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オリジョン、青年になる

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4歳目前の頃、数日間発熱して寝込んだ事があった。
そのせいかどうか分からないが、記憶が混濁し、その前後の事が良く分からなくなった。

【ママゴトセット】だの、【ホットケーキ】だの、
俺が作ったと聞いても、そんな事もあったかも知れないな、と他人事のようだった。

ぽやぁ~って毎日を過ごした気がする。

『お兄さま、学校に行く時間よ。』

妹のキャサリンに手を引かれ、16歳になった俺は登校する。

【神童と腑抜けは紙ひとえ】

そんな陰口を叩かれる事もあったが、どうでも良かった。


『お兄さま、元々の頭は良いんですから、しっかりして下さいな。』

そう言われても、温い風呂に浸かったときのように、現在の情況で不都合は感じられないのだから、まあ、良いか、って思ってしまう。

父たちも、特に何も言わず、ぼうっとさせておいてくれる。
まあ、長男がしっかり跡取りとしているしな。


学校の成績も、中の下といった所で、平々凡々の青春を送っている。
毎日のんびり平和で、楽しいと自分では思ってるが、キャサリンは不満があるらしい。
優秀な兄自慢、って夢を壊されたらしいが、俺の知ったこっちゃないね。

さあ、今日も授業中、昼寝でもするか!!
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