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それぞれの悪巧み編
episode297
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物語は昔話で、若い夫婦の布団を巡る物語だった。
キュッリッキは辿たどしく声に出して読み始め、ところどころつっかえたり間違えながら、最後まで読みきった。
「はい、結構です。この本なら問題はなさそうですね。――キュッリッキさんはこの物語を、どう感じましたか?」
感想を振られ、キュッリッキは背筋を伸ばす。
「えと、奥さんの気持ちは健気だけど、やってることがおバカさん、ってかんじに思いました」
グンヒルドはクスッと笑う。
「そうですね。旦那さんもちゃんと言ってあげればいいのに、それをしないで、堂々巡りをしているのだから」
と言って、急にグンヒルドの表情が殺伐としたものに塗り変わる。
「のろけてんじゃねーよ、このド新婚がっ、て思ったものです」
優しい笑顔に戻って締め括ると、「あら?」とキュッリッキの顔を見る。
「どうしましたか?」
キュッリッキの表情は凍りついていた。
(せ…センセイ…怖い…アルカネットさんみたい…)
優しさの塊の様な人だと思っていたが、実は怖い裏の顔もあるのだと、キュッリッキは気づいてしまった。
(アタシ、絶対、先生を怒らせないようにするんだもん…)
心に固く誓うのだった。
1時間はあっという間に過ぎ、初めての授業が終わる。そしてリトヴァが部屋に顔を出した。
「失礼いたします。お嬢様、先生、昼食の用意が整ってございます」
「ありがとうございます」
「先生も一緒に食べていけるんだね」
嬉しそうに言うキュッリッキに、グンヒルドはにっこり笑った。
「ご馳走になります」
2人はリトヴァに案内され、東棟にあるパーラーに案内された。
ベルトルドもアルカネットも独身で、内縁の妻も子供もいない。キュッリッキが来るまでは、くつろぐ時はスモーキングルームか自室になる。仕事を持ち込めば書斎か応接間に行くし、食事は自室か食堂で摂っていた。パーラーはほぼ使われていないのである。
今はキュッリッキがいるので、ようやくパーラーは役目を与えられ、新しい主を迎えた。しかしキュッリッキも初めてくる部屋である。可愛らしい雰囲気の内装で、キュッリッキの部屋のような印象だ。室内を珍しそうに見ながら席に着く。
「アタシってば、一回目は応接間だけ、二回目は動けないまま来たから、このお屋敷にどんな部屋があるか、あんまり知らないなあ。この間、誕生日パーティーを開いてくれた時に、初めてパーティールームに入ったんだよ」
向かい側に座ったグンヒルドに、小さく肩をすくめてみせる。
「リハビリを兼ねて、お屋敷の中を探検してみては?」
「探検!」
楽しそうな響きに、キュッリッキの顔がパッと花開く。
「迷子にならないでくださいましね」
給仕をしているアリサが、くすくす笑った。
「ご飯終わったら、行ってみよっと」
「ダメですよ」
「えー、なんでー?」
即アリサに反対され、キュッリッキは唇を尖らせる。
「お食事が済んだら、お昼寝をして下さい」
「…どうして?」
「ヴィヒトリ先生のお言いつけでございます。毎日必ず、昼食後はお昼寝をするように、そう仰っていました」
「ぶぅ」
「ライオンの皆様がお帰りになったとき、寝ちゃってたらどうするんですか?」
朝から夜まで、ライオン傭兵団の皆は軍に出向している。せっかくベルトルドの屋敷で合宿なのに、会えるのは朝食の時と、夜帰ってきてから数時間だけだった。
「お昼寝のあとでも、探検は出来ますよ」
グンヒルドにも言われて、キュッリッキは不承不承頷いた。
キュッリッキは辿たどしく声に出して読み始め、ところどころつっかえたり間違えながら、最後まで読みきった。
「はい、結構です。この本なら問題はなさそうですね。――キュッリッキさんはこの物語を、どう感じましたか?」
感想を振られ、キュッリッキは背筋を伸ばす。
「えと、奥さんの気持ちは健気だけど、やってることがおバカさん、ってかんじに思いました」
グンヒルドはクスッと笑う。
「そうですね。旦那さんもちゃんと言ってあげればいいのに、それをしないで、堂々巡りをしているのだから」
と言って、急にグンヒルドの表情が殺伐としたものに塗り変わる。
「のろけてんじゃねーよ、このド新婚がっ、て思ったものです」
優しい笑顔に戻って締め括ると、「あら?」とキュッリッキの顔を見る。
「どうしましたか?」
キュッリッキの表情は凍りついていた。
(せ…センセイ…怖い…アルカネットさんみたい…)
優しさの塊の様な人だと思っていたが、実は怖い裏の顔もあるのだと、キュッリッキは気づいてしまった。
(アタシ、絶対、先生を怒らせないようにするんだもん…)
心に固く誓うのだった。
1時間はあっという間に過ぎ、初めての授業が終わる。そしてリトヴァが部屋に顔を出した。
「失礼いたします。お嬢様、先生、昼食の用意が整ってございます」
「ありがとうございます」
「先生も一緒に食べていけるんだね」
嬉しそうに言うキュッリッキに、グンヒルドはにっこり笑った。
「ご馳走になります」
2人はリトヴァに案内され、東棟にあるパーラーに案内された。
ベルトルドもアルカネットも独身で、内縁の妻も子供もいない。キュッリッキが来るまでは、くつろぐ時はスモーキングルームか自室になる。仕事を持ち込めば書斎か応接間に行くし、食事は自室か食堂で摂っていた。パーラーはほぼ使われていないのである。
今はキュッリッキがいるので、ようやくパーラーは役目を与えられ、新しい主を迎えた。しかしキュッリッキも初めてくる部屋である。可愛らしい雰囲気の内装で、キュッリッキの部屋のような印象だ。室内を珍しそうに見ながら席に着く。
「アタシってば、一回目は応接間だけ、二回目は動けないまま来たから、このお屋敷にどんな部屋があるか、あんまり知らないなあ。この間、誕生日パーティーを開いてくれた時に、初めてパーティールームに入ったんだよ」
向かい側に座ったグンヒルドに、小さく肩をすくめてみせる。
「リハビリを兼ねて、お屋敷の中を探検してみては?」
「探検!」
楽しそうな響きに、キュッリッキの顔がパッと花開く。
「迷子にならないでくださいましね」
給仕をしているアリサが、くすくす笑った。
「ご飯終わったら、行ってみよっと」
「ダメですよ」
「えー、なんでー?」
即アリサに反対され、キュッリッキは唇を尖らせる。
「お食事が済んだら、お昼寝をして下さい」
「…どうして?」
「ヴィヒトリ先生のお言いつけでございます。毎日必ず、昼食後はお昼寝をするように、そう仰っていました」
「ぶぅ」
「ライオンの皆様がお帰りになったとき、寝ちゃってたらどうするんですか?」
朝から夜まで、ライオン傭兵団の皆は軍に出向している。せっかくベルトルドの屋敷で合宿なのに、会えるのは朝食の時と、夜帰ってきてから数時間だけだった。
「お昼寝のあとでも、探検は出来ますよ」
グンヒルドにも言われて、キュッリッキは不承不承頷いた。
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