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湯けむり三姉妹2

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「ちょっとちょっと、前回なんか妙に会話の途中でぶった切ってくれたわね」

「私の所為じゃないですよぉ。
 どうやら、作者が1000文字程度って縛りを設けてるらしいので。
 初回からオーバーしちゃってたみたいです」

「何それ。女3人が喋ってて、1000文字で済むわけないじゃん!」

「それくらいが読みやすいかなっていう作者なりの気遣いらしいですよ」

「私も~1000文字なんかじゃ全然喋り足りないわよ~。
 というか、なんか私のセリフ少なくない?
 一応、長女なんだけど」

「まぁ、たぶん誰が何喋ってるのか、きっと分からないから」

「それじゃあ、私も語尾に何か特徴つけてみようかしらっちゃ」

「いやーそれは、だいぶ無理があるかなぁ。
 にしても、引っ張るねぇ、この語尾話。
 ってか、そもそも何の話だっけ?
 スパの話?」

「スパ!の話ね」

「こだわるね」

「もうこの際、なんでもかんでも語尾に “♡” つけるとかは、どう?」

「あ、それいい。
 どんな辛辣な言葉も “♡” つければ可愛く見えるわ」

「こんな感じですか♡」

「あ、そうそう。
 いいわねぇ、萌える~」

「 “萌える” こそ死語なんじゃないの?」

「もういいよ。死語でもなんでも。
 可哀想じゃない、使ってあげましょうよ」

「まぁ、そもそもこの作品のタイトルこそ死語だからね」

「えーどういう意味なんですか?
 『SPADABEL』って、英語……じゃないですよね?」

「スパで駄弁る!」

「あ、そういうこと~?
 私、何かラテン語とか何か高尚な意味があるのかと思ってたわ。
 アルファベットにしてみると、何でもかっこよく見えるのね~」

「スパだべる………」

「あら、香穂ちゃ~ん?
 やだわ、この子のぼせちゃったのかしら」

「自分が死語の世界にいることに漸く気付いたのよ」

「死後………………」

「死語よ! 1文字間違えたら、とんでもない世界に逝っちゃってるからね、私たち!」

「死後の世界に行っても、こうして3人で仲良く温泉に浸かってたいわね~」

「志麻姉さんは、いつも幸せそうでいいよね」

「あら、そんなことないわよ。
 私にだって悩みの1つや2つ……」

「えー何なに、聞きたい。何か悩んでるの?」

「う………誰にも言わない?」

「うんうん、言わない言わない」

「……あっちゃん、知ってる?
 人間っていうのはね、嘘をつく時、大抵同じ言葉を繰り返すものなのよ」

「うん、言わない」

「言い直してもだめ」

「えーけち。別にないんでしょ?
 悩みなんて」

「あるわよ。でも、秘密」

「そんな勿体ぶらなくても、私と志麻姉の仲じゃん」

「そのうちにね」

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