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「・・・・・・うっ」
俺は、口元を押さえ急いで洗面台に向かうと排水口に向かって嘔吐した。
食べ物は少なく胃液がたくさん出され、
口のなかは酸っぱかった。
「晴、またか?」
直樹が心配そうに話しかけると俺は、大丈夫と答え、リビングに戻った。
「ここ最近ずっと戻してるよな?」
「うん、少し気分悪くて」
直樹の母親との騒動から一週間、俺達は直樹の父親に頭を下げ何とか同居生活を認めて貰い、安いアパートで二人仲良く暮らしていたがここ最近、ずっと体調が悪いままだった。
「やっぱり、病院行こうよな?」
「・・・・でも」
「何かあってからじゃ遅いしさぁ」
「この前色々あって一段落したから、疲れんだよきっと」
「なら、尚更行こう?晴に何かあったら俺嫌だよ」
そう言って直樹が俺の手を握るといつも暖かい手はやけに冷たかった。
「分かったよ、でも一人だと不安だから一緒に来てくれる?」
「行くよ、俺だって不安だよ」
病院に行くことにした俺達は番になる前いつも発情期になったとき、抑制剤を処方してくれた先生の病院を選んだ。
「お!男性多いな」
「うん、ここはオメガの男性を専門に見てくれんだよ」
「え~」
その瞬間直樹は目を細くして俺の顔を見た
「何だよ?」
「番になる前、その先生とはしたの?」
直樹の質問の意味が分かるとイライラしてきて直樹の頭に拳を一発お見舞いした。
「痛ってぇ~」
「ったく、馬鹿じゃないの先生もオメガだしそんなことするわけない」
「悪かったよ、だって晴は俺の最愛の人だから、取られたくないんだよ」
後ろから抱き締めてくれる直樹の熱は温かくて安心してしまう。
「仲がよろしいんですね、晴さん」
声をかけてきたのは受付の看護婦さんだったこの人もオメガだったので悩み事を聞いて貰ったりしたので仲はよかった。
「あっ・・・・・どうも」
「診察券お預かりしますね」
「は、はい!」
「今日はどうなさいましたか?」
「えっと、気分が悪くて、最近戻してしまうんです」
「分かりました、少しお待ちくださいね」
「はい!」
俺と直樹が座ると、同じオメガの男性達が口笛をならしながら「ラブラブ」と言って冷やかしてきた。
「佐藤晴さん」
看護婦に呼ばれると俺と直樹は立ち上がり診察室に入るといつもお世話になってる先生がいた。
「今日はどうしたの?」
「えっと、最近気分が悪くて、戻してしまうんです」
「・・・・そう」
先生は腕を組ながら何かを考えていた。
「検査してみましょう」
「はい」
俺は、直ぐに検査服に着替えるといつの間にか検査は終わっており、再び呼ばれると直樹と共に診察室に入った。
「検査の結果出ました。」
先生の言葉に重圧があるような気がして今にも倒れそうになる、もし命に係わるような病気ならこの先直樹はどうなるのか、それだけが頭に回っていた。
「大丈夫、落ち着け俺がついてる」
「えっ?」
直樹はさっきリビングにいたように握ってくれた、手は少し冷たかったが握っているうちにやんわりと温かくなりいつの間にかさっきの不安は消えていた。
「心の準備はいいですか?」
「・・・・はい!」
二人はタイミングを合わせたかのように返事をすると、互の心臓の心拍数が上がりまるでタイムリミットを教える時計のようにバクバク鳴っていた。
「結果は」
先生の声に反応すると二人は緊張と一緒に唾液を飲み込んだ。
「晴さん、あなたは妊娠しています」
「えっ?」
またも打合せしたように声が出ると直樹の視線はゆっくりと地面を向いた。
「直樹?」
「・・・・・・・マジかよ」
俺は、ゆっくりと直樹の顔を覗き混むとその瞳から涙を流していた。俺は、その光景に唖然とした。
「ごめんね直樹、俺の子供なんていらないよね」
すると直樹は俺の脇に手を入れ、ぐっと力を入れ持ち上げた
「よくやった、晴!ありがとう」
「嫌じゃないの?」
「何で嫌がるんだ?愛してる人と出来た子供が何で嫌なんだ」
「だって泣いてるじゃん、マジかって言って」
俺は直樹の頬についてる涙を拭き取るとその言葉を思い出して自分も泣き出してしまった。
「嬉し泣きだよ、マジかって言ったのは、晴の子供の父親になれたのが嬉しくて言葉に出ちゃったんだよ、紛らわしくてごめん」
その言葉を言うと瞳から涙を流しながら今まで見たことのないような直樹の笑顔に胸がキュンとしてしまった。
「愛してるよ晴」
「うん、俺も」
俺は、ぐっと顔を寄せ直樹の唇にキスをするといつもより甘く、吸い付かれそうだった。
「ゴッホン、えっとごめんね、邪魔しちゃって」
「あっ!」
先生の咳払いに我を戻すと俺と直樹は顔を赤らめながらこれからの話や注意事項を聴き、病院を後にした。
「はぁ・・・・・恥ずかしかった」
「嬉しすぎて病院だってこと忘れてたごめん」
「ううん、俺も直樹のあの顔見たらつい嬉しくなって忘れてたから気にしないで」
直樹は俺の手をぎゅっと握り締めると俺の顔を見てこれ以上にないくらいの笑顔を再び見せてくれた。
「二人で子育て頑張ろう、きっと可愛いぜ俺達の子供」
「そうだね、三人で温かい家庭作ろうね、お父さん」
二人は幸せの絶頂に満たされながら新しい命の誕生に胸を踊らせていた。
皆さん、長く読んでいただきありがとうございました。どうだったでしょうか?
近日番外編を投稿するのでそちらも読んでいただけると有り難いです。
俺は、口元を押さえ急いで洗面台に向かうと排水口に向かって嘔吐した。
食べ物は少なく胃液がたくさん出され、
口のなかは酸っぱかった。
「晴、またか?」
直樹が心配そうに話しかけると俺は、大丈夫と答え、リビングに戻った。
「ここ最近ずっと戻してるよな?」
「うん、少し気分悪くて」
直樹の母親との騒動から一週間、俺達は直樹の父親に頭を下げ何とか同居生活を認めて貰い、安いアパートで二人仲良く暮らしていたがここ最近、ずっと体調が悪いままだった。
「やっぱり、病院行こうよな?」
「・・・・でも」
「何かあってからじゃ遅いしさぁ」
「この前色々あって一段落したから、疲れんだよきっと」
「なら、尚更行こう?晴に何かあったら俺嫌だよ」
そう言って直樹が俺の手を握るといつも暖かい手はやけに冷たかった。
「分かったよ、でも一人だと不安だから一緒に来てくれる?」
「行くよ、俺だって不安だよ」
病院に行くことにした俺達は番になる前いつも発情期になったとき、抑制剤を処方してくれた先生の病院を選んだ。
「お!男性多いな」
「うん、ここはオメガの男性を専門に見てくれんだよ」
「え~」
その瞬間直樹は目を細くして俺の顔を見た
「何だよ?」
「番になる前、その先生とはしたの?」
直樹の質問の意味が分かるとイライラしてきて直樹の頭に拳を一発お見舞いした。
「痛ってぇ~」
「ったく、馬鹿じゃないの先生もオメガだしそんなことするわけない」
「悪かったよ、だって晴は俺の最愛の人だから、取られたくないんだよ」
後ろから抱き締めてくれる直樹の熱は温かくて安心してしまう。
「仲がよろしいんですね、晴さん」
声をかけてきたのは受付の看護婦さんだったこの人もオメガだったので悩み事を聞いて貰ったりしたので仲はよかった。
「あっ・・・・・どうも」
「診察券お預かりしますね」
「は、はい!」
「今日はどうなさいましたか?」
「えっと、気分が悪くて、最近戻してしまうんです」
「分かりました、少しお待ちくださいね」
「はい!」
俺と直樹が座ると、同じオメガの男性達が口笛をならしながら「ラブラブ」と言って冷やかしてきた。
「佐藤晴さん」
看護婦に呼ばれると俺と直樹は立ち上がり診察室に入るといつもお世話になってる先生がいた。
「今日はどうしたの?」
「えっと、最近気分が悪くて、戻してしまうんです」
「・・・・そう」
先生は腕を組ながら何かを考えていた。
「検査してみましょう」
「はい」
俺は、直ぐに検査服に着替えるといつの間にか検査は終わっており、再び呼ばれると直樹と共に診察室に入った。
「検査の結果出ました。」
先生の言葉に重圧があるような気がして今にも倒れそうになる、もし命に係わるような病気ならこの先直樹はどうなるのか、それだけが頭に回っていた。
「大丈夫、落ち着け俺がついてる」
「えっ?」
直樹はさっきリビングにいたように握ってくれた、手は少し冷たかったが握っているうちにやんわりと温かくなりいつの間にかさっきの不安は消えていた。
「心の準備はいいですか?」
「・・・・はい!」
二人はタイミングを合わせたかのように返事をすると、互の心臓の心拍数が上がりまるでタイムリミットを教える時計のようにバクバク鳴っていた。
「結果は」
先生の声に反応すると二人は緊張と一緒に唾液を飲み込んだ。
「晴さん、あなたは妊娠しています」
「えっ?」
またも打合せしたように声が出ると直樹の視線はゆっくりと地面を向いた。
「直樹?」
「・・・・・・・マジかよ」
俺は、ゆっくりと直樹の顔を覗き混むとその瞳から涙を流していた。俺は、その光景に唖然とした。
「ごめんね直樹、俺の子供なんていらないよね」
すると直樹は俺の脇に手を入れ、ぐっと力を入れ持ち上げた
「よくやった、晴!ありがとう」
「嫌じゃないの?」
「何で嫌がるんだ?愛してる人と出来た子供が何で嫌なんだ」
「だって泣いてるじゃん、マジかって言って」
俺は直樹の頬についてる涙を拭き取るとその言葉を思い出して自分も泣き出してしまった。
「嬉し泣きだよ、マジかって言ったのは、晴の子供の父親になれたのが嬉しくて言葉に出ちゃったんだよ、紛らわしくてごめん」
その言葉を言うと瞳から涙を流しながら今まで見たことのないような直樹の笑顔に胸がキュンとしてしまった。
「愛してるよ晴」
「うん、俺も」
俺は、ぐっと顔を寄せ直樹の唇にキスをするといつもより甘く、吸い付かれそうだった。
「ゴッホン、えっとごめんね、邪魔しちゃって」
「あっ!」
先生の咳払いに我を戻すと俺と直樹は顔を赤らめながらこれからの話や注意事項を聴き、病院を後にした。
「はぁ・・・・・恥ずかしかった」
「嬉しすぎて病院だってこと忘れてたごめん」
「ううん、俺も直樹のあの顔見たらつい嬉しくなって忘れてたから気にしないで」
直樹は俺の手をぎゅっと握り締めると俺の顔を見てこれ以上にないくらいの笑顔を再び見せてくれた。
「二人で子育て頑張ろう、きっと可愛いぜ俺達の子供」
「そうだね、三人で温かい家庭作ろうね、お父さん」
二人は幸せの絶頂に満たされながら新しい命の誕生に胸を踊らせていた。
皆さん、長く読んでいただきありがとうございました。どうだったでしょうか?
近日番外編を投稿するのでそちらも読んでいただけると有り難いです。
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