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ナルバ山の遺跡編
episode68
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玄関ロビーに戻ると、カーティスの他に、ルーファスとメルヴィンも来ていた。
「では行きましょうか。留守を頼みますね、メルヴィン」
「了解です。いってらっしゃい、みなさん」
朗らかなメルヴィンに見送られ、カーティス、キュッリッキ、ルーファスの3人はアジトを出た。
「我らがベルトルド卿から、屋敷まで来いと、呼び出しがありました。来るときにはキュッリッキさんもお連れするよに言われたんです」
「ふ~ん、そうなんだ。アタシになんの用事かなあ?」
エルダー街のアジトに連れてきてもらったとき以来、ベルトルドには会っていない。
このハワドウレ皇国の副宰相という、すごく偉い地位にいる人だと知って、この先滅多に会うことはないだろう、とも思っていた。所詮自分は、一介の傭兵にしか過ぎないのだから。
「メッセージに詳細なことは書いていなかったんですよ。『屋敷までキュッリッキを連れてすぐ来い』としか」
カーティスは苦笑を滲ませながら説明した。
「内容記さず呼び出しとか、珍しいよね~。キューリちゃんも連れて来いなんて」
カーティスと並びながら、ルーファスが首をかしげた。
「キューリさんを連れてこい、というのは、単に会いたいからでしょう。とても気に入っていた様子なんで…」
「え~、それって私情挟みすぎー。つか、オレたち護衛役だったりして」
「それが本当でも、私は驚きませんとも」
おかしそうに笑うルーファスと、肩をすくめるカーティスの後ろをついて歩きながら、二人を交互に見上る。会話の内容がいまいち判らないので、キュッリッキはおとなしく口をつぐんでいた。
「それにしても、ハーメンリンナに入るのも、久しぶりだよね」
「あまり近寄りたくはない所なんですがね」
「せっかく宮仕えを脱したのに、ホントめんどくさいよな、あんなとこ」
「同感です」
行き先がハーメンリンナと判り、キュッリッキは身を乗り出す。
「ハーメンリンナに行くの?」
「そそ。ベルトルド様の屋敷は、ハーメンリンナの中にあるからね~」
ルーファスがにっこりと答えた。
「キューリさんは初めてですか?」
「うん。入ったことないよ」
まず、一般人が入れるような所ではない。当然キュッリッキも、入れるような身分ではないのだ。
「キューリちゃんの通行証は、大丈夫なん?」
「衛兵には話が通っているはずです。私たちが一緒だから、多分大丈夫でしょう」
「そっか」
アジトから歩くこと30分ほどで、城壁の唯一の入口前に到着した。
カーティスとルーファスは、ごく普通に歩いていた。しかし二人に比べると歩幅が小さいキュッリッキは、着いていくのがやっとだった。一度も立ち止まることなく、キュッリッキは必死に小走り状態で、城壁の門の前に着く頃には、すっかり息があがってしまっていた。
その様子にようやく気づいたルーファスが、苦笑気味にキュッリッキの顔を覗き込む。
「大丈夫? キューリちゃん」
「ぜぇ……ぜぇ……だいじょぶ…」
「召喚士は、体力なさそうだなぁ」
そう言って笑いながら、ルーファスはキュッリッキの手を取った。
「では行きましょうか。留守を頼みますね、メルヴィン」
「了解です。いってらっしゃい、みなさん」
朗らかなメルヴィンに見送られ、カーティス、キュッリッキ、ルーファスの3人はアジトを出た。
「我らがベルトルド卿から、屋敷まで来いと、呼び出しがありました。来るときにはキュッリッキさんもお連れするよに言われたんです」
「ふ~ん、そうなんだ。アタシになんの用事かなあ?」
エルダー街のアジトに連れてきてもらったとき以来、ベルトルドには会っていない。
このハワドウレ皇国の副宰相という、すごく偉い地位にいる人だと知って、この先滅多に会うことはないだろう、とも思っていた。所詮自分は、一介の傭兵にしか過ぎないのだから。
「メッセージに詳細なことは書いていなかったんですよ。『屋敷までキュッリッキを連れてすぐ来い』としか」
カーティスは苦笑を滲ませながら説明した。
「内容記さず呼び出しとか、珍しいよね~。キューリちゃんも連れて来いなんて」
カーティスと並びながら、ルーファスが首をかしげた。
「キューリさんを連れてこい、というのは、単に会いたいからでしょう。とても気に入っていた様子なんで…」
「え~、それって私情挟みすぎー。つか、オレたち護衛役だったりして」
「それが本当でも、私は驚きませんとも」
おかしそうに笑うルーファスと、肩をすくめるカーティスの後ろをついて歩きながら、二人を交互に見上る。会話の内容がいまいち判らないので、キュッリッキはおとなしく口をつぐんでいた。
「それにしても、ハーメンリンナに入るのも、久しぶりだよね」
「あまり近寄りたくはない所なんですがね」
「せっかく宮仕えを脱したのに、ホントめんどくさいよな、あんなとこ」
「同感です」
行き先がハーメンリンナと判り、キュッリッキは身を乗り出す。
「ハーメンリンナに行くの?」
「そそ。ベルトルド様の屋敷は、ハーメンリンナの中にあるからね~」
ルーファスがにっこりと答えた。
「キューリさんは初めてですか?」
「うん。入ったことないよ」
まず、一般人が入れるような所ではない。当然キュッリッキも、入れるような身分ではないのだ。
「キューリちゃんの通行証は、大丈夫なん?」
「衛兵には話が通っているはずです。私たちが一緒だから、多分大丈夫でしょう」
「そっか」
アジトから歩くこと30分ほどで、城壁の唯一の入口前に到着した。
カーティスとルーファスは、ごく普通に歩いていた。しかし二人に比べると歩幅が小さいキュッリッキは、着いていくのがやっとだった。一度も立ち止まることなく、キュッリッキは必死に小走り状態で、城壁の門の前に着く頃には、すっかり息があがってしまっていた。
その様子にようやく気づいたルーファスが、苦笑気味にキュッリッキの顔を覗き込む。
「大丈夫? キューリちゃん」
「ぜぇ……ぜぇ……だいじょぶ…」
「召喚士は、体力なさそうだなぁ」
そう言って笑いながら、ルーファスはキュッリッキの手を取った。
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