求人探偵太郎のなりわい

しのっち

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エピローグ

大学卒業とウソツキの誕生

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九段下の駅から地上に出る。
七分咲きの桜が綺麗に咲いている。
たくさんの人が武道館に行く道を進む。
女性は袴を着て、きちんと髪をセットしている。
所々で知り合いに会うのだろう、ワイワイした声が聞こえる。男はみんなスーツ。だらだら話しながら歩く。
今日は卒業式だ。
大学というところはどれだけ人がいるのだろうかと思う。
武道館がいっぱいになる。

大学の4年間って自由だけど、あっという間に終わる。
楽な授業に出て、適当に卒論だして
毎日バイトとサークルで楽しくて、それで終わり。
人それぞれだろうけど、俺は充実した大学生を過ごした。
もちろん就活もした。でも内定がでるところまでは頑張れなかった。

ー面接
「菅原さんは将来どうなりたいですか?」
「一生懸命働いて、会社に貢献できる人になりたいです。」

もう何回嘘をついただろうか。一生懸命な就活生を演じ面接にのぞみ、何回も何回もお祈りメールを貰う。友達はみんな内定をもらって就活を終えていた。

「太郎はどこに内定もらったの?」
「え、AB商事だよ」

いつも一緒にいた中野は俺がまだ内定をもらってないことも知らずにそうやって聞いてきた。内定を持ってないことなんて考えていないような聞き方だった。だから俺はもうどうでもいいやと思って嘘をついて、大手AB商事の内定者ということにした。中野はすごく驚いていた。そして、自分は小さい求人の会社に内定をもらったと言っていた。そこは中野の地元の求人のフリーペーパーを作っている会社で、地元の活性化に関われるとやる気に満ち溢れていた。
そして、俺は就活を辞めた。中野を見ていたら自分がついた嘘も恥ずかしくなった。そして、そこまで目的もやりたいこともないと気づいてしまった。
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