41 / 60
学園に潜む影
40話 リリス家にお招きされる
しおりを挟む
――後日、僕とシールちゃんはユーノさんの実家、リリス家に招かれた。
「こちらですわエクス・リコード。ここがリリス家本邸ですわ」
バカでかい敷地を歩いた後、ようやくたどり着いたリリス家。
想定以上の、豪華絢爛な、城のような邸宅だった。
僕もシールちゃんも貴族だし、それ相応の家には住んでるが、ユーノさんの実家はその比ではないね。
貴族としての地位は格上だね……
「さすが成金お嬢ぉ~」
「誰が成金ですって!」
こんな時まで喧嘩しないで……
「とりあえず両親にあいさ……」
ん? ユーノさんの顔が赤くなる。
「挨拶に行くってつまりはそういうことですわよね……グフフ。外堀埋まればこっちのもの……グフフ」
どうしたのですかユーノさん。またヨダレたらして笑っちゃって……
挨拶ってそもそもご自分で言い出したことなのになにを……?
僕はまたハンカチを差し出す。ユーノさんは受け取り、ヨダレを拭く。
これで三つ目だね。
「さあいきますわよ! まずはお父様たちに挨拶に!」
というと、ユーノさんはドアを蹴るように開ける。
え、豪快ですね。
すると邸中にいたメイドさん達が騒ぎ出す。
「だ、誰!?」「泥棒!?」「いきなり侵入者!?」
あらら……あまりの入りかたで強盗でも来たのかと疑われてますよ。
「あ、あれ? お嬢様?」
侵入者がユーノさんだと皆さんが気づく。
全員頭下げてお帰りなさいませ、的なこと言うかと思っていたが……
「お嬢様……何しに?」「えええ……あまりお世話したくない。あなたやってよ?」「ええ……ワガママだから嫌よ」
……ヒソヒソと煙たがるような反応……ユーノさん……
「聞こえてますわよ!」
血管浮き出るほどキレたユーノさんの怒号。皆さん震え上がりながら頭を下げる。
「も、申し訳ありませんお嬢様! 今キューイさん呼んできます!」
と、一人のメイドがそそくさと逃げるように走り去る。
キューイさん?
「エクスが話を聞きたいと言ってた婆やですわ。基本わたくしの身の回りの世話はそのキューイがしてたものですから」
なるほど。だからその人を呼びに行ったと。都合がいいね。
「そ、その間に……り、両親に挨拶しませんこと? エクスを紹介というか、み、未来の……だ、だだだだだ旦」
ユーノさん鼻血鼻血!
僕はまたもやハンカチを出し、ユーノさんの鼻血を拭いてあげる。
『ゆ、ユーノ……何しに帰ってきたの?』
豪華な階段から降りてきた二人の人物。その中の一人の女性がユーノさんを見て、頬をひくつかせながら言ってきた。
豪華なドレスにアクセサリーの数々……どう見てもメイドではない。親族の方か……?
「あらお姉さま。戻ってらしたの? またお見合い失敗かしら?」
鼻血を拭きながら煽るユーノさん。
ああ、お姉さんか。
「だまらっしゃい! 相手が格下だからこっちから願い下げだっただけよ!」
「選り好みできる身分なのかしらね……」
「なんですって野蛮猿!」
「はああ!? 誰に向かって口聞いてらっしゃるの!? この豚足!」
……なんか姉妹喧嘩が始まってしまったぞ。
「おほほほ! おねえしゃま! お久しぶりでごじゃいますわ!」
ん? お姉さんの隣にいた、もう一人の幼い子供がユーノさんみたいに高笑いして挨拶してきた。
妹さんか? ドレス着て髪飾りもつけられてかわいらしい。
「あらエスト。ご機嫌うるわしゅう」
「うるわしゅう~」
フフ。どっちもかわいいね。和む。
「エクス、紹介しますわね。小うるさい姉のエムノと」
「誰が小うるさいですって!」
この姉妹似てるな……
「弟のエストですわ」
「ですわ~」
……
……ん?
弟?
「え? 弟ぉ~? どう見ても女の子じゃん。ドレスも着てるしぃ」
シールちゃんの言う通りだ……
髪も長いし、ユーノさんを小さくしたみたいなかわいらしい子なのに……
「正真正銘、弟ですわ。わたくしに似てかわいらしいので、よく女装させてあそんでたのですが、本人も気に入ったようでご覧の有り様ですわ」
いやそれユーノさんのせいではないですか。
「男の子なら将来的には家督継ぐんですよね……?」
「わたくしは家を継ぐとか興味ないですし、そうなるでしょうね」
「大事な跡継ぎに女装癖あっていいんですかね……」
「本人が好きでやってるからいいんじゃなくって?」
……まあ、それもそうか……
「ところでエクスも女装似合いそうですわよね」
「……やめてください」
「嫌がって、泣きながら女装させられるエクスとか……興奮しますわね……」
鼻息荒いですよ……また鼻血でますよ。冗談でもやめていただきたい……
しかし、仲のいい姉弟なんだと端から見てもわかる……
いい家族……うらやましいね。
『え、エクス・リコード!?』
背後から声がした。
この声は今回の目的……
お付きのキューイさんだった。
「こちらですわエクス・リコード。ここがリリス家本邸ですわ」
バカでかい敷地を歩いた後、ようやくたどり着いたリリス家。
想定以上の、豪華絢爛な、城のような邸宅だった。
僕もシールちゃんも貴族だし、それ相応の家には住んでるが、ユーノさんの実家はその比ではないね。
貴族としての地位は格上だね……
「さすが成金お嬢ぉ~」
「誰が成金ですって!」
こんな時まで喧嘩しないで……
「とりあえず両親にあいさ……」
ん? ユーノさんの顔が赤くなる。
「挨拶に行くってつまりはそういうことですわよね……グフフ。外堀埋まればこっちのもの……グフフ」
どうしたのですかユーノさん。またヨダレたらして笑っちゃって……
挨拶ってそもそもご自分で言い出したことなのになにを……?
僕はまたハンカチを差し出す。ユーノさんは受け取り、ヨダレを拭く。
これで三つ目だね。
「さあいきますわよ! まずはお父様たちに挨拶に!」
というと、ユーノさんはドアを蹴るように開ける。
え、豪快ですね。
すると邸中にいたメイドさん達が騒ぎ出す。
「だ、誰!?」「泥棒!?」「いきなり侵入者!?」
あらら……あまりの入りかたで強盗でも来たのかと疑われてますよ。
「あ、あれ? お嬢様?」
侵入者がユーノさんだと皆さんが気づく。
全員頭下げてお帰りなさいませ、的なこと言うかと思っていたが……
「お嬢様……何しに?」「えええ……あまりお世話したくない。あなたやってよ?」「ええ……ワガママだから嫌よ」
……ヒソヒソと煙たがるような反応……ユーノさん……
「聞こえてますわよ!」
血管浮き出るほどキレたユーノさんの怒号。皆さん震え上がりながら頭を下げる。
「も、申し訳ありませんお嬢様! 今キューイさん呼んできます!」
と、一人のメイドがそそくさと逃げるように走り去る。
キューイさん?
「エクスが話を聞きたいと言ってた婆やですわ。基本わたくしの身の回りの世話はそのキューイがしてたものですから」
なるほど。だからその人を呼びに行ったと。都合がいいね。
「そ、その間に……り、両親に挨拶しませんこと? エクスを紹介というか、み、未来の……だ、だだだだだ旦」
ユーノさん鼻血鼻血!
僕はまたもやハンカチを出し、ユーノさんの鼻血を拭いてあげる。
『ゆ、ユーノ……何しに帰ってきたの?』
豪華な階段から降りてきた二人の人物。その中の一人の女性がユーノさんを見て、頬をひくつかせながら言ってきた。
豪華なドレスにアクセサリーの数々……どう見てもメイドではない。親族の方か……?
「あらお姉さま。戻ってらしたの? またお見合い失敗かしら?」
鼻血を拭きながら煽るユーノさん。
ああ、お姉さんか。
「だまらっしゃい! 相手が格下だからこっちから願い下げだっただけよ!」
「選り好みできる身分なのかしらね……」
「なんですって野蛮猿!」
「はああ!? 誰に向かって口聞いてらっしゃるの!? この豚足!」
……なんか姉妹喧嘩が始まってしまったぞ。
「おほほほ! おねえしゃま! お久しぶりでごじゃいますわ!」
ん? お姉さんの隣にいた、もう一人の幼い子供がユーノさんみたいに高笑いして挨拶してきた。
妹さんか? ドレス着て髪飾りもつけられてかわいらしい。
「あらエスト。ご機嫌うるわしゅう」
「うるわしゅう~」
フフ。どっちもかわいいね。和む。
「エクス、紹介しますわね。小うるさい姉のエムノと」
「誰が小うるさいですって!」
この姉妹似てるな……
「弟のエストですわ」
「ですわ~」
……
……ん?
弟?
「え? 弟ぉ~? どう見ても女の子じゃん。ドレスも着てるしぃ」
シールちゃんの言う通りだ……
髪も長いし、ユーノさんを小さくしたみたいなかわいらしい子なのに……
「正真正銘、弟ですわ。わたくしに似てかわいらしいので、よく女装させてあそんでたのですが、本人も気に入ったようでご覧の有り様ですわ」
いやそれユーノさんのせいではないですか。
「男の子なら将来的には家督継ぐんですよね……?」
「わたくしは家を継ぐとか興味ないですし、そうなるでしょうね」
「大事な跡継ぎに女装癖あっていいんですかね……」
「本人が好きでやってるからいいんじゃなくって?」
……まあ、それもそうか……
「ところでエクスも女装似合いそうですわよね」
「……やめてください」
「嫌がって、泣きながら女装させられるエクスとか……興奮しますわね……」
鼻息荒いですよ……また鼻血でますよ。冗談でもやめていただきたい……
しかし、仲のいい姉弟なんだと端から見てもわかる……
いい家族……うらやましいね。
『え、エクス・リコード!?』
背後から声がした。
この声は今回の目的……
お付きのキューイさんだった。
10
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる