヒットしてただろうな」
ベルトルドには絶対防御と言われる、サイ《超能力》による防御能力が備わっている。アルカネット、リュリュ、キュッリッキのみには働かないとされるので、絶対とは言い切れないが。しかしベルトルドに敵意あるもの、たまたま飛んできたものなど、種類を問わず人々や物体、力などは自動的に空間転移してしまうのである。悪意や敵意がそこになくとも、ベルトルドの身体に害が及びそうなものは、勝手にどこかへ飛ばしてしまうのだ。それは自身が意識的にしていることではないので、絶対防御などと呼ばれていた。
「寸でで気づいて飛ばさなくてよかったが、老人とは思えない瞬発力だったぞ。戦闘スキル〈才能〉持ちはこれだから怖い」
アンタに怖いものあるんですかっ!? という視線がチラホラ向けられるが、泣きじゃくるキュッリッキの頭を優しく撫でながら、ベルトルドはドヤ顔だった。
「なによアンタ! 泣きつくんだったら女好きのルーさんかベルトルドさんにしてよ!!」
両手で拳を作り、キュッリッキは怒鳴った。後ろの方で「マテこら」とルーファスとベルトルドがぼそりとツッコミを入れていた。
「王女」
「わたくしのことは、イリニアと呼び捨ててくださいませ」
スルーされた挙句その言葉に、更にキュッリッキがカチンとなる。
「一体ナンナノ!? メルヴィンはアタシの恋人なんだからね! 厚かましいわよ離れて!」
メルヴィンに抱きつきながら、イリニア王女はジロリとキュッリッキを睨みつけた。
「デリカシーの欠片も無い方ね。あなたみたいな人はメルヴィン様にふさわしくないわ」
女好きにされてしまった――事実だが――ルーファスとベルトルドは、2人の美少女を眺めながら、ちょっと面白そうな展開、などと思っていた。
キュッリッキはこれでもかと頬を膨らませると、ワナワナ身体を震わせ、ついにポロポロと涙をこぼし始めた。そして大きくしゃくりあげると、両手を広げてスタンバイしているベルトルドに泣きついた。
「うわ~~~ん、ナンナノあの女あああ」
「お~よしよし、俺がいるじゃないか。泣かない泣かない、ヨシヨシ」
キュッリッキに泣きつかれて、ベルトルドは大喜びで慰めた。股間の疼きに耐えながら、全身から優しさのオーラを滲み出しまくってキュッリッキを抱きしめる。
慰める一方で、今夜にはキュッリッキの処女をもらえる。それが頭の中で木霊しまくり、理性を総動員して大変なのだ。
すっかり置いてけぼり状態のメルヴィンは、どうしていいか判らず途方にくれながら固まってしまっていた。
大泣きしているキュッリッキと、これみよがしにベタベタ慰めているベルトルドが激しく気になりつつも、命を狙われ酷い事実に不安に陥っているイリニア王女を、邪険に振り払うのも気が引ける。数日一緒に旅をしてきて、多少情が移ってしまっていた。さてどうしたものかと考えるが、頭がグルグルして考えがまとまらず固まったままだ。
乱暴に扱われ、地面に転がされたままほっとかれ状態のシェシュティン院長は、縛られたままギリギリと歯ぎしりをしてタルコットを睨みつけた。
「ババアの割に、なんだかえらく闘志がわいてるんじゃない? もしかして戦闘スキル〈才能〉持ちか」
淡々とシェシュティン院長を見下ろし、タルコットは首をかしげた。
学院で見たときは、楚々としてたおやかな老婦人だったが、今地面に転がっている姿は手負いの獣のような雰囲気を滲み出している。
「ああそいつ、不意打ちの一撃を飛ばしてきて吃驚したぞ。俺じゃなきゃマトモに顔面にヒットしてただろうな」
ベルトルドには絶対防御と言われる、サイ《超能力》による防御能力が備わっている。アルカネット、リュリュ、キュッリッキのみには働かないとされるので、絶対とは言い切れないが。しかしベルトルドに敵意あるもの、たまたま飛んできたものなど、種類を問わず人々や物体、力などは自動的に空間転移してしまうのである。悪意や敵意がそこになくとも、ベルトルドの身体に害が及びそうなものは、勝手にどこかへ飛ばしてしまうのだ。それは自身が意識的にしていることではないので、絶対防御などと呼ばれていた。
「寸でで気づいて飛ばさなくてよかったが、老人とは思えない瞬発力だったぞ。戦闘スキル〈才能〉持ちはこれだから怖い」
アンタに怖いものあるんですかっ!? という視線がチラホラ向けられるが、泣きじゃくるキュッリッキの頭を優しく撫でながら、ベルトルドはドヤ顔だった。
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