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再会 Ⅲ
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2050年、地球の技術は発展した。
今ではあらゆる所で人口ÅIを搭載したアンドロイドが人間と共に共存をしている。
しかし、その反面首都東京では全犯罪の15%もÅIが絡んでいると言うのも事実であった。
そんな状況を変えようと乗り出したのが、東日本にいくつもの拠点を持つÅIアンドロイド研究所『未来研』である。
その中で事件の調査から治安の確保までを行う部署、第7警備課に属しているのが加瀬拓哉であった。
「どうもー」
拓哉が事務所の扉を開くとサーバーの熱気が一気に襲いかかってくる。
「あ、暑い・・・どうしてエアコンを使わないのですか?」
「ごめんなさいね、今月は予算がオーバーしてるから我慢して頂戴」
彼女は所長の御子柴香織、年齢よりも若く見えるが30歳は超えてる様だ。
オマケに恋人はいない。
「それと、少し片付けましょうよ」
「部屋を汚すのは私じゃないわよ」
「楓さん、部屋は片付けましょうね」
「中々忙しくてね、暇なら拓哉君が片付けてよ」
この方が仕事の補佐をしてくれる桜井楓さんだ。
大学卒業で入社した様で年齢は20代半ばと言った所だろう、恋人に関しては・・・もっと自分に気を使えばきっと出来る筈である。
「香織さん、今日は何するんですか?」
「そうそう、今日は拓哉の相方を紹介するからね」
「相方ですか?」
「単独行動は危険だからね、貴方みたいに特別な能力を持った娘だから安心して良いわよ」
仕事が楽に成るなら拒む理由も無いかな。
「気に成っていたんだけど、拓哉君の能力は個人限定なの?」
「重さを自由に変える力ですか?」
「そうそれ!」
「色々試したのですが、触れた時に念じないと効果が出ないので同時にいくつもと言うのは無理ですね」
「そうなんだ、無理なら仕方が無いわね」
その時、突然事務所の扉が鈍い音をたてて開くと見覚えのある少女が足を踏み入れて来た。
「今日は遅くなりました」
「千夏!」
「拓哉さん?」
俺のパートナーって千夏だったんだ。
「あら、2人は知り合いだったの?」
香織が興味津々とお互いの顔を交互に見比べる。
「ええとですね・・・」
拓哉は経緯を説明した、ただし夏美の事は伏せたのである。
「拓哉聞いて驚かないでね、千夏の能力は凄いのよ」
「何で香織さんがドヤ顔してるんですか?」
拓哉のツッコミを無視して話を進める香織。
「千夏は人形や模型などに意志を持たせて動かす事が出来るのです・・・拍手ー」
ちがーう!
「えへへへ」
千夏は照れながら顔を伏せると拓哉に軽くウインクをして見せた。
今のは夏美か? うーん、まだ良く分からないな。
「千夏は楓にスマホを預けてね」
「はい」
スマホを預ける事によって、事務所のパソコンとリンクし連絡がタイムラグ無しに交わす事が出来る様に成るのだ。
「はい出来た」
「流石楓さん、仕事が早いですね」
「でしょう」
些細な事でも褒められると大袈裟に喜ぶのが楓であった。
「今日は何をすれば良いのかな?」
「顔合わせだけで良いと思っていたんだけど、楓から実験に手伝って欲しいと言われてるのよ」
「2人共、奥の部屋にお願いします」
拓哉と千夏は事務所の奥にある扉を潜り、訓練室の様な部屋へやって来た。
「千夏さんの能力を知っておきたいので色々協力お願いします」
「はい」
千夏の前に2体のアンドロイドが用意された。
「今1体を稼働させますね」
「全てのアンドロイドが金属剥き出しなら、人間との見分けも楽なのにな」
「数年前は皮膚とか無かったんだけどね、最近は技術が進んだお陰で素人は見た目で見分けるの難しく成ったわね」
「準備出来ました」
1体のアンドロイドは目が輝いている。
「まずは稼働してないアンドロイドを制御下に置いて下さい」
「はい」
数秒も立たない内にアンドロイドが動き出す。
「ふむ・・・稼働状態とは違う様ですね」
「そうよ、私が勝手に動かしてるんだからね」
『喋ったーー』
突然の事に驚き声を荒げる香織と楓。
「アハハハ」
千夏は申し訳無さそうに頭を片手で搔くのであった。
「千夏さん! どう言う原理なんですか?」
「ええとですね・・・」
千夏が困っているとアンドロイドに移った夏美が全てを話し始めた。
こんな事信じられ無いだろうな。
「拓哉! 今の話しは本当なの?」
「そうですね」
「それで私は拓哉と結婚を約束した仲なのです」
「余計な事は言うな!」
「2人の仲は良いとして、これからは夏美さんと呼べば良いですかね」
「それで構わないわ」
「夏美さんは、隣の稼働してるアンドロイドにも乗り移れますか?」
「やってみるね」
暫く待つと・・・アンドロイドの目から光が失われ勝手に動き出した。
「このタイプなら行けるわね」
「このタイプ? 他のタイプも試した事有るのですか?」
「以前最新型の警備アンドロイドで試したけど、弾かれた事が有ったわよ」
「その時は夏美がウイルスだと反応されたんでしょうね」
「なるほど」
千夏の言葉に頷く楓だった。
「私からも1つお願いが有るんだけど良いかな?」
「出来る事なら協力するわ、夏美」
「私は普段千夏の中にいるのだけど、意見を言いたい時にいちいち入れ替わるの面倒だから、何か媒体を用意してくれないかな、出来れば千夏が持ち運べる様な物が良いんだけどね」
「因みに俺の部屋には勝手にクマのぬいぐるみを置いて行ったけどな」
「クマのぬいぐるみですか、良いですね」
楓さんは見かけによらず少女趣味なのかな?
「分かったわ、何か用意しましょう」
「香織さん、他のチームに紹介しないで良いんですか?」
「それは何れ顔を合わせる事も有るでしょうし、皆忙しいから追い追いで良で」
「それじゃ、今日は終わりで良いのかな?」
「楓、終わりにして構わないかしら?」
「はい、大丈夫です」
拓哉と千夏は事務所を後にした。
日が暮れ始めた街並み、一見平和そうに見えるが裏では様々な犯罪が行われている。
その中でもÅIやアンドロイドの関係する事件を解決して行くのが、俺の任務である。
この任に着いてる者は何かしらの特殊能力を持っている。
しかし、俺の横にいるのは飽く迄も普通の少女だ、双子である姉の霊が憑依してるだけの普通の少女だ。
彼女自身は何も力を持っていない、果たして全う出来るのだろうか?
「千夏、お前はどうして未来研に来たんだ?」
「今はまだ・・・」
「そうか、気が向いたら聞かせてくれな」
彼女達にも何か事情はあるんだろう。
「かなり危険な任務も有る様だが、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫・・・きっと・・・」
「そんなんじゃ命落とすぞ」
「私には夏美が付いてる! 2人で出来ない事は無いし、やれるかじゃなくてやるしか無いのよ」
千夏の表情を見る限り真剣なのは分かる。
暫く様子を見るしか無いのかも知れない。
着いてこれない様なら本人から諦めて辞めて行くだろう。
「分かった、これから宜しく相棒」
「こちらこそ宜しくね」
拓哉と千夏は信号待ちの交差点で硬い握手を交わした。
2人が固い握手をしていた頃、楓の元に1通の司令が届いた。
「香織さん、新しい仕事が来ました」
「内容は?」
「それが・・・例のあれです」
「ハッキリ報告!」
「犬、嫌犬型のアンドロイド探しです」
「何よ簡単じゃない」
「はぁ・・・どうしましょうか?」
「まぁ、初任務には丁度良いかしらね」
「まさか? 2人には早く無いですか?」
「ただの犬探し、子供でも出来る様な仕事よ」
「分かりました、明日の昼来るようにメール入れときます」
2人の初任務は犬探しに決定したのだった。
今ではあらゆる所で人口ÅIを搭載したアンドロイドが人間と共に共存をしている。
しかし、その反面首都東京では全犯罪の15%もÅIが絡んでいると言うのも事実であった。
そんな状況を変えようと乗り出したのが、東日本にいくつもの拠点を持つÅIアンドロイド研究所『未来研』である。
その中で事件の調査から治安の確保までを行う部署、第7警備課に属しているのが加瀬拓哉であった。
「どうもー」
拓哉が事務所の扉を開くとサーバーの熱気が一気に襲いかかってくる。
「あ、暑い・・・どうしてエアコンを使わないのですか?」
「ごめんなさいね、今月は予算がオーバーしてるから我慢して頂戴」
彼女は所長の御子柴香織、年齢よりも若く見えるが30歳は超えてる様だ。
オマケに恋人はいない。
「それと、少し片付けましょうよ」
「部屋を汚すのは私じゃないわよ」
「楓さん、部屋は片付けましょうね」
「中々忙しくてね、暇なら拓哉君が片付けてよ」
この方が仕事の補佐をしてくれる桜井楓さんだ。
大学卒業で入社した様で年齢は20代半ばと言った所だろう、恋人に関しては・・・もっと自分に気を使えばきっと出来る筈である。
「香織さん、今日は何するんですか?」
「そうそう、今日は拓哉の相方を紹介するからね」
「相方ですか?」
「単独行動は危険だからね、貴方みたいに特別な能力を持った娘だから安心して良いわよ」
仕事が楽に成るなら拒む理由も無いかな。
「気に成っていたんだけど、拓哉君の能力は個人限定なの?」
「重さを自由に変える力ですか?」
「そうそれ!」
「色々試したのですが、触れた時に念じないと効果が出ないので同時にいくつもと言うのは無理ですね」
「そうなんだ、無理なら仕方が無いわね」
その時、突然事務所の扉が鈍い音をたてて開くと見覚えのある少女が足を踏み入れて来た。
「今日は遅くなりました」
「千夏!」
「拓哉さん?」
俺のパートナーって千夏だったんだ。
「あら、2人は知り合いだったの?」
香織が興味津々とお互いの顔を交互に見比べる。
「ええとですね・・・」
拓哉は経緯を説明した、ただし夏美の事は伏せたのである。
「拓哉聞いて驚かないでね、千夏の能力は凄いのよ」
「何で香織さんがドヤ顔してるんですか?」
拓哉のツッコミを無視して話を進める香織。
「千夏は人形や模型などに意志を持たせて動かす事が出来るのです・・・拍手ー」
ちがーう!
「えへへへ」
千夏は照れながら顔を伏せると拓哉に軽くウインクをして見せた。
今のは夏美か? うーん、まだ良く分からないな。
「千夏は楓にスマホを預けてね」
「はい」
スマホを預ける事によって、事務所のパソコンとリンクし連絡がタイムラグ無しに交わす事が出来る様に成るのだ。
「はい出来た」
「流石楓さん、仕事が早いですね」
「でしょう」
些細な事でも褒められると大袈裟に喜ぶのが楓であった。
「今日は何をすれば良いのかな?」
「顔合わせだけで良いと思っていたんだけど、楓から実験に手伝って欲しいと言われてるのよ」
「2人共、奥の部屋にお願いします」
拓哉と千夏は事務所の奥にある扉を潜り、訓練室の様な部屋へやって来た。
「千夏さんの能力を知っておきたいので色々協力お願いします」
「はい」
千夏の前に2体のアンドロイドが用意された。
「今1体を稼働させますね」
「全てのアンドロイドが金属剥き出しなら、人間との見分けも楽なのにな」
「数年前は皮膚とか無かったんだけどね、最近は技術が進んだお陰で素人は見た目で見分けるの難しく成ったわね」
「準備出来ました」
1体のアンドロイドは目が輝いている。
「まずは稼働してないアンドロイドを制御下に置いて下さい」
「はい」
数秒も立たない内にアンドロイドが動き出す。
「ふむ・・・稼働状態とは違う様ですね」
「そうよ、私が勝手に動かしてるんだからね」
『喋ったーー』
突然の事に驚き声を荒げる香織と楓。
「アハハハ」
千夏は申し訳無さそうに頭を片手で搔くのであった。
「千夏さん! どう言う原理なんですか?」
「ええとですね・・・」
千夏が困っているとアンドロイドに移った夏美が全てを話し始めた。
こんな事信じられ無いだろうな。
「拓哉! 今の話しは本当なの?」
「そうですね」
「それで私は拓哉と結婚を約束した仲なのです」
「余計な事は言うな!」
「2人の仲は良いとして、これからは夏美さんと呼べば良いですかね」
「それで構わないわ」
「夏美さんは、隣の稼働してるアンドロイドにも乗り移れますか?」
「やってみるね」
暫く待つと・・・アンドロイドの目から光が失われ勝手に動き出した。
「このタイプなら行けるわね」
「このタイプ? 他のタイプも試した事有るのですか?」
「以前最新型の警備アンドロイドで試したけど、弾かれた事が有ったわよ」
「その時は夏美がウイルスだと反応されたんでしょうね」
「なるほど」
千夏の言葉に頷く楓だった。
「私からも1つお願いが有るんだけど良いかな?」
「出来る事なら協力するわ、夏美」
「私は普段千夏の中にいるのだけど、意見を言いたい時にいちいち入れ替わるの面倒だから、何か媒体を用意してくれないかな、出来れば千夏が持ち運べる様な物が良いんだけどね」
「因みに俺の部屋には勝手にクマのぬいぐるみを置いて行ったけどな」
「クマのぬいぐるみですか、良いですね」
楓さんは見かけによらず少女趣味なのかな?
「分かったわ、何か用意しましょう」
「香織さん、他のチームに紹介しないで良いんですか?」
「それは何れ顔を合わせる事も有るでしょうし、皆忙しいから追い追いで良で」
「それじゃ、今日は終わりで良いのかな?」
「楓、終わりにして構わないかしら?」
「はい、大丈夫です」
拓哉と千夏は事務所を後にした。
日が暮れ始めた街並み、一見平和そうに見えるが裏では様々な犯罪が行われている。
その中でもÅIやアンドロイドの関係する事件を解決して行くのが、俺の任務である。
この任に着いてる者は何かしらの特殊能力を持っている。
しかし、俺の横にいるのは飽く迄も普通の少女だ、双子である姉の霊が憑依してるだけの普通の少女だ。
彼女自身は何も力を持っていない、果たして全う出来るのだろうか?
「千夏、お前はどうして未来研に来たんだ?」
「今はまだ・・・」
「そうか、気が向いたら聞かせてくれな」
彼女達にも何か事情はあるんだろう。
「かなり危険な任務も有る様だが、本当に大丈夫なのか?」
「大丈夫・・・きっと・・・」
「そんなんじゃ命落とすぞ」
「私には夏美が付いてる! 2人で出来ない事は無いし、やれるかじゃなくてやるしか無いのよ」
千夏の表情を見る限り真剣なのは分かる。
暫く様子を見るしか無いのかも知れない。
着いてこれない様なら本人から諦めて辞めて行くだろう。
「分かった、これから宜しく相棒」
「こちらこそ宜しくね」
拓哉と千夏は信号待ちの交差点で硬い握手を交わした。
2人が固い握手をしていた頃、楓の元に1通の司令が届いた。
「香織さん、新しい仕事が来ました」
「内容は?」
「それが・・・例のあれです」
「ハッキリ報告!」
「犬、嫌犬型のアンドロイド探しです」
「何よ簡単じゃない」
「はぁ・・・どうしましょうか?」
「まぁ、初任務には丁度良いかしらね」
「まさか? 2人には早く無いですか?」
「ただの犬探し、子供でも出来る様な仕事よ」
「分かりました、明日の昼来るようにメール入れときます」
2人の初任務は犬探しに決定したのだった。
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