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ナルバ山の遺跡編
episode88
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「さて、もう夕飯ですし、食べながら話をしましょうか」
カーティスもルーファスも席に着く。
キュッリッキも空いている席に座ろうとしたら、隣に座れとザカリーに手招きされ、思いっきり迷惑だという表情をして、ツンとそっぽを向いた。そしてメルヴィンとシビルの間に空いている席に座った。
その様子に、ギャリーとルーファスが露骨に冷やかし笑う。
「るっせーおまえらっ」
顔を真っ赤にして、ザカリーは二人に怒鳴った。
キリ夫妻が食事の乗ったワゴンを押してきて、ヴァルトが手伝いに行く。肉料理、魚料理、オードブルにつまみ、ピラフやパンの盛り合わせ、サラダにフルーツ、デザート類などなど、美味しい匂いを放つ大皿が所狭しと並んでいく。
「今日も沢山のご馳走を作ってくれたキリ夫妻に感謝して、いただきます」
カーティスが両手を合わせて言うと、皆元気に「いただきまーす!」と声を上げて、食事が始まった。
「肉を食え肉を、ほら、キューリ食え」
「そんないっぱい食べらんないってば~~」
ギャリーは鶏肉のローストを切り分けて、3人前ほどもある量を皿に盛り、キュッリッキの前に置く。
「残してもいいから食え。仕事入ったんだ、体力つけろ」
「うにゅぅ~~」
鶏肉は嫌いじゃないが、量が多すぎる。キュッリッキはしかめっ面で肉の山を睨みつけていたが、
「オレにも少し、分けてください」
隣でメルヴィンが、取り皿をキュッリッキの方へ差し出した。
「うん、あげる」
キュッリッキは喜々として、ここぞとばかりに、2人前分をメルヴィンの皿に分けた。
「あ、ありがとうございます」
「えへへ」
無邪気に笑むキュッリッキの顔を、やや引き攣りながら微笑み返した。
「キューリさん、これは一人分ですからね」
メルヴィンとは反対側の隣に座るシビルが、ミートパイとスコッチエッグ1個を乗せた皿を、キュッリッキの前に置いた。
「お肉ばっかり…」
「キューリさんはカロリー高めのものを、たくさん食べないとダメですよ。痩せすぎなんですから、少しは脂肪つけてください」
「はーい」
シビルはタヌキのトゥーリ族だ。背丈は人間の子供くらいしかなく、タヌキの外見に二足歩行する幼児体型な身体、手脚はやや短い。尻の部分にふっくら生えている、フサフサの縞々尻尾が大きくて可愛らしかった。
世話焼きな性分で、椅子の上に立って、小さな手で料理を色々取り分け、みんなに配っていた。これでもAAAランクの魔法スキル〈才能〉を持っている。
「肉は嫌いですか?」
メルヴィンに訊ねられて、キュッリッキは首を横に振る。
「好きだけど、沢山は食べられないの。とっても美味しいんだけど」
お世辞じゃなく、本当に美味しい。
「胃袋が小さそうですね。慌てず、ゆっくり食べてください」
「うん」
肉ばかりでは口の中が辛いので、時々柔らかいパンや温野菜を交えながら、取り分の肉を食べていく。
〈貴様ら、この俺を待たせて、呑気に食べ続けるな!〉
食事で賑わう場に、落雷のような怒号が振り落とされた。
カーティスもルーファスも席に着く。
キュッリッキも空いている席に座ろうとしたら、隣に座れとザカリーに手招きされ、思いっきり迷惑だという表情をして、ツンとそっぽを向いた。そしてメルヴィンとシビルの間に空いている席に座った。
その様子に、ギャリーとルーファスが露骨に冷やかし笑う。
「るっせーおまえらっ」
顔を真っ赤にして、ザカリーは二人に怒鳴った。
キリ夫妻が食事の乗ったワゴンを押してきて、ヴァルトが手伝いに行く。肉料理、魚料理、オードブルにつまみ、ピラフやパンの盛り合わせ、サラダにフルーツ、デザート類などなど、美味しい匂いを放つ大皿が所狭しと並んでいく。
「今日も沢山のご馳走を作ってくれたキリ夫妻に感謝して、いただきます」
カーティスが両手を合わせて言うと、皆元気に「いただきまーす!」と声を上げて、食事が始まった。
「肉を食え肉を、ほら、キューリ食え」
「そんないっぱい食べらんないってば~~」
ギャリーは鶏肉のローストを切り分けて、3人前ほどもある量を皿に盛り、キュッリッキの前に置く。
「残してもいいから食え。仕事入ったんだ、体力つけろ」
「うにゅぅ~~」
鶏肉は嫌いじゃないが、量が多すぎる。キュッリッキはしかめっ面で肉の山を睨みつけていたが、
「オレにも少し、分けてください」
隣でメルヴィンが、取り皿をキュッリッキの方へ差し出した。
「うん、あげる」
キュッリッキは喜々として、ここぞとばかりに、2人前分をメルヴィンの皿に分けた。
「あ、ありがとうございます」
「えへへ」
無邪気に笑むキュッリッキの顔を、やや引き攣りながら微笑み返した。
「キューリさん、これは一人分ですからね」
メルヴィンとは反対側の隣に座るシビルが、ミートパイとスコッチエッグ1個を乗せた皿を、キュッリッキの前に置いた。
「お肉ばっかり…」
「キューリさんはカロリー高めのものを、たくさん食べないとダメですよ。痩せすぎなんですから、少しは脂肪つけてください」
「はーい」
シビルはタヌキのトゥーリ族だ。背丈は人間の子供くらいしかなく、タヌキの外見に二足歩行する幼児体型な身体、手脚はやや短い。尻の部分にふっくら生えている、フサフサの縞々尻尾が大きくて可愛らしかった。
世話焼きな性分で、椅子の上に立って、小さな手で料理を色々取り分け、みんなに配っていた。これでもAAAランクの魔法スキル〈才能〉を持っている。
「肉は嫌いですか?」
メルヴィンに訊ねられて、キュッリッキは首を横に振る。
「好きだけど、沢山は食べられないの。とっても美味しいんだけど」
お世辞じゃなく、本当に美味しい。
「胃袋が小さそうですね。慌てず、ゆっくり食べてください」
「うん」
肉ばかりでは口の中が辛いので、時々柔らかいパンや温野菜を交えながら、取り分の肉を食べていく。
〈貴様ら、この俺を待たせて、呑気に食べ続けるな!〉
食事で賑わう場に、落雷のような怒号が振り落とされた。
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