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壱怪 藤原徹の憑いてない一日。
三、
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「き、君は……君もそいつの仲間なのか?!」
警備員が指をさして尋ねた。その指は震え、目が怯えている。
「え? 俺??」
皆の視線が自分に注がれている事に気が付いた徹は、即座にそれを否定しようとした。
が、
「ここは一旦、退こう」
という侍の一言で、この場にいた全員に、徹が侍の仲間だと認定されてしまった。
「ち、違う! 俺は、こいつとは無関係だ!」
しかし、事は既に遅く、皆の視線から誰も徹の言葉を信じていない事が解る。
「こっちだ、早く!」
徹は、侍に半ば無理矢理引き摺られて、後方の扉へと移動した。そこには、先程から生徒達が教室を出ないように見張っていた犬が居る。
『小僧、また会ったな』
犬が口の端をにやりと引き上げて笑った。
「犬は喋らない犬は喋らない犬は喋ら……・」
『我は犬ではない!』
その声が周りに聞こえたのかどうかは解らなかったが、聞こえていたとしても、まさかその声が犬から発せられたものだとは誰も思わなかっただろう。それに、既に他の生徒達は、侍と徹を避け、距離を置くように逃げてしまっている。
「ま、待てっ!」
警備員が追い掛けてくる仕草を見せたが、侍が刀を構えるのを見て、動きを止めた。
「外へ」
侍が徹に背を向けたまま言う。徹は仕方なく言われるがまま、廊下へと出た。
しかし、廊下の左右ともを野次馬の生徒達に囲まれていて、逃げ道がない。その向こう側からは、他の警備員たちがやってくる姿が見えた。
「だめだ……」
徹が諦めかけた時、背後から侍が追いついて叫んだ。
「飛べ!」
「え……うわっ!」
振り返るより先に、背中を強く押された。目の前には、開いた窓。そして、3階から見える景色が徹の視界に飛び込んでくる。
徹は、抵抗する事も出来ないまま、前のめりに上半身を窓から外へと出していた。
(落ちる……!)
と思った瞬間、頭上から何か強い力で服を捕まれた。そのまま、地面がゆっくり近づき、あと数センチという所で急に解放される。地に伏したまま、何が起きたのか徹が理解出来ずにいると、頭上から声が降ってきた。
『情けない……』
犬だった。伏したまま見上げると、それは普通の犬よりも一回りも二回りも大きく見える。今、狼だと言われたら、納得してしまうだろう。それに、どうやら徹は、この狼に助けられたようだ。
起き上がって自分が落ちてきた窓を見上げる。そこから侍が青空をバックに飛び降りてくる姿を見て、徹は、自分がもう後戻り出来ない所まで来てしまった事を悟った。
警備員が指をさして尋ねた。その指は震え、目が怯えている。
「え? 俺??」
皆の視線が自分に注がれている事に気が付いた徹は、即座にそれを否定しようとした。
が、
「ここは一旦、退こう」
という侍の一言で、この場にいた全員に、徹が侍の仲間だと認定されてしまった。
「ち、違う! 俺は、こいつとは無関係だ!」
しかし、事は既に遅く、皆の視線から誰も徹の言葉を信じていない事が解る。
「こっちだ、早く!」
徹は、侍に半ば無理矢理引き摺られて、後方の扉へと移動した。そこには、先程から生徒達が教室を出ないように見張っていた犬が居る。
『小僧、また会ったな』
犬が口の端をにやりと引き上げて笑った。
「犬は喋らない犬は喋らない犬は喋ら……・」
『我は犬ではない!』
その声が周りに聞こえたのかどうかは解らなかったが、聞こえていたとしても、まさかその声が犬から発せられたものだとは誰も思わなかっただろう。それに、既に他の生徒達は、侍と徹を避け、距離を置くように逃げてしまっている。
「ま、待てっ!」
警備員が追い掛けてくる仕草を見せたが、侍が刀を構えるのを見て、動きを止めた。
「外へ」
侍が徹に背を向けたまま言う。徹は仕方なく言われるがまま、廊下へと出た。
しかし、廊下の左右ともを野次馬の生徒達に囲まれていて、逃げ道がない。その向こう側からは、他の警備員たちがやってくる姿が見えた。
「だめだ……」
徹が諦めかけた時、背後から侍が追いついて叫んだ。
「飛べ!」
「え……うわっ!」
振り返るより先に、背中を強く押された。目の前には、開いた窓。そして、3階から見える景色が徹の視界に飛び込んでくる。
徹は、抵抗する事も出来ないまま、前のめりに上半身を窓から外へと出していた。
(落ちる……!)
と思った瞬間、頭上から何か強い力で服を捕まれた。そのまま、地面がゆっくり近づき、あと数センチという所で急に解放される。地に伏したまま、何が起きたのか徹が理解出来ずにいると、頭上から声が降ってきた。
『情けない……』
犬だった。伏したまま見上げると、それは普通の犬よりも一回りも二回りも大きく見える。今、狼だと言われたら、納得してしまうだろう。それに、どうやら徹は、この狼に助けられたようだ。
起き上がって自分が落ちてきた窓を見上げる。そこから侍が青空をバックに飛び降りてくる姿を見て、徹は、自分がもう後戻り出来ない所まで来てしまった事を悟った。
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