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本編
パーツ拾いと覚悟
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いいね、ブクマありがとうございます…!
──
「お兄さん、ゴウシュって言うの?ぼくはシャンだよー!よろしくね!」
「……おっ、おう。ゴウシュだ、よろしくな」
ゴウシュは『シャン』と名乗った青年に、キラキラとした目で見つめられ一瞬戸惑っていたが、すぐにニカッと笑ってシャンの頭をポンポンと撫ぜた。
「我はミーグ。この髪の黒いのはハヤトでこっちのエルフはフィーネじゃ」
「ふんふん、ミーグに、ハヤト、フィーネだねー、覚えたよー!」
ミーグが自己紹介ついでに俺たちの事も紹介してくれると、シャンはにこにこと笑いながら俺の手をぶんぶんと振り回してきた。……握手なんだろうか。
「ミーグのローブはまだまだ改良出来るねぇ!あとハヤトの剣は属性付与も出来ちゃいそう!フィーネの弓についてる魔石の効果上げるパーツも付けちゃえそうだねぇー」
パッと見ただけでわかるのか、シャンはにこにこしたまま俺たちの装備の改善点を挙げてきた。
それを聞いてミーグは片眉を上げる。
「ほぉ、お主時間はあるかの?」
「ぼく?あるよー?あ、でも爆発しちゃった子達のパーツ回収しなきゃ……」
「どれ、我らも手伝ってやろ」
「ほんとー?ありがとー!」
――
シャンに指示してもらいながら、飛び散ったパーツを慎重に回収していく。
「なんか最近良くないのがこの子達に悪いことしてるんだぁ、だからむずむずってなってぼーんって爆発しちゃうの……かわいそうだよね」
シャンは回収したパーツを撫ぜながらしゅん、と肩を落としている。
「ぼく、良くないのを取ってあげたかったんだけど、間に合わなかったなぁ……」
落ち込み気味のシャンの頭をゴウシュがぐしゃっと撫ぜた。
「その反省は次に活かせばいい、……それに魔王の魔力が影響してるっつーなら俺たちがこれから頑張る番だ」
「え……?」
「俺たち4人は、魔王を倒すために旅をしている」
シャンは、そう言ったゴウシュをパチパチと目を瞬かせながら見ている。
「魔王を……?」
「ああ、俺たちが必ず倒す」
ゴウシュの力強く放たれたその言葉に、俺自身も奮い立たされた様な気がした。
グッと手のひらに力を込める。
王城に勤める人達が各地の魔王の影響による魔獣の被害の対策に追われて疲弊しているところは見ていたが、人が直接被害を受けている所は見たことがない。
だが、グラズに来るまでにこちらを見付けた途端に問答無用で襲いかかってくる魔獣。そして、このグラズでも魔王の魔力が少しずつ悪影響を及ぼしているのを知って、ますます気合いが入った。
対岸の火事では無い。
もうここに住むとなった以上、俺にも無関係ではないのだ。
「……ふむ。のお、シャンよ」
しゃがみこんでパーツを拾っていたミーグがローブの砂埃を払いながら立ち上がった。
「……?なあに?」
「お主、我らと共に来ぬか?」
「えっ?」
「お、おい、ミーグ!」
ゴウシュはずんずんとシャンに向かっていくミーグを静止しようとしているが、体はゴウシュに止められてもミーグの真剣な眼差しはシャンだけを見ていた。
──
「お兄さん、ゴウシュって言うの?ぼくはシャンだよー!よろしくね!」
「……おっ、おう。ゴウシュだ、よろしくな」
ゴウシュは『シャン』と名乗った青年に、キラキラとした目で見つめられ一瞬戸惑っていたが、すぐにニカッと笑ってシャンの頭をポンポンと撫ぜた。
「我はミーグ。この髪の黒いのはハヤトでこっちのエルフはフィーネじゃ」
「ふんふん、ミーグに、ハヤト、フィーネだねー、覚えたよー!」
ミーグが自己紹介ついでに俺たちの事も紹介してくれると、シャンはにこにこと笑いながら俺の手をぶんぶんと振り回してきた。……握手なんだろうか。
「ミーグのローブはまだまだ改良出来るねぇ!あとハヤトの剣は属性付与も出来ちゃいそう!フィーネの弓についてる魔石の効果上げるパーツも付けちゃえそうだねぇー」
パッと見ただけでわかるのか、シャンはにこにこしたまま俺たちの装備の改善点を挙げてきた。
それを聞いてミーグは片眉を上げる。
「ほぉ、お主時間はあるかの?」
「ぼく?あるよー?あ、でも爆発しちゃった子達のパーツ回収しなきゃ……」
「どれ、我らも手伝ってやろ」
「ほんとー?ありがとー!」
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シャンに指示してもらいながら、飛び散ったパーツを慎重に回収していく。
「なんか最近良くないのがこの子達に悪いことしてるんだぁ、だからむずむずってなってぼーんって爆発しちゃうの……かわいそうだよね」
シャンは回収したパーツを撫ぜながらしゅん、と肩を落としている。
「ぼく、良くないのを取ってあげたかったんだけど、間に合わなかったなぁ……」
落ち込み気味のシャンの頭をゴウシュがぐしゃっと撫ぜた。
「その反省は次に活かせばいい、……それに魔王の魔力が影響してるっつーなら俺たちがこれから頑張る番だ」
「え……?」
「俺たち4人は、魔王を倒すために旅をしている」
シャンは、そう言ったゴウシュをパチパチと目を瞬かせながら見ている。
「魔王を……?」
「ああ、俺たちが必ず倒す」
ゴウシュの力強く放たれたその言葉に、俺自身も奮い立たされた様な気がした。
グッと手のひらに力を込める。
王城に勤める人達が各地の魔王の影響による魔獣の被害の対策に追われて疲弊しているところは見ていたが、人が直接被害を受けている所は見たことがない。
だが、グラズに来るまでにこちらを見付けた途端に問答無用で襲いかかってくる魔獣。そして、このグラズでも魔王の魔力が少しずつ悪影響を及ぼしているのを知って、ますます気合いが入った。
対岸の火事では無い。
もうここに住むとなった以上、俺にも無関係ではないのだ。
「……ふむ。のお、シャンよ」
しゃがみこんでパーツを拾っていたミーグがローブの砂埃を払いながら立ち上がった。
「……?なあに?」
「お主、我らと共に来ぬか?」
「えっ?」
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