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Not Welcome

5話

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「はぁ?何コイツ!私が呼んだ子と違うじゃないの。マジむかつくんですけどぉ!!っちっ!水晶玉触ったんじゃスキルあげるってやんなきゃよかったわ。面倒臭い!このカススキルでいいや。勝手に来たんだから魔力も1桁って事で。終わったんだからさっさと私の前から消えて。シッシッ」

一瞬時が止まった

女神ってあんなのなの?
私以外の乗客も胡散臭そうな眼差しで神官達を見ると頭抱えたりため息ついたりとしていた。元からあんなんなんだね。
水晶玉を見ると私のスキルが浮かび上がった。

『見る』 魔力4

ただそれだけ。

神官長が凍った様に固まる

「見る?」
私が呟くと周囲にボードの様なものが溢れ出した。そのボードを見ると、私以外の乗客のスキルが浮かび上がった。

『戦士 剣・槍・斧 
魔力8000』

『魔法使い 全属性 
魔力1000000』

『聖職者 治癒・祈り 
魔力100000000』

ファンタジーの世界のスキルが選り取り見取り。流石にあるあるの『勇者』は居なかったけどね。

落ち着きを取り戻した神官長が胡散臭そうな微笑みを私以外の乗客に向ける。
「異世界の方々、女神様から素敵なスキルを授かりおめでとうございます。あちらで宴の準備が用意されていますので。後、そちらの方は残ってもらえますか?」

他の乗客の人と案内役の神官さん達が神殿から出たのを確認した神官長さんは私の方に勢いよく振り返りスライディング土下座。

「本当にうちのボケ女神がすいませんでしたあぁあ!!」

えっ!?一応崇めてる女神だよね?国教だよね??

「あんな女神でも女神だからその御信託に背いてはいけないのです。本当に申し訳ありませんが王宮から出て行ってもらいます。こちら少ないですが支度金です」

神官長さんから少しのお金を貰い、神殿を出ると少し行った場所に大輪の真紅の薔薇の花束が見えたので目を擦り、瞬きをすると薔薇の花束ではなくユーリさんが柱に寄りかかり遠くを見つめている姿は額縁に入っている絵画の様だったので声をかけずに魅入っていまっていた。

「Perverser Trainer」

ユーリさんの口から流暢な言葉が呟かれたが口調からして嫌な事なのだろう。

神殿から出てきた私に気付いたユーリさんは駆け寄ってきて私の手をしっかりと握りしめた。

「ツバサちゃんごめんね。本当はこう言う時に異世界人に手を貸すのは規則違反だけど、『友達』に手を差し伸べるのは違反でも何でもないから着いて来て」
騎士が姫に忠誠を誓うかの様に恭しく私の手を取るユーリさんの姿に私だけじゃなく偶然通りかかった人も頬を赤らめる。
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