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第1章
4
「よくも俺の大事なものに触れやがったな」
「夜桜、先輩……っ」
「へぇ~。意外と来るのが早かったね、蒼炎」
木の上に夜桜先輩はいた。そのままおりてきて、私たちの元に近づいてくる。その高さから下りても怪我1つしていない。夜桜先輩の瞳はサファイア色に輝いていた。
「血も吸ってないキミがオレに勝てるつもりでいるの? オレも舐められたものだなぁ~」
「夜桜先輩、なんで私なんかのことを?」
「お前が特別だから」
「え?」
わからない。夜桜先輩にとって私は出会ったばかりの他人なのに。
「人質がいるのに勝てる気でいるなんて、ね」
「っ……!?」
「紫音!!」
私の首に当てられたのは小さなナイフ。首筋からは血が流れた。
「ここで降参を認めたら、彼女を離してあげる」
「クソッ……」
「夜桜先輩。私のことは大丈夫ですから、白虎先輩に一発パンチしちゃってください」
「お前、なんで……」
「さっきまで震えてたくせに、急に強気になっちゃってどうしたの? もしかして、命乞いでもするつもりかなぁ?」
「白虎先輩に私は殺せませんよ」
「何を根拠に? あぁ、そうだった。キミは翼の妹だったね。ふ、ふふふふ、あははははっ!」
この状況で1番置いていかれてるのは多分、夜桜先輩だ。夜桜先輩は私のことを知らないから。
「紫、音? 大丈夫なのか?」
「私は平気なので白虎先輩と戦ってください」
「わかった。白虎、覚悟はできてるよな?」
「ごめ~ん。今日はそろそろ退散するよ」
「なんだと!?」
白虎先輩はジャンプして木の上に乗った。その光景はまるで私たちを上から見下しているかのようで。
「まさかキミが翼のように自覚してるなんて思わなかったからさ。でも収穫は十分にあった。またいずれ会おうね~、紫音ちゃん」
「白虎、待て……っ!」
そう言い残すと白虎先輩は闇の中へと消えていった。
「追わないほうがいいですよ。それに、白虎先輩はもう近くにはいませんから」
「紫音? お前は一体……」
「やっぱり言わなきゃだめ、ですよね」
「無理に聞くつもりはない。が、1人にして悪かった。怖かっただろ?」
「! 夜桜先輩……その、抱きしめ、いま私のこと抱きしめてますよね!?」
「うるせぇ、黙ってろ」
「はい……」
励まそうとしてるはわかるんだけど、女嫌いな夜桜先輩が私のことを抱きしめるなんて大丈夫なの? めっちゃ心配なんだけど。私はすごく落ち着くし、むしろ嬉しいような…?
「探してたのは私だったので、むしろごめんなさい。方向オンチなのを忘れて1人でウロウロしちゃって」
「夜に1人が危険ってわかってて、俺のことを探してたのか?」
「はい」
「そこまで必死に探す理由は?」
「その……私が挑発したせいで私の血を飲んでないので獲物を探してるんじゃないかって。でも、女嫌いな夜桜先輩のことだから、なかなか相手が見つからなくて、どこかで倒れてるんじゃないかと心配で」
「そんなこと気にしてたのか?」
「そんな事って……ヴァンパイアにとって血が吸えないのは人間でいうとこの餓死ってやつでしょ!? 心配もしますよ」
「だったらお前の血をもらってもいいのか?」
そういう流れだよね、うん。一応、覚悟は決めてたつもりだけどやっぱり恥ずかしい、な。
「紫音……」
「夜桜先輩? どうしたんです?」
私の名前を呼んだかと思えば、抱きしめる力が強くなって。
「好きだなんて言わねぇ。だけど、これからは俺の側を離れるんじゃねえぞ」
「っ……はいっ!」
側にいろって言われちゃった。これはすこしくらい勘違いしちゃってもいいよね?
「紫音……。血を吸うからな」
「今更恥ずかしがる必要あります?」
夜桜先輩があまりにも恥ずかしがるから私のほうが平常心にもどっちゃった。
ほら、友達と一緒にホラー映画を見てて友達が先に泣いたり叫んだりしたら、こっちは涙が出ないみたいな、そんなかんじ。
あと自然に私の名前を何度も呼んでくれるのはなんだか嬉しいな。
翼お兄ちゃんの代わりじゃなく、私として見てくれてるかんじがして、とても心地がいい。
「いくぞ」
「っ……!」
プツッ。と、牙が私の首筋に……。前の吸血とは全然ちがう。痛いけど、気持ちいい。
「あっ……」
「ん……」
思わず甘い声が漏れる。
私の声がうるさいのか、それとも反応したのか、夜桜先輩の噛む力はつよくなった。
深く、奥深くまで牙が刺さる。普通の人間なら噛み跡がしばらく残るんじゃないかってくらい。
「夜桜先輩、どうでした?」
「翼と同じ味だな」
「むぅ……。翼お兄ちゃんに嫉妬しちゃいます」
「冗談だ。お前のほうが極上だよ、紫音」
「なっ……!そ、そういうのをいきなりいうのは反則ですよ!?」
「反則もなにもないだろ。それに、お前が聞いてきたんだぞ」
「それはそうですけど」
「満足しました?」
「ああ。ありがとな」
「……」
じっーと夜桜先輩を見つめる。
「なんだよ」
「夜桜先輩が私にお礼なんて明日は雨かなぁ~なんて」
「雨の方が俺にとっては好都合だ」
「そうでしたね。でも、私は憂鬱なんですけど」
「だったら一緒に傘でも入るか? そしたら雨の日でも楽しいって思えるだろ」
「夜桜先輩にしてはいい提案ですね!」
「俺にしてはってどういう意味だ」
「どういういみでしょうね~?」
私たちは口喧嘩? らしきものをしながら寮へと戻った。雨の日が楽しくなる? なんて、考えたこともなかった。夜桜先輩の発言にはドキドキさせられることがいっぱいだ。
だけど1つ、私は隠し事をしている。私の正体について、だ。
無理に話す必要はないと言われたけれど、いつかは話さなければならない。夜桜先輩には知ってもらいたいから。
☆ ☆ ☆
それから1ヶ月が過ぎた。翼お兄ちゃんの容態は変わらず。悪化はしてないけど、良くもないって感じだ。
私は夜桜先輩のフォローのお陰か、意外と翼お兄ちゃんの代わりが上手くやれている。
そのため、翼お兄ちゃんからしばらくはフリを続けてほしいと頼まれてしまった。
私としては夜桜先輩と一緒にいられるからいいんだけど。でも、あの日から夜桜先輩の様子はどこかおかしい。
「俺、紫音がいないと死ぬ」
「大げさですって」
「今日も血をもらっていいのか? って、許可なんていらねぇよな」
「ちょっ……夜桜、先輩っ!」
寮の自室にて、2人きりなのをいいことに夜桜先輩は私にベッタリだ。出会った頃は想像もつかなかった。
「んっ……」
「その声を聞いてると理性が飛びそうになる」
「なっ……」
「襲ってもいいよな?」
「夜桜先輩、ダメですっ」
学校から帰ってきたばかりで汗もかいてるし。
「汗かいてるのを気にしてるなら、一緒に入るか?」
「入りませんっ!」
「お前は男なんだろ? だったらいいよな?」
「そうやって都合の良い時は私を男にして……。夜桜先輩イジワルしないで」
「上目遣いされると今すぐ襲いたくなってきた」
えぇ!? わたし的に普通のつもりだったんだけど。
そもそも私も女の子のほうでは身長高いほうだから普段なら上目遣いにならないのに。
夜桜先輩はそれよりもさらに高身長だからなぁ。
「大体、中学生は子供じゃなかったんですか?」
「紫音は女らしいし、大人ぽっいとこもあるぞ」
「女らしいと夜桜先輩的にアウトなんじゃ……」
「紫音は特別だって言ってるだろ? むしろ紫音に触れてないと俺のほうが駄目になる」
「もう……しょうがない人ですね」
抱きついてきた夜桜先輩。その姿は、デレモードの猫ちゃんみたいでなんだか可愛い。
「あれから白虎になにかされてないか?」
「夜桜先輩も知ってるとおり、白虎先輩は私の前に姿を現してないどころか……」
あの日以来、白虎先輩を見ていない。同じクラスだったはずなのに誰1人として白虎先輩を覚えてる人はいなくて。
ここまで何も無いと逆に不安になる。またあの時みたいに襲われそうになったりしたら……。
「紫音、大丈夫だ。俺はお前の側にずっといるから。お前を守ってやるから安心しろ」
「夜桜先輩、ありがとうございます」
だけど、狙われるのは私だけじゃない。夜桜先輩だって、白虎先輩にとってはターゲットだ。だって、ヴァンパイアであることをまわりに隠してる。白虎先輩をそのことを知ってる敵なんだから。
私たちは秘密という名の爆弾を抱えたまま日々を過ごしている。
どうか、このままなにも起きませんように……。私の小さな願いですらも一瞬で砕け散ってしまうことを今のわたしは知らなかった。
「夜桜、先輩……っ」
「へぇ~。意外と来るのが早かったね、蒼炎」
木の上に夜桜先輩はいた。そのままおりてきて、私たちの元に近づいてくる。その高さから下りても怪我1つしていない。夜桜先輩の瞳はサファイア色に輝いていた。
「血も吸ってないキミがオレに勝てるつもりでいるの? オレも舐められたものだなぁ~」
「夜桜先輩、なんで私なんかのことを?」
「お前が特別だから」
「え?」
わからない。夜桜先輩にとって私は出会ったばかりの他人なのに。
「人質がいるのに勝てる気でいるなんて、ね」
「っ……!?」
「紫音!!」
私の首に当てられたのは小さなナイフ。首筋からは血が流れた。
「ここで降参を認めたら、彼女を離してあげる」
「クソッ……」
「夜桜先輩。私のことは大丈夫ですから、白虎先輩に一発パンチしちゃってください」
「お前、なんで……」
「さっきまで震えてたくせに、急に強気になっちゃってどうしたの? もしかして、命乞いでもするつもりかなぁ?」
「白虎先輩に私は殺せませんよ」
「何を根拠に? あぁ、そうだった。キミは翼の妹だったね。ふ、ふふふふ、あははははっ!」
この状況で1番置いていかれてるのは多分、夜桜先輩だ。夜桜先輩は私のことを知らないから。
「紫、音? 大丈夫なのか?」
「私は平気なので白虎先輩と戦ってください」
「わかった。白虎、覚悟はできてるよな?」
「ごめ~ん。今日はそろそろ退散するよ」
「なんだと!?」
白虎先輩はジャンプして木の上に乗った。その光景はまるで私たちを上から見下しているかのようで。
「まさかキミが翼のように自覚してるなんて思わなかったからさ。でも収穫は十分にあった。またいずれ会おうね~、紫音ちゃん」
「白虎、待て……っ!」
そう言い残すと白虎先輩は闇の中へと消えていった。
「追わないほうがいいですよ。それに、白虎先輩はもう近くにはいませんから」
「紫音? お前は一体……」
「やっぱり言わなきゃだめ、ですよね」
「無理に聞くつもりはない。が、1人にして悪かった。怖かっただろ?」
「! 夜桜先輩……その、抱きしめ、いま私のこと抱きしめてますよね!?」
「うるせぇ、黙ってろ」
「はい……」
励まそうとしてるはわかるんだけど、女嫌いな夜桜先輩が私のことを抱きしめるなんて大丈夫なの? めっちゃ心配なんだけど。私はすごく落ち着くし、むしろ嬉しいような…?
「探してたのは私だったので、むしろごめんなさい。方向オンチなのを忘れて1人でウロウロしちゃって」
「夜に1人が危険ってわかってて、俺のことを探してたのか?」
「はい」
「そこまで必死に探す理由は?」
「その……私が挑発したせいで私の血を飲んでないので獲物を探してるんじゃないかって。でも、女嫌いな夜桜先輩のことだから、なかなか相手が見つからなくて、どこかで倒れてるんじゃないかと心配で」
「そんなこと気にしてたのか?」
「そんな事って……ヴァンパイアにとって血が吸えないのは人間でいうとこの餓死ってやつでしょ!? 心配もしますよ」
「だったらお前の血をもらってもいいのか?」
そういう流れだよね、うん。一応、覚悟は決めてたつもりだけどやっぱり恥ずかしい、な。
「紫音……」
「夜桜先輩? どうしたんです?」
私の名前を呼んだかと思えば、抱きしめる力が強くなって。
「好きだなんて言わねぇ。だけど、これからは俺の側を離れるんじゃねえぞ」
「っ……はいっ!」
側にいろって言われちゃった。これはすこしくらい勘違いしちゃってもいいよね?
「紫音……。血を吸うからな」
「今更恥ずかしがる必要あります?」
夜桜先輩があまりにも恥ずかしがるから私のほうが平常心にもどっちゃった。
ほら、友達と一緒にホラー映画を見てて友達が先に泣いたり叫んだりしたら、こっちは涙が出ないみたいな、そんなかんじ。
あと自然に私の名前を何度も呼んでくれるのはなんだか嬉しいな。
翼お兄ちゃんの代わりじゃなく、私として見てくれてるかんじがして、とても心地がいい。
「いくぞ」
「っ……!」
プツッ。と、牙が私の首筋に……。前の吸血とは全然ちがう。痛いけど、気持ちいい。
「あっ……」
「ん……」
思わず甘い声が漏れる。
私の声がうるさいのか、それとも反応したのか、夜桜先輩の噛む力はつよくなった。
深く、奥深くまで牙が刺さる。普通の人間なら噛み跡がしばらく残るんじゃないかってくらい。
「夜桜先輩、どうでした?」
「翼と同じ味だな」
「むぅ……。翼お兄ちゃんに嫉妬しちゃいます」
「冗談だ。お前のほうが極上だよ、紫音」
「なっ……!そ、そういうのをいきなりいうのは反則ですよ!?」
「反則もなにもないだろ。それに、お前が聞いてきたんだぞ」
「それはそうですけど」
「満足しました?」
「ああ。ありがとな」
「……」
じっーと夜桜先輩を見つめる。
「なんだよ」
「夜桜先輩が私にお礼なんて明日は雨かなぁ~なんて」
「雨の方が俺にとっては好都合だ」
「そうでしたね。でも、私は憂鬱なんですけど」
「だったら一緒に傘でも入るか? そしたら雨の日でも楽しいって思えるだろ」
「夜桜先輩にしてはいい提案ですね!」
「俺にしてはってどういう意味だ」
「どういういみでしょうね~?」
私たちは口喧嘩? らしきものをしながら寮へと戻った。雨の日が楽しくなる? なんて、考えたこともなかった。夜桜先輩の発言にはドキドキさせられることがいっぱいだ。
だけど1つ、私は隠し事をしている。私の正体について、だ。
無理に話す必要はないと言われたけれど、いつかは話さなければならない。夜桜先輩には知ってもらいたいから。
☆ ☆ ☆
それから1ヶ月が過ぎた。翼お兄ちゃんの容態は変わらず。悪化はしてないけど、良くもないって感じだ。
私は夜桜先輩のフォローのお陰か、意外と翼お兄ちゃんの代わりが上手くやれている。
そのため、翼お兄ちゃんからしばらくはフリを続けてほしいと頼まれてしまった。
私としては夜桜先輩と一緒にいられるからいいんだけど。でも、あの日から夜桜先輩の様子はどこかおかしい。
「俺、紫音がいないと死ぬ」
「大げさですって」
「今日も血をもらっていいのか? って、許可なんていらねぇよな」
「ちょっ……夜桜、先輩っ!」
寮の自室にて、2人きりなのをいいことに夜桜先輩は私にベッタリだ。出会った頃は想像もつかなかった。
「んっ……」
「その声を聞いてると理性が飛びそうになる」
「なっ……」
「襲ってもいいよな?」
「夜桜先輩、ダメですっ」
学校から帰ってきたばかりで汗もかいてるし。
「汗かいてるのを気にしてるなら、一緒に入るか?」
「入りませんっ!」
「お前は男なんだろ? だったらいいよな?」
「そうやって都合の良い時は私を男にして……。夜桜先輩イジワルしないで」
「上目遣いされると今すぐ襲いたくなってきた」
えぇ!? わたし的に普通のつもりだったんだけど。
そもそも私も女の子のほうでは身長高いほうだから普段なら上目遣いにならないのに。
夜桜先輩はそれよりもさらに高身長だからなぁ。
「大体、中学生は子供じゃなかったんですか?」
「紫音は女らしいし、大人ぽっいとこもあるぞ」
「女らしいと夜桜先輩的にアウトなんじゃ……」
「紫音は特別だって言ってるだろ? むしろ紫音に触れてないと俺のほうが駄目になる」
「もう……しょうがない人ですね」
抱きついてきた夜桜先輩。その姿は、デレモードの猫ちゃんみたいでなんだか可愛い。
「あれから白虎になにかされてないか?」
「夜桜先輩も知ってるとおり、白虎先輩は私の前に姿を現してないどころか……」
あの日以来、白虎先輩を見ていない。同じクラスだったはずなのに誰1人として白虎先輩を覚えてる人はいなくて。
ここまで何も無いと逆に不安になる。またあの時みたいに襲われそうになったりしたら……。
「紫音、大丈夫だ。俺はお前の側にずっといるから。お前を守ってやるから安心しろ」
「夜桜先輩、ありがとうございます」
だけど、狙われるのは私だけじゃない。夜桜先輩だって、白虎先輩にとってはターゲットだ。だって、ヴァンパイアであることをまわりに隠してる。白虎先輩をそのことを知ってる敵なんだから。
私たちは秘密という名の爆弾を抱えたまま日々を過ごしている。
どうか、このままなにも起きませんように……。私の小さな願いですらも一瞬で砕け散ってしまうことを今のわたしは知らなかった。
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