58 / 60
エクス対ワイズ
58話 決着
しおりを挟む
「やったか……? なんて思ったりするかい?」
「……まさか」
煙が晴れると、平然と立つワイズの姿があった。
そりゃあそうだよね。そんな簡単に倒せる相手じゃない。
完全にとらえたと思ったんだけどね……
大量に射出した武器の類いは、ワイズの水の圧力でひしゃげ、使い物にならなくされていた。
ワイズはおそらく、全身から瞬時に魔力を放出。そうして作られた水魔法の壁が、僕の武器を全て潰して見せたのだろう。
……本来は僕も特攻するところだったのだけど、あえてそうしなかった。正解だったね。
僕もそのまま切りにかかったら圧力で大ダメージは避けられなかったと思う。
――でも。
ピチョリと水の音が静かに聞こえる。
ワイズの水じゃない。
ワイズの腕から流れる黄緑色の……血だ。
そう血だ。
今まで流したことがないと豪語してきたワイズの……血液。
『血?』『嘘!?』『ワイズ様の!?』『ワイズ様の血液欲しい』
観客の騒然とした声が聞こえる……
そりゃあ驚くよね。何せ流したことがないと言ってたんだから。
「エクスくんさすがだ。初めてだよ、血を流したのは」
「悪いね」
「血か……うん、痛いね」
……初めて感じたみたいに言うね……
「でもチャンスだと思うよ? わたしはまともに怪我したことがない。つまり痛みに慣れてない。そんな痛みで隙ができるかも」
まさか。そんなことで怯むような男か君が。
悪いけど、油断なんて一切しない。確実に慎重に……
倒す!
またワイズ全周囲に魔法陣が現れる。
「なるほど。セットしたのは一つではなかったわけか」
そう言った瞬間、ワイズは全方位に水のレーザーを無動作で放つ。
魔法陣全てが一瞬で射貫かれる。
「だよね」
そして貫かれた瞬間、すぐ隣に別の魔法陣が開く!
「一体いくつ仕込んだんだい」
「さあね!」
魔法陣から武器が射出! それをまた射貫きにかかるワイズ。
そしてそんな状態で僕は接近戦を仕掛ける!
ワイズは水の剣で僕の攻撃をさばきつつ、レーザーで的確に飛んでくる武器と魔法陣を射貫く。
一度にどれだけの行動できるんだよ君は!
「その武器、濡れてるね」
その一言にはっとする。
僕が持つ剣、これはワイズの水の剣とぶつかることで……濡れていた。
そんな剣の水滴から、水流が発生し、僕を飲み込み……圧力でダメージを与えてくる!
「――がはっ!?」
「まだだ」
完全に怯んだ僕に追撃。水のレーザーが一斉に放たれ、僕の両肩、両足、胸をぶち抜かれた。
「がっ……」
いくら空間を出れば何もなかったことになるとはいえ、痛みはちゃんと感じる……
当てられた部分は貫通し、血が吹き出る……
「まだだ」
水の剣による飛ぶ斬撃を放つワイズ。僕はなんとか体を動かし回避に動くが……左腕を切り落とされた……
飛ぶ斬撃なんて高度な技、簡単に放つなよ……
だが、まだ生きてる。
まだ剣を握る右手がある!
「そして……最後の賭けだ」
ワイズの立ち位置に巨大な魔法陣が浮かびあがる。
「――!?」
さすがのワイズ、君でも自分の立ち位置に魔法陣が現れるとは……思わなかったようだね。
それと同時に上空からも魔法陣が発生……
逃げ場はない!
「黄金幻想武具!」
上空と地中から大量の武具がワイズを切り刻む……
不意をつかれたワイズは為す術がなく、全てを受ける。
そして……まだ終わらない!
「黄金剣矢《シューティングソード》!」
僕の十八番、超スピードで放たれる剣の矢……さらに!
僕自身も接近し……切りかかる。
ワイズは攻撃を受け続けている……
――勝てる!
「今ですわエクス!」
「エクス! 勝って!」
「いけえエクス!」
ユーノさん、母様、兄さんの声援……そして……
「一位が負ける!? よっしゃいけえ!」「エンツー返上しろ!」
観客の男子達の声援までも……
勝つことを諦め、ワイズに鬱憤感じてた生徒たちかもしれない。
「エンツ、エクス! お前が最強だあ!」
――!? オーリ!? まさか……退学処分になったのにわざわざ……
元理事長を恩赦した義理なのかなんなのかはわからない……
でも、嬉しいものだね。
ワイズ親衛隊の女性陣の応援は、僕への声援でかきけされていた……
会場は……僕の応援一色……
嬉しい……
僕は……存在していいと……実感できる。
僕は……こんなにもみんなから愛される男になりましたよ。母様……そして、イースおかあさん。
生んでくれて、育ててくれて……
「ありがとう!」
僕の最後の一撃が……ワイズに届く……
僕の……勝ちだ!
「お兄ちゃん負けないでぇ!!」
「え?」「え?」「え?」
「……え?」
シールちゃんの、ワイズへの声援……そして……
「悪いねエクスくん。シールにカッコ悪い所……見せられないんだ」
僕の一撃はワイズを捉え切り裂いた……が!
ワイズの姿は水晶に変わっていた……か、変わり身……
「チェックメイト。水晶烈斬《クリスタル・ブレイク》」
背後から現れたワイズの目にも映らない斬撃の雨。
僕は全てをくらい切り刻まれ……
「や、やっぱり……僕は、永遠……ナンバーツーか……」
僕はこんな勝てる雰囲気にも関わらず……無様に地面に倒れた。
「……まさか」
煙が晴れると、平然と立つワイズの姿があった。
そりゃあそうだよね。そんな簡単に倒せる相手じゃない。
完全にとらえたと思ったんだけどね……
大量に射出した武器の類いは、ワイズの水の圧力でひしゃげ、使い物にならなくされていた。
ワイズはおそらく、全身から瞬時に魔力を放出。そうして作られた水魔法の壁が、僕の武器を全て潰して見せたのだろう。
……本来は僕も特攻するところだったのだけど、あえてそうしなかった。正解だったね。
僕もそのまま切りにかかったら圧力で大ダメージは避けられなかったと思う。
――でも。
ピチョリと水の音が静かに聞こえる。
ワイズの水じゃない。
ワイズの腕から流れる黄緑色の……血だ。
そう血だ。
今まで流したことがないと豪語してきたワイズの……血液。
『血?』『嘘!?』『ワイズ様の!?』『ワイズ様の血液欲しい』
観客の騒然とした声が聞こえる……
そりゃあ驚くよね。何せ流したことがないと言ってたんだから。
「エクスくんさすがだ。初めてだよ、血を流したのは」
「悪いね」
「血か……うん、痛いね」
……初めて感じたみたいに言うね……
「でもチャンスだと思うよ? わたしはまともに怪我したことがない。つまり痛みに慣れてない。そんな痛みで隙ができるかも」
まさか。そんなことで怯むような男か君が。
悪いけど、油断なんて一切しない。確実に慎重に……
倒す!
またワイズ全周囲に魔法陣が現れる。
「なるほど。セットしたのは一つではなかったわけか」
そう言った瞬間、ワイズは全方位に水のレーザーを無動作で放つ。
魔法陣全てが一瞬で射貫かれる。
「だよね」
そして貫かれた瞬間、すぐ隣に別の魔法陣が開く!
「一体いくつ仕込んだんだい」
「さあね!」
魔法陣から武器が射出! それをまた射貫きにかかるワイズ。
そしてそんな状態で僕は接近戦を仕掛ける!
ワイズは水の剣で僕の攻撃をさばきつつ、レーザーで的確に飛んでくる武器と魔法陣を射貫く。
一度にどれだけの行動できるんだよ君は!
「その武器、濡れてるね」
その一言にはっとする。
僕が持つ剣、これはワイズの水の剣とぶつかることで……濡れていた。
そんな剣の水滴から、水流が発生し、僕を飲み込み……圧力でダメージを与えてくる!
「――がはっ!?」
「まだだ」
完全に怯んだ僕に追撃。水のレーザーが一斉に放たれ、僕の両肩、両足、胸をぶち抜かれた。
「がっ……」
いくら空間を出れば何もなかったことになるとはいえ、痛みはちゃんと感じる……
当てられた部分は貫通し、血が吹き出る……
「まだだ」
水の剣による飛ぶ斬撃を放つワイズ。僕はなんとか体を動かし回避に動くが……左腕を切り落とされた……
飛ぶ斬撃なんて高度な技、簡単に放つなよ……
だが、まだ生きてる。
まだ剣を握る右手がある!
「そして……最後の賭けだ」
ワイズの立ち位置に巨大な魔法陣が浮かびあがる。
「――!?」
さすがのワイズ、君でも自分の立ち位置に魔法陣が現れるとは……思わなかったようだね。
それと同時に上空からも魔法陣が発生……
逃げ場はない!
「黄金幻想武具!」
上空と地中から大量の武具がワイズを切り刻む……
不意をつかれたワイズは為す術がなく、全てを受ける。
そして……まだ終わらない!
「黄金剣矢《シューティングソード》!」
僕の十八番、超スピードで放たれる剣の矢……さらに!
僕自身も接近し……切りかかる。
ワイズは攻撃を受け続けている……
――勝てる!
「今ですわエクス!」
「エクス! 勝って!」
「いけえエクス!」
ユーノさん、母様、兄さんの声援……そして……
「一位が負ける!? よっしゃいけえ!」「エンツー返上しろ!」
観客の男子達の声援までも……
勝つことを諦め、ワイズに鬱憤感じてた生徒たちかもしれない。
「エンツ、エクス! お前が最強だあ!」
――!? オーリ!? まさか……退学処分になったのにわざわざ……
元理事長を恩赦した義理なのかなんなのかはわからない……
でも、嬉しいものだね。
ワイズ親衛隊の女性陣の応援は、僕への声援でかきけされていた……
会場は……僕の応援一色……
嬉しい……
僕は……存在していいと……実感できる。
僕は……こんなにもみんなから愛される男になりましたよ。母様……そして、イースおかあさん。
生んでくれて、育ててくれて……
「ありがとう!」
僕の最後の一撃が……ワイズに届く……
僕の……勝ちだ!
「お兄ちゃん負けないでぇ!!」
「え?」「え?」「え?」
「……え?」
シールちゃんの、ワイズへの声援……そして……
「悪いねエクスくん。シールにカッコ悪い所……見せられないんだ」
僕の一撃はワイズを捉え切り裂いた……が!
ワイズの姿は水晶に変わっていた……か、変わり身……
「チェックメイト。水晶烈斬《クリスタル・ブレイク》」
背後から現れたワイズの目にも映らない斬撃の雨。
僕は全てをくらい切り刻まれ……
「や、やっぱり……僕は、永遠……ナンバーツーか……」
僕はこんな勝てる雰囲気にも関わらず……無様に地面に倒れた。
10
あなたにおすすめの小説
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
四郎
ファンタジー
クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる