唯一の男が女人国家を男女共存国家へと変えて行く物語

マナピナ

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夏季休暇 Ⅳ

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 扉をノックする音で目覚めた。

 いつの間にか寝てしまっていた様だ。

「どうぞ」

「アート久しぶりだね」

そう言いながら入って来たのは虎人族のススミナと言う娘だった。

「聞いたよ実は男の子だったんだね、ちょっと服脱いで見てよ」

「久しぶりに会った早々何を言ってるのさ」

「生意気だぞー」

ススミナは身体強化を使い速いスピードでベッドへと飛び込んで来た。

「危ない」

咄嗟にベッドから飛び降りるアート。

「フフン・・・成長してるね」

ススミナと言う娘は、獣王夫妻がゾネス皇国に来訪された時に着いて来た公爵令嬢である。

「そんな小さい頃と比べられても困るな」

「私はどう?」

「どうって?」

「お姉さんとしてどうって事よ」

そう言いながら虎柄のミニスカートを少し目繰り上げ、豊富な胸を持ち上げた。

「う・・・うん綺麗に・・・成ったかな」

「ちゃんとこっち見て言ってよね、大きく成ったのは体だけなのね」

 ススミナは幾つか年上だから常に上から目線で話してくるのだ。

「コホン・・・大広間に御夕食の支度が整いましたのでお呼びに参りました」

「直ぐに行きますー」

アートは話を誤魔化すかの様にメイドの後へと着いて行くと、当然の様に腕を組んで並び歩くススミナだった。


 メイドが開けた扉を2人で潜るとテーブルには豪華な料理が並び、獣王始め主立った面々が揃っていた。
その中に殺気を放つ視線が交じっていたのだった。

「アートお久しぶりね、急に呼び出しておいて自分は女性とイチャイチャですか!」

「ティナ! ミーヤまで早く無いか?」 

「同じ帝国内ですし、そうでも無いですわ。それよりススミナは何時まで腕を組んでるのかしら?」

 俺は慌ててススミナの腕を振り解いた。

全員が席に着くとススミナが不思議そうに聞いて来た。

「アートとティナはどうして面識が有るの?」

 俺はティナとミーヤがゾネス皇国アカデミーへと留学してる事を伝えた。

「私も行きたいな」

「ススミナは年齢的に駄目よ」

「ティナは直ぐ意地悪言うんだから・・・もう」

食事は穏やかな話題の中進んで行ったのである。

 豪華な内容の食事だったがかなり気を使ってくれたんだろう、何とか上手く話を纏めたいものである。


 食後はススミナも参加して昼間の部屋へと移って話し合いと成った。

「早速だけど提案が有ります。
ゾネスでは今魔晶石を使った魔導具が色々開発されてるのはご存知ですよね」

全員が同時に頷く。

「次回作も凄く便利な物が出来上がる予定ですので、この地方への輸出量を獣人族に多く出したいと思ってます。
帝国やフリーシアでは足りない分を獣人族から仕入れる形にしたいなと、陛下にお願いしようと思ってます」

「なるほどね、その利益で獣人族は輸入が出来ると・・・でも陛下や兄さん達が何と言うかね」

 確かにティナには政治的発言は一切無いのだろう。
アートはアイテムボックスから冷凍庫と明るく光った魔晶石を取り出した。

「あくまでも1つの提案であって、この場で何かを決めると言う事はしません」

「獣人族は助かるが周りは納得しないじゃろうな」

「更にゾネスでは・・・」

アートは自分が戴冠した際には、国外から国民に成る可く人達を集める計画を話した

「女人国家廃止の上、他種族国家の平和な国を考えてます」

「移住か・・・」

「そうです、今ゾネスでは国内に数か所街を作り流通を良くする為にと考えてます」

誰もが黙り込んだ、流石に時期国王からの言葉と成れば考えざる負えないのである。

「問題は現在の状況なんですが、至急母国へ知らせ定期的な配給をお願いしてみます。
きっと許可が出て直ぐに始まるでしょう」

「そこまでして貰っても良いのか?」

「構いません、何れ戴冠した後の計画に協力して頂けたら十分です」

「アート殿下の話を信じよう」

「それでは!」

「明後日の昼を持って全ての戦闘を辞めさせる様に約束しよう」

「ありがとうございます」

「私達を呼んだ訳が分かったわ、この話を全て聞かせたら獣人族に対しても少しは態度が変わるわね」

「流石アート」

ミーヤが笑顔で褒める。

「ハイハイ」

ススミナが手を上げながら乗り出して来た。

「停戦の使者として私がアートと参ります、その方が国内を安全に抜けられるでしょう」

「なんですって!」

ティナが言いたい事を言う前にミーヤが止めた。

「ティナ様は城に戻り報告が先ですよ」

「分かってるわ・・・フン」

 口を膨らませて不貞腐れるティナも可愛いものだな。

「今日はもう遅いしティナ王女殿下とミーヤ殿も部屋を用意させますので、泊まって明日の朝戻られたら宜しいじゃろう」

「ありがとうございます、部屋はミーヤだけで結構です」

「ん?」

「私は久しぶりにお会いしたアートと募る話も有りますので一緒で良いです」

「ティナ様、それは王女殿下として宜しく無いかと思います」

「あら? ミーヤは除け者が嫌なのね・・・フフフ」

 これは先程の仕返しなのだろうか・・・?

「それでは何か有ったら困りますので私も一緒します」

「アート殿下はそれで良いのかの?」

「ベッドが別なら構いませんよ」

「それなら私も一緒の部屋に」

「流石にススミナは困ります」

「ええーー」

ススミナは泣く泣く諦めたが気付いていなかった、自分だけが女性として意識されていた事に。


 翌朝それぞれの馬車は無事に出発した、ただ1人ミーヤだけが一睡も出来ず寝不足だったが・・・
昨夜のミーヤはティナに何か有ってはと言う不安と、自分に何か有るのではと言う期待と言う妙な気持ちで眠る事が出来なかったのである。
それはさて置き、アートとススミナのフリーシアへ向かう馬車の中ではアートが考え込んでいた。

「何を難しい顔してるのかな?」

ススミナがアートの顔を覗き込む。

「朝に書いて渡した親書が何日で着くかなと考えてたんだ」

「アートは随分と真面目に育ったのね」

「そんなつもりは無いんだけど・・・」

「昨日言ってたアカデミーには気に入りの娘とかいないの?」

「母上にも卒業までには婚約者を決める様に言われてるんですが、皆好きだし難しいかな」

「なるほどなるほど」

「何がなるほどなの?」

「何でも無いわ、そうだ! フリーシア側に入ったら宜しくね」

「はーい」

ススミナは勝手に何かを納得して話を逸らしたのだった。


 フリーシアの王城ではリリスが獣人族の元へ停戦を求める使者に成ると提案を出していた。

「私ならそれなりに形に成ると思います」

「しかし危な過ぎます」

文官達は納得しそうに無い。

「それならば、アート殿下と護衛の方々が来訪されたら一緒に行きます」

「ゾネス皇国は獣人族とも同盟関係に有るので、良いかも知れませんね」

リリスとしては仕方無く使ったアートの名前だったが、何1つの抵抗無く話が通ってしまい自分の力無さを感じてしまう結果と成ってしまった。

「アート・・・早く来て」

丁度その時、クリスとエブリンはフリーシアの王城が見える所まで近づいていた。



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