443 / 882
エルアーラ遺跡編
episode424
しおりを挟む
「なーよー、さっきから妙に気になってるんだが、その青い玉はなんだ?」
フェンリルの横を歩いているザカリーが、キュッリッキの身体の周りにぷかぷか浮いている複数の玉を指差す。
「そうだよね、何なのキューリちゃん?」
ルーファスも首を巡らせ頷く。
「うーんと、ヒューゴってユーレイの力を具現したものなんだって。《ゲームマスター》って力で、それを分けたのがこの玉で、名前は……」
教えられた名前は覚えているのだが、どの玉がその名前なのかがキュッリッキにはサッパリ判らない。なにせ形も色も大きさも同じなのだ。
「どれがどの名前なのかは判んない」
前に座るシビルが、同情するようにぽんぽんとキュッリッキの腕を叩いた。
いっそくれるときに、玉に名前でも書いておいてほしかった。
「その力はどうやって使うんだよ」
「えっと………」
ザカリーのほうへ顔を向けたまま、キュッリッキは硬直してしまった。
そう、名前は教わったが、力をどう使えばいいかまでは教わってない。
「取説なしにもらってきたのか……」
目が点になっているキュッリッキの顔から察して、ザカリーは呆れたように肩を落とした。
2人の会話を黙って聞いていた面々は、ヤレヤレと苦笑った。
「まあ仕事が終わったら、ゆっくり使い方を探ればいいよ」
取りなすようにルーファスがにっこりと笑顔を向け、キュッリッキはベソをかいたような表情で頷いた。
一行はある場所を目指して歩いている。そこはこの遺跡の重要な場所の一つで、動力部に当たる場所だという。遺跡の説明もなしに動力部と言われてもなんのことだか、ではあったが、行けと言われているので向かっている。
フェンリルに乗ったキュッリッキを守るように、ザカリー、ルーファス、メルヴィン、タルコットが傍らに沿って歩き、先頭は簡潔地図を手にしたカーティスと、何が飛び出してきてもいいようにヴァルトとギャリーが守り、しんがりにはガエルが壁を作るように歩いていた。
フロアを出て数分の間に、ソレル王国兵が数人飛び出してきては襲いかかってきていた。しかし奥に進むにつれてソレル王国兵は一切出てこなくなり、シビルの探索でもライオン傭兵団以外の人間の気配は探ることはできなかった。
命令された場所に至る道中の敵しか排除は命じられていなかったので、あえて別の場所へソレル王国兵狩りに行かなくてもいいだろう。
ハーメンリンナの地下通路のような、明るいけど殺風景な場所を黙々と歩きながら、突然マリオンが立ち止まって背後を振り返った。
マリオンのすぐ後ろを歩いていたランドンが、マリオンの背にぶつかって後ろによろける。
「いきなり止まんないでよマリオン」
「ごめぇ~ん。けどぉ、な~んか聞こえなーい?」
皆立ち止まって、後ろを振り返る。
「なんも聞こえねーぞ?」
ギャリーが目を眇めたままぼやく。
「ほらぁ、もっとよく耳を澄ませるのよぉ」
なおも言い募るマリオンをチラリと見てから、ギャリーはもう一度歩いてきた通路の遠くを見る。
「ゲッ」
ザカリーは引きつった顔をすると及び腰になった。
「おい、やべーぞ、なんだありゃ」
「何が見えたっ?」
「出来れば見えたくないもの」
戦闘の遠隔武器スキル〈才能〉を持つザカリーの視力は、1キロ先のものまでクリアに見通せる能力がある。その目で見たものは。
「蜂の大群だ」
「ほえ?」
キュッリッキはきょとんと背後を見つめた。
フェンリルの横を歩いているザカリーが、キュッリッキの身体の周りにぷかぷか浮いている複数の玉を指差す。
「そうだよね、何なのキューリちゃん?」
ルーファスも首を巡らせ頷く。
「うーんと、ヒューゴってユーレイの力を具現したものなんだって。《ゲームマスター》って力で、それを分けたのがこの玉で、名前は……」
教えられた名前は覚えているのだが、どの玉がその名前なのかがキュッリッキにはサッパリ判らない。なにせ形も色も大きさも同じなのだ。
「どれがどの名前なのかは判んない」
前に座るシビルが、同情するようにぽんぽんとキュッリッキの腕を叩いた。
いっそくれるときに、玉に名前でも書いておいてほしかった。
「その力はどうやって使うんだよ」
「えっと………」
ザカリーのほうへ顔を向けたまま、キュッリッキは硬直してしまった。
そう、名前は教わったが、力をどう使えばいいかまでは教わってない。
「取説なしにもらってきたのか……」
目が点になっているキュッリッキの顔から察して、ザカリーは呆れたように肩を落とした。
2人の会話を黙って聞いていた面々は、ヤレヤレと苦笑った。
「まあ仕事が終わったら、ゆっくり使い方を探ればいいよ」
取りなすようにルーファスがにっこりと笑顔を向け、キュッリッキはベソをかいたような表情で頷いた。
一行はある場所を目指して歩いている。そこはこの遺跡の重要な場所の一つで、動力部に当たる場所だという。遺跡の説明もなしに動力部と言われてもなんのことだか、ではあったが、行けと言われているので向かっている。
フェンリルに乗ったキュッリッキを守るように、ザカリー、ルーファス、メルヴィン、タルコットが傍らに沿って歩き、先頭は簡潔地図を手にしたカーティスと、何が飛び出してきてもいいようにヴァルトとギャリーが守り、しんがりにはガエルが壁を作るように歩いていた。
フロアを出て数分の間に、ソレル王国兵が数人飛び出してきては襲いかかってきていた。しかし奥に進むにつれてソレル王国兵は一切出てこなくなり、シビルの探索でもライオン傭兵団以外の人間の気配は探ることはできなかった。
命令された場所に至る道中の敵しか排除は命じられていなかったので、あえて別の場所へソレル王国兵狩りに行かなくてもいいだろう。
ハーメンリンナの地下通路のような、明るいけど殺風景な場所を黙々と歩きながら、突然マリオンが立ち止まって背後を振り返った。
マリオンのすぐ後ろを歩いていたランドンが、マリオンの背にぶつかって後ろによろける。
「いきなり止まんないでよマリオン」
「ごめぇ~ん。けどぉ、な~んか聞こえなーい?」
皆立ち止まって、後ろを振り返る。
「なんも聞こえねーぞ?」
ギャリーが目を眇めたままぼやく。
「ほらぁ、もっとよく耳を澄ませるのよぉ」
なおも言い募るマリオンをチラリと見てから、ギャリーはもう一度歩いてきた通路の遠くを見る。
「ゲッ」
ザカリーは引きつった顔をすると及び腰になった。
「おい、やべーぞ、なんだありゃ」
「何が見えたっ?」
「出来れば見えたくないもの」
戦闘の遠隔武器スキル〈才能〉を持つザカリーの視力は、1キロ先のものまでクリアに見通せる能力がある。その目で見たものは。
「蜂の大群だ」
「ほえ?」
キュッリッキはきょとんと背後を見つめた。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
Millennium226 【軍神マルスの娘と呼ばれた女 6】 ― 皇帝のいない如月 ―
kei
歴史・時代
周囲の外敵をことごとく鎮定し、向かうところ敵なし! 盤石に見えた帝国の政(まつりごと)。
しかし、その政体を覆す計画が密かに進行していた。
帝国の生きた守り神「軍神マルスの娘」に厳命が下る。
帝都を襲うクーデター計画を粉砕せよ!
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
【完結・おまけ追加】期間限定の妻は夫にとろっとろに蕩けさせられて大変困惑しております
紬あおい
恋愛
病弱な妹リリスの代わりに嫁いだミルゼは、夫のラディアスと期間限定の夫婦となる。
二年後にはリリスと交代しなければならない。
そんなミルゼを閨で蕩かすラディアス。
普段も優しい良き夫に困惑を隠せないミルゼだった…
ドマゾネスの掟 ~ドMな褐色少女は僕に責められたがっている~
桂
ファンタジー
探検家の主人公は伝説の部族ドマゾネスを探すために密林の奥へ進むが道に迷ってしまう。
そんな彼をドマゾネスの少女カリナが発見してドマゾネスの村に連れていく。
そして、目覚めた彼はドマゾネスたちから歓迎され、子種を求められるのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる