片翼の召喚士-Rework-

ユズキ

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エルアーラ遺跡編

episode424

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「なーよー、さっきから妙に気になってるんだが、その青い玉はなんだ?」

 フェンリルの横を歩いているザカリーが、キュッリッキの身体の周りにぷかぷか浮いている複数の玉を指差す。

「そうだよね、何なのキューリちゃん?」

 ルーファスも首を巡らせ頷く。

「うーんと、ヒューゴってユーレイの力を具現したものなんだって。《ゲームマスター》って力で、それを分けたのがこの玉で、名前は……」

 教えられた名前は覚えているのだが、どの玉がその名前なのかがキュッリッキにはサッパリ判らない。なにせ形も色も大きさも同じなのだ。

「どれがどの名前なのかは判んない」

 前に座るシビルが、同情するようにぽんぽんとキュッリッキの腕を叩いた。

 いっそくれるときに、玉に名前でも書いておいてほしかった。

「その力はどうやって使うんだよ」

「えっと………」

 ザカリーのほうへ顔を向けたまま、キュッリッキは硬直してしまった。

 そう、名前は教わったが、力をどう使えばいいかまでは教わってない。

「取説なしにもらってきたのか……」

 目が点になっているキュッリッキの顔から察して、ザカリーは呆れたように肩を落とした。

 2人の会話を黙って聞いていた面々は、ヤレヤレと苦笑った。

「まあ仕事が終わったら、ゆっくり使い方を探ればいいよ」

 取りなすようにルーファスがにっこりと笑顔を向け、キュッリッキはベソをかいたような表情で頷いた。

 一行はある場所を目指して歩いている。そこはこの遺跡の重要な場所の一つで、動力部に当たる場所だという。遺跡の説明もなしに動力部と言われてもなんのことだか、ではあったが、行けと言われているので向かっている。

 フェンリルに乗ったキュッリッキを守るように、ザカリー、ルーファス、メルヴィン、タルコットが傍らに沿って歩き、先頭は簡潔地図を手にしたカーティスと、何が飛び出してきてもいいようにヴァルトとギャリーが守り、しんがりにはガエルが壁を作るように歩いていた。

 フロアを出て数分の間に、ソレル王国兵が数人飛び出してきては襲いかかってきていた。しかし奥に進むにつれてソレル王国兵は一切出てこなくなり、シビルの探索でもライオン傭兵団以外の人間の気配は探ることはできなかった。

 命令された場所に至る道中の敵しか排除は命じられていなかったので、あえて別の場所へソレル王国兵狩りに行かなくてもいいだろう。

 ハーメンリンナの地下通路のような、明るいけど殺風景な場所を黙々と歩きながら、突然マリオンが立ち止まって背後を振り返った。

 マリオンのすぐ後ろを歩いていたランドンが、マリオンの背にぶつかって後ろによろける。

「いきなり止まんないでよマリオン」

「ごめぇ~ん。けどぉ、な~んか聞こえなーい?」

 皆立ち止まって、後ろを振り返る。

「なんも聞こえねーぞ?」

 ギャリーが目を眇めたままぼやく。

「ほらぁ、もっとよく耳を澄ませるのよぉ」

 なおも言い募るマリオンをチラリと見てから、ギャリーはもう一度歩いてきた通路の遠くを見る。

「ゲッ」

 ザカリーは引きつった顔をすると及び腰になった。

「おい、やべーぞ、なんだありゃ」

「何が見えたっ?」

「出来れば見えたくないもの」

 戦闘の遠隔武器スキル〈才能〉を持つザカリーの視力は、1キロ先のものまでクリアに見通せる能力がある。その目で見たものは。

「蜂の大群だ」

「ほえ?」

 キュッリッキはきょとんと背後を見つめた。
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