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湯けむり三姉妹

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「はぁ~…………気持ちいぃ~~~……」

「温泉に浸かってると、仕事疲れも癒されるわねぇ~」

「敦美姉さん、仕事してないですけどねー」

「うるさいわね。
 私は、学生なんだから、勉強するのが仕事なのよ」

「まあまあ、二人とも。
 ここは、スパ!なんだから、
 そんなトゲトゲした物言いしない」

「その〝スパ!〟ですけど。
 本当は、ただのスーパー銭湯ですからね。
 いつも言ってますけど」

「いいじゃない、スーパー銭湯だって、縮めりゃ〝スパ!〟でしょ。
 だから、スパ!でいいのよ」

「そのビックリマークはいるんだ。
 ってか、そもそもスパって何なの?
 スーパー銭湯と何が違うのよ?」

「全然違いますよぉ。
 スパは、リッチでセレブな奥方様が行く所で、スーパー銭湯って言ったら、
 庶民が行くちょっとだけリッチな銭湯じゃないですかぁ。
 だって、銭湯ですよ、銭湯!
 もう死語ですよ~」

「えー私、銭湯好きだなぁ。行ったことないけど」

「行ったことないんかい!
 って、私もないけど」

「えー香穂もないですぅ」

「どうでもいいけど、あんたその喋り方どうにかなんないの?
 ぶりっ子過ぎて気持ち悪いんだけど」

「えーっ、敦美姉さんひどいですぅ。
 だって、仕方ないじゃないですかぁ。
 これって、ただ会話だけで話が進む話らしいので、
 それだと誰が何を喋ってるのか分からなくなるから、
 喋り方に特徴つけろって、作者がー」

「そんな裏話せんでええって。
 特徴つけるだけなら、もっと他にも何かあるでしょ」

「例えば?」

「うーん……だぜ!とか。ござる!とか……」

「いやー! 絶対にイヤ!!
 ぜんぜん可愛くない!
 そもそも、それって、男の人の語尾じゃないですか。
 香穂は、女の子なんですけど……」

「そお? 意外と女が男言葉喋るのとか可愛くない?
 ほら、よく女の子が自分のこと “僕” って言ったりするやつとか」

「あーあるある。
 昔流行ってたー。なんかちょっとボーイッシュなんだけど、それが逆に可愛いんだよね」

「 “僕”、言ってみ? ほれ」

「イヤですっ。
 もっと可愛いのがいいんですけど……」

「あ! 可愛い女の子と言えば、やっぱあれじゃない?
 だっちゃ! とか、うち、とか……月に代わってお仕置きよ! とか」

「最後のは、語尾じゃないねー……でもわかる~。
 昔憧れたなぁ」

「あ、でも香穂ちゃんは、わかんないかな?
 私が小学生の時にやってたアニメだもんね」

「志麻姉、それ歳ばれるって」

「香穂もわかりますよ!
 最近またリメイクされたアニメがやってるんです。
 夜、旦那と見てます♡」

「へぇ~そうなんだ。
 私も見てみようかなー懐かしいなぁー」

「それじゃあ、いってみようか!
 はい、月に代わって~」

「「「お仕置きだっちゃ☆」」」

「いいねぇ~なんか色々混ざってるけど」

「息ぴったりじゃん!
 うちらって、ほんと気が合う姉妹だよね~」

「血の繋がりはないですけどねぇ~」
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